2020年8月の住宅ローン金利動向。【フラット35】金利は2ヶ月連続の引き上げ

日本国内では経済活動が戻りつつも、新型コロナウイルス感染拡大が再び全国で拡大し始めています。このような状況下で、住宅ローン金利はどのように推移したのでしょうか。8月の【フラット35】金利動向を見ていきましょう。

2020年8月の【フラット35】金利は前月に続き+0.01%

今月の、全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利は先月からプラス0.01%となり、融資率9割以下、返済期間21~35年機構団信を含めて1.31%に。また融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.24%となりました。7月に続き2ヶ月連続の引き上げとなります。

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ARUHIの各ローンも0.01%の引き上げに

物件価格の4割以上の頭金があれば、従来の【フラット35】(買取型)よりも低い金利が適用される商品「ARUHIスーパーフラット6」(※団信込み)は1.11%。

物件価格の3割以上の頭金があれば、従来の【フラット35】(買取型)よりも低い金利が適用される「ARUHIスーパーフラット7」(※団信込み)は1.16%。

物件価額の2割以上の頭金があれば、従来の【フラット35】(買取型)よりも低い金利が適用される「ARUHIスーパーフラット8」(※団信込み)は1.21%。

物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット9」(※団信込み)は1.26%と、いずれも先月の金利からプラス0.01%となりました。

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参考:最新の住宅ローン金利はこちら【ARUHIフラット35】

まとめ~コロナ感染再拡大の状況下で【フラット35】金利は上昇

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。

7月上旬には、一時的に長期金利が0.04%くらいまで上昇しました。これは日本政府が新型コロナウイルス関連の緊急経済対策のお金を集めるため、国債を増発されてマーケットの国債が供給過剰となる見込みから、債券価格が下がった(長期金利は上がった)ためです。

しかしその後、世界各地で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることへの警戒が安全資産とされる債券相場を支えており、長期金利は再び下がり、7月中旬から下旬にかけては0.02%前後で横ばいに推移しています。

8月の【フラット35】(買取型)の金利はイレギュラーな上昇となりました。今回は例年よりも少し早いタイミングで機構債の表面利率が発表されたのですが、長期金利の前日終値は0.02%と、前月と同じくらいで推移していたため、機構債の表面利率も横ばいの0.36%となりました。ここまではセオリー通りです。

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※)からすると、その金利は機構債の表面利率と連動しますので、同じように横ばいとなるはずなのですが、実際は下表のように0.01%の上昇となったのです。

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実体景気が上向いていなくても、【フラット35】(買取型)の金利が上がることがあります。長期金利の指標となるのは10年国債の利回りであり、これがたまたま上がったタイミングでは機構債の表面利率も上がらざるを得ません。

しかし今回は、機構債の表面利率も横ばいとなったので、【フラット35】(買取型)の金利が0.01%上がったということは、それだけ住宅金融支援機構に利益が増えることを意味します。

ちなみに2020年7月は、長期金利と機構債の表面利率が0.02%上がったのに、【フラット35】(買取型)の金利上昇は0.01%に抑えられていました。前月はそれだけ損を被っていたのです。

なお、住宅金融支援機構は営利を目的としない非営利団体ですので、利益の平準化という意図で住宅ローンの金利を決定することは無いという建前をとっています。しかし、住宅ローン利用者の立場からすると、2020年7月に実行した場合には0.01%お得になっており、2020年8月に実行した場合は0.01%損になっていると言えるでしょう。

※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み

住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み
フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

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(最終更新日:2020.10.29)

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