財形貯蓄で毎月確実に貯める! 使用目的別3種類の制度を詳しく解説

財形貯蓄制度は正式名称を「勤労者財産形成促進制度」といい、財形貯蓄制度を導入している会社に勤める会社員や公務員が利用できる制度です。給与から天引きで毎月お金を積み立てていくため、貯蓄が苦手な人でもお金を貯めやすいというメリットがあります。この記事では、3種類の財形貯蓄制度について詳しく解説していきます。

※参考:勤労者財産形成促進制度(財形制度)|厚生労働省

財形貯蓄制度で賢く資金づくりをしよう

財形貯蓄制度は「給与天引きで確実にお金を貯められる方法」として広く知られており、早く始めれば始めるほど、計画的に貯蓄をしていくことが可能です。それでは、財形貯蓄制度とはどのような制度なのかを詳しくみていきましょう。

どんな目的で利用できる?

財形貯蓄は、貯めたお金の使用目的に応じて、以下のように3種類に分けられています。

・一般財形貯蓄
一般財形貯蓄は、使用目的が制限されていない、使途自由なお金を貯めるための貯蓄制度です。貯めたお金は車の購入資金や結婚資金、旅行費用、教育費用など自由な目的に使うことができます。

・財形住宅貯蓄
財形住宅貯蓄は、マイホーム建設や購入、リフォーム資金などを貯めることができる制度です。利子を非課税にするためには「床面積が50㎡以上」など、決められた要件を満たす必要があります。

・財形年金貯蓄
財形年金貯蓄は老後のための資金作りを目的とした貯蓄制度です。貯めたお金は60歳以降に年金として受け取ることができます。

財形住宅貯蓄については、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:マイホーム特化型の「財形住宅貯蓄」とは? 金利やメリット、デメリット解説

財形貯蓄制度は正社員以外も利用できる?

財形貯蓄制度を利用できるのは、この制度を導入している企業で働いている人です。原則として「職種や雇用形態にかかわらず、事業主に雇用されているすべての人が利用できる」とされているため、アルバイトやパート、派遣社員、契約社員も財形貯蓄制度を利用することができます。

ただし、アルバイトやパート、派遣社員が利用する場合は積立期間の要件(一般財形貯蓄は3年以上、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄は5年以上)を満たす必要があります。

法人の役員は、一部の場合を除いて財形貯蓄制度を利用できないので注意しましょう。

財形貯蓄制度はどんな人に向いている?

財形貯蓄では給与から積立金があらかじめ天引きされます。貯蓄を意識しなくても着実にお金を貯められることから、お金を貯めることが苦手な人や、手元にお金があるとついつい使ってしまう人に向いている制度といえます。

また、貯蓄を引き出すときにも所定の手続きが必要なことから、通常の定期預金などに比べ、貯蓄を気軽に崩して使いにくいという点もメリットです。

財形貯蓄の中でも利用者が多いのは「財形住宅貯蓄」です。住宅購入の際にはまとまった資金が必要ですが、財形住宅貯蓄を利用することで、毎月確実にお金を貯めていくことができます。

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄では、「両方の貯蓄残高を合わせた合計550万円」に対する利子が非課税になるというメリットもあります。しかし、近年は低金利で利息がほとんどつかないため、この優遇措置の魅力はあまりありません。高金利で運用しつつお金を貯めていきたい場合は、低金利の財形貯蓄ではなく、ほかの金融商品を活用することも検討しましょう。

財形住宅貯蓄については、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:住宅購入に向けて着実に貯められる「財形住宅貯蓄」のメリットと活用法

財形貯蓄制度を利用するには?

財形貯蓄制度を利用するためには、決められた手順に従って申し込みをする必要があります。具体的にどのような手続きが必要なのかを詳しく見ていきましょう。

財形貯蓄を始める

財形貯蓄を始めたいときには、会社に「財形貯蓄制度が導入されているかどうか」の確認を行いましょう。導入していた場合は、財形貯蓄の種類や積立金額を決め、勤務先を通じて申し込みをします。財形貯蓄は簡単に引き出すことができないため、無理のない金額で積み立てを始めることが大切です。

財形貯蓄を引き出す

財形貯蓄では、貯蓄を引き出すときにも会社を通じた申請が必要です。財形貯蓄では積立期間が決まっていますが、積立途中でも一部もしくは全額を引き出すことが可能となっています。

ただし、財形住宅貯蓄もしくは財形年金貯蓄の場合は、決められた目的以外の理由でお金を引き出すと非課税の優遇が適用されなくなるので注意が必要です。目的外で貯蓄を引き出すと過去5年間にさかのぼって利息に課税されてしまいますので、慎重に検討するようにしましょう。

財形貯蓄制度を利用している途中で退職するとどうなる?

