派手好きなのに倹約家――とは、名古屋人の気質を表すのによく使われる表現です。日頃は質素な生活をしながらコツコツとお金を貯め、冠婚葬祭などでパーッと派手にお金を使う人が多いようで、それは住まい選びにも反映されています。大都市圏にありながら、東京人や大阪人とは大きな違いがあるようです。

戦国の三英傑やトヨタ自動車を生み出した土地柄

長く続いた戦国時代を天下統一により終わらせ、泰平の世を生み出したのは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑ですが、いずれもいまの愛知県に相当する尾張・三河の出身です。信長の楽市・楽座などにみられる独創性、秀吉の太閤見地などの体制整備、そして家康の辛抱強さ、堅実性などが、愛知県民や名古屋人気質として受け継がれているのではないでしょうか。

たとえば、その独創性の高さからわが国を代表する製造業を生み出し、愛知県の製造業出荷額は全国でも断然のナンバーワンです。独創性だけではなく、それを企業経営に反映される堅実性の高さなどが、トヨタ自動車などの世界的な企業を生み出したといっていいでしょう。

ふだんは質素で、堅実な倹約家なのですが、しかし、使うときには、パーッと派手に使います。決してケチというわけではありません。お金の使い所を知っている人たちが多いのではないでしょうか。いまでも、結納や結婚式など冠婚葬祭には派手にお金をかける見栄っ張りであるともいわれます。
住まいに対する考え方、住まい選びなどにもそんな名古屋人気質をみてとることができそうです。

三大都市圏の中でも一番持家志向が強い

わが国の三大都市圏のなかでも、名古屋圏は最も持家指向が強いようです。国土交通省の「平成30年度土地問題に関する国民の意識調査」では、住宅に関する所有意識を聞いていますが、「土地・建物については、両方とも所有したい」とする人が三大都市圏の中では一番高くなっているのです。

全国平均では「土地・建物については、両方とも所有したい」とする人は74.6%で、東京圏は74.4%、大阪圏は66.9%ですが、名古屋圏は79.8%に達しています。全国平均より5.2ポイント高く、大阪圏に比べると12.9ポイントも高いのです。

どうせ住宅にお金をかけなければならないのなら、払いっ放しになる賃貸住宅ではなく、資産になる持ち家のほうが得策という堅実な考え方をみてとれるのではないでしょうか。住宅ローンなどで多少の苦労はあっても、持ち家は将来の財産になるのだから、苦労のしがいがあるということでしょう。

東京、大阪はマンション中心だが名古屋は「一戸建て」

その持ち家、どんな住まいを希望しているのでしょうか。やはり国土交通省の調査によると、三大都市圏の中では一戸建て志向が強いのが名古屋圏の特徴です。

今後の望ましい住宅形態を聞いたところ、「一戸建て」と回答した割合は、全国平均では65.0%であるのに対して、名古屋圏は77.3%に達しています。東京圏の61.5%、大阪圏の48.5%より高く、ここにはありませんが、三大都市圏以外の地方圏では67.8%という結果でした。

どのエリアと比べても、名古屋圏の一戸建て志向の強さが際立っています。東京圏や大阪圏の住宅市場をみても、いずれもマンションが市場の中心ですが、三大都市圏の中では、名古屋圏だけは一戸建て中心の市場なのです。

一戸建て、中でも「注文住宅」志向が強いのが特色

写真はイメージです

それも、注文住宅志向が強いのが名古屋人の特徴でもあるようです。

リクルート住まいカンパニーが、住宅の購入・建築を検討している人に対して、検討している住宅の種別を聞いた結果では、名古屋を含む東海圏では、「注文住宅」を検討している人が70.5%に達しており、他のエリアと格段の差があります。

同じ一戸建てでも、建売住宅や中古一戸建てではなく、注文住宅にこだわるのが、いかにも見栄っ張りで派手好きな名古屋人ということでしょうか。出来合いのものではなく、自分たちらしい住まいを求める傾向がハッキリしています。

長く使える「長期優良住宅」が多いのも名古屋人の特徴に

やはりリクルート住まいカンパニーの調査では、新築か一戸建ての希望を聞いていますが、名古屋を中心とする東海では、「ぜったい新築」「どちらかといえば新築」の合計が79.8%とほぼ8割に達しています。全国平均では68.8%であるのに比べて10ポイントも新築志向が強くなっています。

中古に比べて価格が多少高くなっても、新築のほうが見栄えもよく、長く住めるというという点が名古屋人気質に合うのでしょうか。

長く住めて、結果的には得になるという点では、長期優良住宅や低炭素住宅の認定を受けた住宅の割合が高いのも名古屋圏の特徴です。

長期優良住宅は100年住宅、200年住宅ともいわれ、耐久性や耐震性など住宅の基本性能に関する9項目の条件を満たす必要があります。当然、価格的には一般の住宅より高くなりますが、長く快適に住めますから長い目でみれば長期優良住宅のほうが得策であり、いかにも名古屋人の気質に合致する住宅ということができます。

”親がかり”でも気に入った住宅を建てたい、買いたい

全国平均では長期優良住宅と低炭素住宅の合計が78.3%ですが、名古屋圏では同様の数字が87.2%と10ポイント近く高くなっています。

長期優良住宅は一般の住宅に比べて価格が高くなりますが、その分長く快適に生活できます。たとえば、一般の住宅が2000万円で、住める期間が100年とすれば、1年当たりの単価は20万円です。それに対して、長期優良住宅にするために価格が3000万円になったとしても、200年住めれば、1年当たりの単価は15万円です。当初の負担が重くなっても、子々孫々の代まで考えると長期優良住宅のほうが格段に有利になり、名古屋人気質に合いそうです。

親から”贈与”を受ける割合が高い

金額が高くなる分については、親も援助を惜しみません。子どもにいい家に買わせて、見栄を張るためにも、マイホームの取得時に住宅取得資金を贈与する親が多いのです。

年間110万円超の贈与に関しては、親子の間でも贈与税の対象になりますが、住宅取得資金としての贈与であれば、一定額まで非課税になる制度があります。その利用者をみると、名古屋圏は21.8%と全国平均の15.9%を6ポイント近く上回っています。

子どもの結婚に当たっては結納、結婚式をドーンと派手に行って自慢するという名古屋人気質が、マイホーム取得にまで及んでいるのではないでしょうか。いかにも名古屋人らしい傾向に思えます。

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