コロナで直面する「住まいの収納」問題、不動産各社が進める解決策とは?

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で在宅ワークが幅広く浸透しているのに加え、主婦や子どもたちも在宅時間が長くなり、どうしても家のなかにヒトやモノがあふれがちとなっています。そこで、住まいの収納を工夫するプランを作成したり、さまざまな整理方法を提案する不動産会社などが増えています。

住まいのスペース不足が大きな問題になっている!

コロナ禍で、在宅ワークが増えたことによって、仕事のスペースの確保など、さまざまな問題が出てきました。

リクルート住まいカンパニーの調査によると、図表1にあるように、在宅ワークの増加で、自宅の環境整備を行いたいという人が増えています。

トップには19%で「仕事用の部屋をつくりたい」が挙がり、「仕事用のデスク/椅子を設置したい」が18%、「仕事用のPC、資料置き場などの収納スペースを整えたい」が17%で続き、以下「部屋の一角に仕事用のスペースをつくりたい」「ネットワーク環境を整えたい」が12%で並んでいます。
10%以上の支持を集めた上位5項目をみると、仕事用のスペースをつくりたいけれど、そのためには机、椅子、パソコン、資料置き場の確保など、収納が最大の問題になっているといっていいのではないでしょうか。

今後、コロナが収束したとしても、一定の割合で在宅勤務を継続する企業があるでしょうから、これからもこの点は重要な課題になるはずです。

(資料:リクルート住まいカンパニー「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態調査」)

外出しにくい環境で家族全員の在宅時間が長期化

これは、何も働く人だけの問題ではありません。専業主婦も買い物に出かける回数を少なくし、友人などに会う機会、フィットネスや趣味などの外出も制限されがちです。

子どもたちも学校に登校できるようになったとはいえ、各種のイベントはほとんど中止され、やはり在宅時間が長くなりがちです。

家族全員が住まいで過ごす時間が長くなれば、それだけコミュニケーションが進み、絆が強まるというメリットがある反面、ある程度広さなどの面でゆとりがある住まいでないと、どうしても接触時間が長くなって、ストレスが溜まることになります。

巣籠もり需要で住まいのなかにモノがあふれる

しかも、家のなかにいる時間が長くなると、さまざまなモノが増えます。コロナ禍の当初は、自由になる時間が増えて、住まいを整理して、不要なモノを捨てる人たちが増加、通常のゴミだけではなく、粗大ゴミが急速に増えて、自治体のゴミ収集や資源回収などが切迫した状況に陥ったこともありました。

しかし、それも一巡して、最近では、住まいのなかにモノを増やしてしまう人が多くなっているようです。

LIFULL SPACE(ライフルスペース)の調査によると、まず、コロナ以前に比べて自宅のモノが増えたどうかを質問したところ、25.3%の人が「はい」と答えています。実際にどんなものが増えたのかを聞くと、最も多かったのが「日用品や食料品などのストック」の58.1%で、以下「子供が使うもの(おもちゃ、書籍など)」「家電」がともに22.5%、「書類」が20.2%などで続いています。

モノが増えて8割の人が住まいの収納に困っている

そのため、コロナ禍以前に比べて自宅が手狭になったと感じるかどうかを聞いたところ、9.8%が「感じる」と答え、「やや感じる」とする人の20.6%を加えると、30.4%の人が手狭になったとしています。

その理由をみると、トップには「モノが増えたから」(55.5%)が挙がっており、以下「日用品や食料品などをストックするためのスペースを確保したから」(41.3%)、「自分や家族が家にいる時間が増えたから」(40.0%)、「自宅に仕事をするスペースを確保したから」(22.6%)などとなっています。

在宅勤務や外出自粛で家族の全員が家にいることが多くなり、そのための日用品や食料品の蓄えが大量に必要になり、スペースが足りなくなっているわけです。

さらに、収納の困りごとがあるかどうかを聞いたところ、図表2にあるように、41.9%の人が「ある」とし、「ややある」の38.0%と合わせるとほぼ8割の人が、収納に困っているという答えでした。

住まいの中の収納がこれからの住まいにとっては、たいへん重要な課題になっているわけです。

(資料:ライフルスペース「コロナ禍での収納と自宅のスペースに関するアンケート調査」)

収納をシェアするサービスが始まっている

そうした問題を解決するため、不動産関連の各社ではさまざまな解決策を模索しています。

たとえば、LIFULL (ライフル)では、収納をシェアする「収納スペースシェアサービス」をスタートさせました。これは、空きスペースを持っている会社や個人と、荷物を預けたい人を結びつけるサービスで、収納スペースのシェアリングサービスになります。

(1)通常のトランクルームの半額程度で利用できる
(2)万が一の事故などが発生した場合の保証がある(最大10万円まで)
(3)トランクひとつなど、畳1帖以下でも利用できる
(4)クレジットカード決済が可能でスピーディーに利用できる

などのメリットがあります。

収納に困っている人や、自宅に空きスペースがある人は「トランクルーム」など各社サービスを参考にしてみてください。

整理収納クリエーターが新居をコーディネートする

東急不動産は2020年10月から販売を始めた新築マンション「ブランズ練馬中村北」(東京都練馬区)で、宅配便トランクルームを運営するエアトランクと組んで、整理収納クリエーターが新居をコーディネートするサービスを始めています。

マンションを買って引っ越しする人のそれまでの住まいと新居を専門家が訪問して、引っ越し直後の暮らしを快適に始めるためのサポートを行います。

先に触れたように、コロナ禍で住まいのなかが手狭になり、より広い住まいが必要になっているのですが、予算などの関係から取得するマンションの専有面積を広げるのはそう簡単ではありません。

そこで、住まいのなかの収納、整理方法に関する専門家のアドバイスによって、限られたスペースを有効に活用して、ゆとりある生活につなげてもらおうというものです。

東急不動産では、20年12月発売予定の「ブランズ文京白山一丁目」でも同様のサービスを導入する計画です。
(参考:東急不動産リリース)

収納に関するさまざまな機能をワンストップサービスで

野村不動産でも、エアトランクと組んで、新たなサービスをスタートさせています。業界初といわれる多機能サービスの「WONDER STYLE」がそれです。

図表3にあるように、収納に関する「預ける」「借りる」「整理する」「任せる」の4つの機能を組み合わせたもので、エアトランクのトランクルームに預けるという基本サービスをベースに、モノのレンタルサービスやクリーニング、収納整理のプロによる片づけ法に関するアドバイス、不要品の買い取りや処分のコンシェルジュまで、さまざまなサービスをワンストップで利用できるようになります。

導入に当たっては、野村不動産が分譲する新築マンションや一戸建てに、2年間のパッケージプランとして物件特典として付与するか、11万6,400円(税抜)のオプションサービスとして導入します。また野村不動産の分譲済みのマンションや一戸建てのオーナーに対しては、月単位での契約を可能とし、月額4,850円(税抜)で提供します。

(資料:野村不動産ニュースリリースより)

住まいの収納や整理方法にも目配りした選択を

このほか、最近ではウォークインクローゼットの一部や全部をワークスペースに改修して、住まいが手狭にならないようにするプランを採用するマンションも増えています。

これからのマイホーム選びに当たっては、ウィズコロナ、ポストコロナをにらんで、収納や住まいの整理方法などにも目を配りながら、どんな住まいがいいのか、どんなサービスがついている住まいにするのか、ジックリと考えていく必要がありそうです。

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