財務省・国土交通省の両省は、住宅ローン減税を13年間受けられる特例措置の適用対象となる入居期限を2年延長する方向で調整に入ったとの一部報道がありました。12月の税制改正大綱に盛り込まれれば、その後、国会を通過することで確定するはずです。今回は、現行の住宅ローン減税のポイント、特例措置の内容、改正が予想されている点についてまとめます。

住宅ローン減税とは

そもそも住宅ローン減税(正確には、住宅借入金等特別控除)の制度とは、住宅ローンを組んでマイホームの新築、購入、増改築等をした場合に、年末のローン残高の1%を所得税額から控除するものです。控除期間は原則10年間ですが、特例措置が受けられる場合は13年間となります。

例えば、年末のローン残高が2,000万円であれば、その1%である20万円の所得税が戻ってきます。また、所得税で引ききれなかった控除額がある場合は、翌年度の個人住民税から控除されます(住民税からの控除額上限は136,500円)。

ただし、この制度は「税額控除」なので、支払った税額が控除額の上限となります。年末のローン残高から算出された控除額が20万円であっても、支払っている税額が10万円なのであれば、10万円しか戻ってきません。

また、対象となる年末のローン残高にも上限があり、一般住宅で4,000万円、認定住宅で5,000万円となっています。つまり、認定住宅を新築して年末のローン残高が6,000万円だったとしても、5,000万円として計算されるということです。

そのほか、この制度が適用される主な要件は以下のとおりです。

・新築または取得の日から6ヶ月以内に入居し、適用を受ける年の12月31日まで引き続いて住んでいること
・控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
・新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が居住用であること
・返済期間10年以上の住宅ローンを利用していること(親族や知人からの借り入れは対象外)

なお、この住宅ローン減税を受けるためには、会社員であっても1年目は確定申告が必要です。2年目以降は、年末調整ですみます。

13年間控除が受けられる住宅ローン減税の特例措置とは

通常10年間である住宅ローン減税が13年間になる特例措置は、2019年10月1日の消費税の引き上げ(8%→10%)のタイミングで導入されました。消費税の増税前の駆け込み需要と、増税後の反動減のブレ幅を小さくするための政策の一つでした。

控除期間を3年延ばし、11年目から13年目までの控除額は、「年末のローン残高の1%」と「住宅取得等の対価(税抜き)×2%÷3」のいずれか少ない金額とされたのです。

「住宅取得等の対価(税抜き)×2%÷3」という計算式は、消費税の引き上げ分(2%)を3年に分けて戻してあげようとする考え方でできています。

例えば、建物部分の価格が税抜きで2,000万円だった場合、消費税が8%のときは税込みで2,160万円。それが消費税10%になると2,200万円になります。このときの値上がり分40万円が3年に分けて住宅ローン減税として戻ってくるわけです。つまり、8%のときに買っても、10%になってから買っても、負担額が同じであるように見せたのです。

そして、この特例措置が適用される期限は、当初は2020年12月末までの入居とされていました。ただ、新型コロナウイルス感染症等の影響によって入居が遅れる場合は、以下の要件を満たしていれば、特例措置が受けられるように救済措置が用意されました。

(1)新築については2020年9月末、中古住宅の取得、増改築等については2020年11月末までに、住宅の取得等に係る契約を締結していること
(2)2021年12月31日までに住宅に入居していること

特例の期限を2年延長へ?

報道によれば、財務省・国土交通省の両省が、この特例の期限を延長する方向で調整に入ったようです。2021年9月末までの契約が対象で、2022年12月末までに入居した場合、13年間の控除が受けられる特例の対象とする案が軸となっているようです。

消費税増税の激変緩和措置として2020年12月末までの入居が対象だった制度が2年延長されるという話は、これから住宅取得をしようとしている人にも朗報でしょう。さらに、この改正が確定すれば、住宅ローン減税そのものが適用期限(もともとは2021年12月末までの入居で終了)を延長することになります。

また、そのほかにも、「床面積50平方メートル以上」という要件の引き下げや、「合計所得金額3,000万円以下」という要件の引き下げも検討されているようです。

昔から住宅ローン控除は、不動産市場や住宅市場へのテコ入れ、景気対策の一環として平成バブルの崩壊以降、制度の多少の変更を加えながら、改正や延長を繰り返してきました。新型コロナウイルス感染症等による先行き不透明な状況を考えれば、住宅ローン減税の拡充や延長は当然の政策だと言えるでしょう。

これから住宅の建築、購入、増改築等をしようと検討している人は、今後の制度改正について、その内容や適用期限等、きちんと確認するようにしましょう。よく分からない場合は、お近くの税務署や税理士などの専門家に相談してください。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア

おすすめ記事