新型コロナウイルス感染症の拡大防止で、海水浴場が開設されないところや、花火大会が中止になったところもたくさんあります。夏のレジャー断念を余儀なくされる中、外出自粛により、小さな子どもをビニールプールで遊ばせたり、ベランダでバーベキューなどのキャンプ(ベランピング)をしたりする光景が増えています。でも、ベランダやバルコニーはマンションの共用部分。問題はないのでしょうか。

ベランダでプール遊びの問題点は?

ベランダやバルコニーで子どもをプール遊びさせるときに大きな問題となるのが排水です。ベランダの排水溝は、雨水を流す目的で作られているもので、大量の水を流すことを想定していません。ゴミ詰まりを防ぐ目的で配管部が途切れているので、一度に大量の水を流すと下の階のベランダがベチャベチャになってしまうこともあり得ます。場合によっては排水溝が流した水の量に耐え切れず、壊れてしまうかもしれません。

近年の高級マンションではバルコニーにスロップシンクという底の浅い流し場が設置されているところもあります。スロップシンクは、靴や雑巾を洗ったり、ペットのシャンプーをしたり、バルコニーの植木に水をやるときなどとても便利です。

技術的に言えば、プールの水をスロップシンクから流せば、排水溝を詰まらせるおそれもなく、ベランダやバルコニーでのプール遊びも、可能といえば可能です。ただ、それでも、管理組合に確認をとったほうがよいでしょう。

ベランダは廊下と同じ共用部分

ベランダやバルコニーは各住居に付いているため、それぞれの住民が何をしても大丈夫と思いがちですが、実は住民の専有部分ではありません。廊下やエントランスと同じように共用部分です。よって、管理組合の扱うところとなります。不動産コンサルティング会社さくら事務所のコンサルタント、大浦智志氏は住民のできることとできないことについて、次のように話します。

「管理規約の中でも住まいのことを細かく定めているのが『使用細則』です。使用細則を読んでもらえれば、ベランダでプールが使えるかどうか分かるでしょう。例えば、公益財団法人マンション管理センターが作成した『中高層共同住宅使用細則モデル』(URL:http://www.zenkanren.org/pdf/laws/008_h_00.pdf  )を見てみます。

出典:公益財団法人マンション管理センター「中高層共同住宅使用細則モデル」より抜粋

この使用細則モデルは、分譲マンションの管理組合が使用細則を作成するときに参考として幅広く活用されているものです。これを見ても『多量の撒水』を禁止しているだけで、プールの是非には触れていません。しかし、明確に記載がなくても、子どもの声などで他の住人に迷惑をかけることがあれば、やはり配慮が必要です」

マンションは立地によっても住人の属性も個性も大きく異なります。子育て世代の若い夫婦が比較的多く住んでいるような郊外のマンションでは、ベランダで子どもがプール遊びをしていても、「お互いさま」で問題になりにくいかもしれません。

しかし、リタイア後の高齢者が多く住んでいる都心のタワーマンションだと、子どもらの大きな声に苦情が出る可能性も考えられます。トラブルを避けるには、ルール以外にも様々な状況判断が必要です。

ベランピングは騒音、煙、臭いなどの苦情になるケースも

マンションのベランダにテントを張ったり、ランプを灯したり、バーベキュー(BBQ)を楽しむベランピング。ベランピングは「ベランダ+グラマラス+キャンピング」をかけ合わせた造語ですが、手軽にアウトドア気分を味わう方法として密かな人気になっています。

ベランダで一人ビールを楽しむぶんには何ら問題はありませんが、数人でバーベキュー(BBQ)パーティーをするとなると話は違ってきます。
まず、万が一、火災を発生させて消防車が来るような事態になったら大問題に発展します。火災にならなくても火の後始末の問題はありますし、煙の問題もあります。煙や臭いが近隣住民の洗濯物に付着するおそれがあります。

「煙が出ないロータスグリルやホットプレートを使えばいいのかといえば、そうではありません。近隣への騒音問題もあります。まったく会話をしない、あるいは小さな声でささやくBBQパーティーはかなりハードルが高いような気がします」(大浦氏)

大浦氏は、BBQもビニールプール同様、管理規約上は禁止されていると話す。

「マンション管理センターの細則モデルを見ても、『騒音、振動、悪臭及び煤煙等を発生させる行為』と『引火、発火及び爆発のおそれのある物品の製造、所持又は持込み』が禁止されています。

出典:公益財団法人マンション管理センター「中高層共同住宅使用細則モデル」より抜粋

タワーマンションによっては、明確にバルコニーでのBBQを禁止しているところもあります。一般的にタワマンのほうがルールが厳しいです。高層なので突風なども起こりやすいし、そもそもバルコニーに出ることすら想定していないタワマンもあります。そういう物件では洗濯物を干すこともできないし、避難通路だけに使うことになっています。タワマン以外の普通のマンションだと禁止事項としてBBQを特定してはいませんし、とくに古いマンションほど書いていません。目安としては15年くらい前です。それ以降はトラブルなどのノウハウの蓄積もあって、細かく規定されているケースが多くなりました」

実はこのBBQ問題、コロナ自粛で最近クローズアップされただけで、昔からよくある話なのだとか。入居後にベランダでBBQをしたいという声はあって、逆に言えば、それだけニーズがあるということにもなります。最近は、最初からBBQができる共用施設を備えた付加価値の高いマンションもあるそうです。

また、大浦氏は、管理組合の運営は住民の総意で変えることができるケースもあると言います。

「近所で行われる花火大会にあわせて屋上を開放し、住民皆で軽い飲食ができるよう、管理組合総会で決めた例もあります。もちろん、フェンスを作るなど追加的に安全対策は必要でした。変更可能なこともあるので、積極的に話し合うことが重要です」

なお、マンションのベランダは共用部分として避難通路でもあり、いざというときは近隣住民が通ることにもなります。避難を妨げるような構造物を設置することは禁じられています。ベランダの温室化や暑さを和らげるための緑のカーテンなども、やはり管理組合に相談したほうがよいでしょう。

<取材協力>株式会社さくら事務所

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

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