首都圏のマンション市場では長く新築の発売戸数が中古の成約件数を上回り、市場規模も新築が圧倒的優位を保ってきました。それが、ここ数年新築マンションの発売戸数が急速に減少する一方、中古マンション成約件数は安定、2016年には両者の関係が逆転しました。戸数だけではなく、市場規模でも間もなく中古が新築を逆転し、文字通り、中古マンションが首都圏マンション市場の主役になりそうです。

戸数規模では2016年に中古が新築を逆転

まずは図表1をご覧ください。ブルーの折れ線グラフが不動産経済研究所調査による、首都圏新築マンションの発売戸数の推移で、オレンジが東日本不動産流通機構による首都圏の中古マンション成約件数の推移です。

マンション市場では、長らく新築が主役で、年によっては新築の発売戸数が中古の2倍近くに達していました。
それが、新築マンション発売戸数は2013年をピークに急速に減少、16年、17年、18年とほぼ横ばいだったのが、19年には再び急減しました。

それに対して、中古マンションの成約件数には大きな上下動はほとんどなく、少しずつですが確実に増加してきました。
その結果、16年には中古が新築を逆転し、新築が激減した19年にはその差が一気に拡大しました。

(資料:新築は不動産経済研究所、中古は東日本不動産流通機構調べ)

新築より中古の価格上昇率が大きく上回っている

一方、価格動向をみると図表2にあるように、新築、中古ともにゆるやかに、しかし、確実に上昇してきました。マンション市場では、新築価格の高騰が注目されてきましたが、実は中古も同様に上がり続けてきたのです。

新築価格は10年前の09年には4,535万円だったのが、19年は5,980万円ですから、その間の上昇率は31.9%です。中古価格は09年が2,491万円で、19年は3,442万円ですから、10年間の上昇率は38.2%です。

10年間の上昇率を比較すると、新築より中古のほうが大きく上回っています。市場では、「新築価格の上昇に釣られて中古価格も上昇」「中古が新築を追うように高騰」などといわれることが多いのですが、この数字をみる限り、実は価格面でも現在では中古が新築をリードしているという見方ができるのかもしれません。

(資料:新築は不動産経済研究所、中古は東日本不動産流通機構調べ)

市場規模では依然として新築が優勢な状態続く

そうはいっても、市場規模ということになれば、まだまだ新築マンションが主役の地位を保っています。

新築マンションに関しては、年間の発売戸数とその年の平均価格を乗じた数字で年間の市場規模を算出、同様に中古マンションに関しても年間の成約件数にその年の平均成約価格を乗じた数字で市場規模を算出、それをグラフ化したのが図表3です。

※新築マンションは図表1の発売戸数と図表2の平均価格を乗じた金額、中古マンションは図表1の成約件数と図表2の成約価格を乗じた金額

新築の市場規模は、発売戸数とほぼ同様の動きを示し、13年をピークに縮小傾向にあることが分かります。それに対して、中古はほぼ一貫した右肩上がりのゆるやかなカーブを描いています。19年は新築マンションが1.9兆円市場で、中古マンションが1.3兆円市場です。両者にはまだまだ大きな差がありますが、グラフをみれば分かるように、その差は接近しつつあります。

市場規模でも3年後には中古が新築を逆転か

図表3でも分かるように新築は13年が突出した数字になっているので、それを除いて14年から19年までの5年間の市場規模の変化をみると、14%の縮小で、年率にすれば2.8%のマイナスです。この減少ペースが今後も続くと想定すると、図表4にあるように、23年には1.7兆円に市場規模が縮小します。

では中古マンションはどうかといえば、この5年間の市場規模の増加率は44.4%で、年率にすると8.9%拡大している計算です。それが、20年以降も続くと仮定すると、23年には1.8兆円に達します。新築市場の1.7兆円をこの時点で上回ることになります。

もちろん、コロナ禍が続いていますから、不確定要素が多く、この試算通りにはならない可能性もありますが、もし、この通りになれば、23年には首都圏のマンション市場では、名実ともに中古マンションが主役になるといっていいでしょう。

※図表3の2014年から2019年までの過去5年間の年間増減率の平均を2020年に当てはめた予測値

欧米では早くから住宅市場の主役は中古住宅

これは、決して驚くべきことではありません。世界的にみても、住宅市場の主役は中古住宅なのです。

国土交通省の調べによると、住宅市場における流通戸数を新築と中古に分けてみると、アメリカでは中古が77.6%を占め、新築は22.4%に過ぎません。さらに、イギリスでは中古が88.8%で、新築はわずかに11.2%にとどまっています。フランスでもほとんど中古が大半を占めているのです。

それに対して、日本の場合はまだまだ新築が中心。首都圏のマンション市場では中古のほうが多くなっているといっても、一戸建てを含めて、全国的には圧倒的に新築のほうが多いのが現実です。そこに楔を打ち込みつつあるのが、首都圏のマンション市場といっていいでしょう。

そう考えると、これからマンション選びを考えている人は、新築だけに目を向けるだけではなく、中古にももっと関心を向けたほうがいいのではないでしょうか。そうすれば、選択肢が広がって、意外な発見があるかもしれません。

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