財形貯蓄制度を利用していた人が退職をした場合、積み立てたお金はどうなるのでしょうか。転職先で財形貯蓄を継続できるケース、できないケースについて詳しく解説していきます。

財形貯蓄で積立を再開できるケース

財形貯蓄は、退職してから2年間はそのまま金融機関に預けておくことができます。ただし、その場合は退職してから半年以内に、金融機関に「退職等の通知書」を提出する必要があります。

退職から2年以内に財形貯蓄制度を導入している会社に再就職した場合は、決められた手続きを行うことで積み立てを再開することができます。2年以内に積み立てを再開しない場合は利子非課税の優遇措置がなくなり、利子は課税扱いとなるので注意しましょう。

財形貯蓄を継続できないケース

財形貯蓄を継続するためには、退職して2年以内に、財形貯蓄制度を導入している会社に再就職する必要があります。再就職先に財形貯蓄制度がない場合や、2年以内に就職しなかった場合は積み立てを継続することはできません。

このような場合は財形貯蓄を解約し、積立金を全額払い戻すこととなります。退職による払い戻しは、「目的外の出金」となるため、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄における非課税の優遇措置を受けられなくなります。財形一般貯蓄は、もともと非課税優遇がありませんので、ペナルティはありません。

財形貯蓄制度のおすすめ活用方法

財形貯蓄制度を上手に活用するためには、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。ここでは、財形貯蓄制度を活用したおすすめの運用方法を紹介します。

1年以上積み立てて財形住宅融資を利用する

財形住宅制度の利用者は、条件を満たせば財形住宅融資を利用することができます。財形住宅融資とは、返済開始から終了までの全期間、5年ごとに金利を見直す5年間固定金利制の住宅ローンです。

【フラット35】など、一般的な全期間固定金利型住宅ローンの場合は、ローン期間中に金利が下がった場合でも、その恩恵を受けることができないことがデメリットです。しかし、この財形住宅融資は5年ごとに固定金利が見直されます。そのため、住宅ローン金利が下がった場合は返済額が少なくなる等の恩恵を受けられるというメリットがあります。しかし、逆に金利が上がった場合は、返済額が上がることもあるので注意が必要です。

この財形住宅融資は、財形住宅制度で1年以上貯蓄を行い、かつ貯蓄残高が50万円以上の場合に融資を申し込むことができます。融資可能残高は、貯蓄残高の10倍、最高4,000万円までで、住宅購入費の90%まで融資を受けることが可能です。

また、この財形住宅制度には中小企業に勤務する人や、子どもを扶養している人に対して、0.2%の金利引き下げの特例措置があります。ほかの金融機関や【フラット35】との併用も可能なため、4,000万以上の住宅を購入するときでも、この財形住宅融資を活用することができます。

一般財形貯蓄で貯まった資金を運用する

一般財形貯蓄は非課税の優遇措置はありませんが、給与天引きで確実にお金を貯められるというメリットがあります。しかし、近年は低金利が続いているため「財形貯蓄の運用でお金を増やす」ということは難しくなっています。貯めたお金をさらに増やしていくために、ほかの金融商品での運用を検討してみることも大切です。

NISAを活用して株や投資信託で運用する

ある程度まとまった貯蓄ができたら、NISAを利用した株・投資信託での運用もおすすめです。NISAを利用すると、年間120万までの投資に対する売買益や分配金が非課税になるというメリットがあります。

通常の運用では、株や投資信託の売買益や分配金に対して、約20%の税金がかかります。しかし、NISAを活用すればその税金がゼロとなるので、効率的に運用を行うことが可能です。

また、ジュニアNISAを使った運用もおすすめです。ジュニアNISAの場合は、18歳以前に払い出しをすると課税対象になるという決まりがあります。しかし、このペナルティを逆に生かすことで、子どもが18歳になるまでじっくりと資産を運用することができます。18歳になると非課税で引き出しができるので、大学費用などにあてることができます。

つみたてNISAに関しては、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:つみたてNISAが100万口座を突破! 20~40代の利用増が人気の理由

個人向け国債で手堅く運用する

資産を増やしていきたいけれど、元本割れのリスクがある株や投資信託は不安だという人には、個人向け国債がおすすめです。個人向け国債は定期預金よりも利率が高いため、「元本割れしない商品で少しずつお金を増やしたい」という人に向いています。

元本割れがないため、大きな金額であっても安心して運用できるというメリットもあります。

ただし、個人向け国債は発行されてから1年以内は中途換金をすることができません。1年以内に必要となる資金は使わないようにしましょう。また、満期以前に中途換金した場合は、満期まで保有した場合に比べて、受け取れる利息が少なくなってしまうので注意が必要です。

個人向け国債については、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:超低金利の今、安全な運用先として「個人向け国債」の魅力が高い!

まとめ

財形貯蓄制度は、給与天引きを利用して着実にお金を貯めたい人におすすめです。一般財形貯蓄であれば貯蓄目的を問われないため、どのような目的であってもこの貯蓄制度を利用できます。また、一定の条件を満たせば財形住宅融資を利用して、住宅購入のための資金を貯めていくことができます。

毎月決まった額を貯蓄しようとしても、手元にあるお金を使ってしまってなかなかできないという人は、ぜひこの財形貯蓄制度を利用してみてください。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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