新築マンションと中古マンションを買った人たちの購入者プロフィールをみると、年齢、家族数、取得したマンションの面積はほとんど変わらないのに、世帯年収や所要資金、手持金、年収倍率などには大きな差があります。新築と中古では、どこがどう違っているのでしょうか。

年収格差の拡大がマンション購入者像にも反映?

民間機関と提携して全期間固定金利型の住宅ローンである【フラット35】を実施している住宅金融支援機構。毎年、その【フラット35】を利用してマイホームを取得した人たちの実態を調査し、「フラット35利用者調査報告」としてまとめて公表しています。その最新版である2019年度版がこのほど発表されました。

この報告書では取得した住宅の形態別に分析を行っていますが、同じようにマンションを買った人でも、新築と中古では世帯年収など、お金に関するデータにはかなりの違いがみられ、このところいわれている年収格差の拡大がマンションの取得行動にも大きく反映されていることが分かります。

マンション購入者の平均年齢は建売住宅より高い

マンションを中心に住宅価格が上がっているため、【フラット35】を利用してマイホームを取得する人たちの平均年齢もここ5年で少しずつ上昇しています。全物件の平均をみると、15年度、16年度は30歳代だったのが、17年度には40.0歳と40歳代に乗せ、19年度には40.2歳になっています。

中でも、価格の高いマンション取得者の平均年齢は図表1にあるように、新築で42.1歳、中古で41.6歳と、全体平均より高くなっています。特に、新築マンションに関しては価格の上昇もあって、一定の年齢になってある程度の年収に達しないと買えないという現実があるのでしょう。

(資料:住宅金融支援機構「2019年度フラット35利用者調査報告」)

家族数や住宅面積には大きな差はみられない

しかし、家族数や住宅面積には大きな違いはありません。新築マンションを買った人の平均家族数は2.4人で、中古マンションは2.5人です。取得した物件の住宅面積は、新築が67.6平米で、中古が67.3平米。家族1人当たりの面積は、新築が約28.2平米で、中古が約26.9平米ですから、こちらもそう大きな差があるわけではありません。

家族数が2.4人から2.5人ですから、夫婦のみの世帯、または夫婦に子ども1人という家庭が中心でしょう。60平米台後半の2LDKまたは3LDKであれば、ゆとりがある住まいとはいえないまでも、まずまず十分な広さということなのではないでしょうか。

ここまでは、新築と中古には目立った差はありませんが、お金の問題になると、大きな違いが出てきます。

新築と中古には150万円以上の年収の差がある

マンションを買った人たちの年収をみると、新築マンションでは763万円で、中古マンションは611万円です。新築のほうが、中古に比べて年収が152万円も高くなっているのです。

年齢にはほとんど差がありませんでしたから、おそらく新築マンションを買った人のほうが、給与の高い大企業などに勤めている人、あるいは中堅・中小企業の中でも出世頭的な年収の高い人、あるいは弁護士のような“士業”と呼ばれる資格をもった年収の高い自営業の人たちなどが多いのではないでしょうか。

このデータは全国平均ですが、首都圏だけでみると、新築マンション購入者は788万円で、中古マンションは619万円とその差は169万円に増えます。勝ち組、負け組といっては語弊がありますが、所得格差が、取得できる物件に大きな影響を与えているといわざるを得ません。

所要資金には1,400万円以上の違いがある

所要資金、つまり取得価格の平均にはもっと大きな差があります。

図表2にあるように、新築マンションの所要資金は4,521万円で、中古マンションは3,110万円です。両者には1,411万円の差があり、中古なら新築の68.8%で買える計算です。つまり、中古マンションを買った人たちは新築に比べて3割以上安い価格でマイホームを手に入れているわけです。

この差は首都圏でみると、もっと大きくなります。新築は5,033万円で中古は3,392万円ですから、両者の差は1,641万円です。ただ、新築価格に対する中古価格の割合をみると67.4%ですから、全国とさほど大きな差はありません。

手持金には新築と中古で2倍以上の差がある

手持金、つまり自己資金にはもっと大きな差があります。新築マンションは736万円で、中古は352万円です。金額的な差は384万円ですが、新築マンションを買った人は中古の人に比べて2倍以上の自己資金を貯めて買っていることになります。

価格が高いのですから、それなりに自己資金を貯めておかないと借入額が増えて、負担が大きくなります。新築マンションの自己資金が多くなるのは当然のことでしょう。

年収の2割を自己資金づくりに回すとしても、新築なら763万円×0.2×5年で763万円に達します。一方、中古取得者の平均年収は611万円ですから、同じく2割を自己資金づくりに回すとすれば、611万円×0.2×5年で611万円になります。

しかし、現実の自己資金の平均は352万円ですから、同じく5年で自己資金をつくるとしても、年収が低い分、自己資金づくりに回せる割合がかなり低くならざるを得ないということでしょう。ここでも、所得格差が如実に反映されることになります。

(資料:住宅金融支援機構「2019年度フラット35利用者調査報告」)

中古マンション取得者の返済負担率は20%を切る

次に年収倍率をみると、新築マンション取得者の平均年収が高いとはいっても、所要資金が高額になるため、年収倍率は7.1倍に達します。それに対して、中古マンションは5.8倍にとどまっています。中古マンション取得者の年収はやや低いのですが、それでも所要資金を抑えられるので、年収倍率も小さくなっているわけです。

その結果、総返済負担率は、新築が21.7%であるのに対して、中古は19.4%と20%を切る水準にとどまっています。総返済負担率というのは、年収に占める住宅ローンをはじめとするすべてのローンの返済額の割合を示しています。低いほど返済負担が軽くなるわけです。

中古マンション取得者は、年収がやや低く、自己資金も少ないのですが、それでも所要資金を低く抑えているため、年収倍率を低くして、総返済負担率もゆとりある水準にとどめることができます。しかし、その一方では、建築後の経過年数が長いと、老朽化が進んでいたり、設備が古くなっていたりすることがあります。

客観的な条件を把握した上でどちらがいいのかを判断

それに対して、新築マンション取得者はそれなりに年収が高く、自己資金も多く準備しているものの、所要資金が高いため、年収倍率が高く、総返済負担率も高くなります。もちろん、その分、まっさらで気持ちのいい新築マンションに住めるという充足感があるでしょう。

どちらがいいのか、それは年収などの条件のほか、それぞれの価値観にもよります。自分たちの年収、自己資金などの客観的条件をキチンと把握した上で、新築がいいのか、中古がいいのか、十分に検討してから決めるようにしたいところです。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア

おすすめ記事