2020年6月19日、新型コロナウイルスの感染拡大で政府が自粛を呼び掛けていた都道府県をまたぐ移動が、全国で解禁されました。とはいえ、第2波、第3波への警戒も必要で、今後も「巣ごもり消費」の傾向は続くと思われます。「巣ごもり消費」の内容や、これから本格的にやってくるとみられる収入減に向けた節約等について考えてみましょう。

「巣ごもり消費」で増えた支出と減った支出

4月7日に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発動され、多くの人が「STAY HOME」を実践しました。エッセンシャルワーカー以外の会社員などはリモートワークとなり、子どもたちも自宅でオンライン授業や課題に取り組む日々となりました。

いわゆる「巣ごもり消費」の影響は6月上旬に発表された総務省の「家計調査(4月)」にも現れています。

まず、支出が増えた品目には次のようなものが挙げられます。

2020年4月に大きく増えた支出
・米、パスタ、カップ麺、即席麺、肉、冷凍調理食品、チューハイなど
・電気代、インターネット接続料、上下水道料など
・ウェットティッシュ、マスク、せっけん類
・パソコン、ゲーム機、ゲームソフト
・郵便料

※総務省「家計調査(4月)」 より

自宅で食事を作って食べることが増えたため、食品関係や電気・水道料などは当然、アップしています。また、仕事環境や子どものオンライン授業の環境を整えるため、パソコンを購入し、テレワークやオンライン授業に対応した世帯も少なくなかったようです。ゲーム機やゲームソフトも消費が進みました。

もちろん、マスクや手洗いの徹底で、マスク費やハンドソープなどのせっけん類も支出が大きく増加しました。

一方で、大きく減った支出には次のようなものがあります。

2020年4月に大きく減った支出 
・外食代、飲酒代、給食費
・洋服、くつ ・マッサージ料金等(診療外)
・電車賃、定期代、バス代、タクシー代、航空運賃、有料道路、ガソリン代 ・宿泊料、パック旅行費
・映画・演劇等入場料、文化施設入場料、遊園地入場
・乗物代
・乳液、口紅

※総務省「家計調査(4月)」 より

外出をしなかったことから外食が減ったほか、交通費関係も減りました。旅行やレジャー関係も軒並み減りました。また、リモートワークでスーツの購入も減ったほか、マスクを常時するので女性は化粧品の消費も減りました。

実はトータルの支出は縮小

「巣ごもり消費」では増えたもの、減ったものがありますが、ではトータルではどうかというと、実は消費支出自体は減っています。「家計調査(2020年4月)」では、勤労者世帯(2人以上世帯)の消費支出は30万3,621円でした。前年同月比では実質▲10.0%です。

一方、収入については、勤労者世帯(2人以上世帯)の実収入は1世帯当たり53万1,017円で、前年同月比で実質0.9%の微増でした。税金や社会保険を引いた可処分所得は、▲0.6%と微減でした。

つまり、可処分所得は微減だったものの、消費支出が増減を加味して10%低下したので、貯蓄はむしろ増えたはずではないでしょうか。

 

※出典:総務省「家計調査(4月)」

家計を圧迫している場合は「やりくり費」の見直しを

「巣ごもり消費で食費などの支出が増えた」といった報道がありましたが、「家計調査」を見る限り、減った支出もあることからトータルの消費支出は1割減だったようです。皆さんの家計はどうだったでしょうか。

もし、さほど収入が変わらなかったのに、「巣ごもり支出」が増えて家計を圧迫している傾向が見られた場合は、今後のためにも、「やりくり費(流動費)」の見直しが必要です。今回はこの「やりくり費(流動費)」にクローズアップします。今後、収入が下がりそうな家計では「固定費」の見直しが急務ですが、それは次回、詳しく取り上げます。

「巣ごもり消費」で増えたものの多くが「やりくり費(流動費)」でした。万が一、再度、異常事態宣言が出て「巣ごもりアゲイン」となったときでも、前回の「巣ごもり消費」のときの増加分を抑えることができれば、収入が少し減少したとしても、家計が赤字にならずに済むかもしれません。

「巣ごもり」状態になっても、支出をあまり増やさない方法として、FPの立場でアドバイスできるものとしては次のようなものがあります。いずれかできそうなものを複数実行してみてください。

食費は予算を5週で割る

食費の1ヶ月の予算は、米やビールなどまとまった支出分を取り分け、それ以外を5週に分けて管理しましょう。例えば、家族4人で食費が42,000円のご家庭では、お米とビール・ワインで12,000円として、残りの30,000円を5週で割って、1週間6,000円。この範囲でやりくりします。5週目は数日しかないので、プチ贅沢ができます。

お取り寄せ貧乏を回避

「巣ごもり消費」の中で、各地のおいしいものや珍しいもののお取り寄せにはまった人も多いのでは? 食費が膨らんだと自覚している人の中に、こうしたお取り寄せ費がかさんだことが原因になっているケースもあると思われます。心当たりがある方は、前項の予算を意識することで解消するはず。お取り寄せもほどほどに抑えましょう。

日用雑貨も予算制で

コロナ禍で、トイレットペーパーやティッシュも棚から消え、品不足で一時は高騰したマスクや消毒薬ですが、今ではスーパーやドラックストアに山積みです。第2波、第3波に備えて買い溜めしたい気持ちは分かりますが、在庫は最大1ヶ月分くらいでいいのでは? 食費同様、毎月の予算を決めると、ブレーキもかかります。

水道光熱費は生活習慣を変える

金額的には大きな効果は見込めませんが、不要な電気はこまめに消す、歯磨きやシャワー時に流しっぱなしをしない、テレビは音量を下げる、エアコンは夏28度、冬20度に設定する、電源は元から抜くなど、生活習慣をちょっと変えて、少しでもエコ & 節約につなげましょう。また、電球をLEDライトに替えるだけでも消費電力を抑えられます。電力の自由化で、他社サービスに切り換えるだけで費用が抑えられることもあるので比べてみては?

人気のゲーム機・ソフトはきれいに保管を

「巣ごもり消費」では、ゲーム機やゲームソフトの購入も増えました。家族でゲームを楽しむ機会が増えたのかもしれません。中古で購入して安く手に入れるのも一つの方法です。また、いずれ飽きてやらなくなる時期が来たら売れるよう、箱やパーツをなくさないようにしましょう。また、壊さないようにすることも大事です。

ルール決めは家族会議で行う

他にも様々なアイデアがあると思いますので、家族会議などをして話し合ってみてはどうでしょう。「シャンプーは2プッシュまで」「おやつの箱アイスは1日1本まで」「ビールは1日1本まで」「ゲームは平日1時間、休日2時間まで」など、生活習慣に関わるものは素直に聞き入れにくいので、家族会議で子どもも交えて決めるといいのでは?

どんなときも「生活予備費」をしっかりキープ

新型コロナウイルスの第2波、第3波がいつ襲ってこないとも限りません。家計に関して、今、絶対にやっておいてほしいのは、生活予備費の確保です。

生活予備費とは、想定外のことが起きたときなどに備える家計の防波堤で、生活費3~6ヶ月分を普通預金などでキープしておくもの。これがきちんと準備できていれば、収入減の波が襲って来てもしばらくはしのげます。その間に家計の立て直しを図る時間稼ぎができます。

そのため、生活予備費が十分でないご家庭では、1人一律10万円受け取れる「特別定額給付金」は生活予備費に回しましょう。百歩譲って一部を使ったとしても、残りは確実にキープして、予備費不足を補いましょう。

この考え方はコロナ禍に限らず重要です。住宅購入で頭金や諸費用を出した後でも、子どもの教育費がかかる時期であっても、常時、生活予備費を確保しましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

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