日本一住みやすい都道府県はどこかとなると、これはもう好みや価値観の問題になってきますが、少なくとも、住宅の延床面積の広さや、基本性能、設備の充実度などからは、どこが一番優れているのかといった客観的な判断を下すことができると思われます。その点からみた日本一は?

日本一住宅の延床面積が広いのは143平方メートル台の富山県

まず、住宅の延床面積の広さをみると、図表1にあるように、最も広いのは富山県の143.57平方メートルで、次いで福井県の136.89平方メートル、山形県の133.57平方メートルとなっています。

上位の顔ぶれをみると、ベスト5はすべて日本海側の県が占めています。最近でこそ雪は少なくなってきましたが、かつては冬になると数ヶ月の間、2m、3mの雪に閉じ込められた地域であり、冬の間、家の中で農作業をするためのスペースが必要ということから、広くなったといわれています。また地域のつながりが強く、ことあるごとに親戚縁者が集まるために、広い住まいが必要だったともいわれます。現在も富山県に残るかつての豪農の住まいをみると、襖で閉じることができる田の字型の大空間もあって、襖を取り外せば大広間になります。

同じ田の字型プランでも、現在のマンションの田の字型プランとでは雲泥の差があります。

(資料:総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査』)

面積が狭い住宅は大都市部中心だが沖縄県も狭い

反対に、延床面積が最も狭いのは東京都の65.18平方メートルで、トップの富山県の半分以下です。その他、下位の顔ぶれは大阪府や神奈川県など大都市部が多いものの、沖縄県がワースト2位に入っているのが注目されます。大都市は地価が高い分、どうしても1戸当たりの延床面積が狭くならざるを得ませんが、沖縄県はなぜなのでしょうか――。

沖縄県でも、昔ながらの伝統的な住まいは広い家が多かったのですが、太平洋戦争の沖縄戦でそのほとんどが焼失してしまいました。しかも、戦後はアメリカ軍が進駐して基地を建設、土地を接収されたために家を建てることができない人たちが続出しました。合わせて、戦後には都市部への人口集中が進んだこともあって、賃貸住宅に住まざるを得なくなった人たちが多かったといわれています。

国土交通省の『建築着工統計調査』をみても、1戸当たりの貸家の延床面積は持ち家の半分以下ですから、貸家が多い分だけ、延床面積の平均が小さくなるのでしょう。

持ち家率が最も低いのは沖縄県で東京都がワースト2位に

そこで、持ち家率の高さをみてみましょう。
トップは秋田県の77.3%で、2位が富山県の76.8%、3位が福井県の74.9%などとなっています。図表2にある通りです。

この上位の顔ぶれは、図表1の延床面積の広さの順位とかなりかぶっています。日本海側の県が上位に並んでいて、この地域では自分名義の広い住まいで生活することが当たり前の文化になっているといってよさそうです。

反対に、最も持ち家率が低いのが沖縄県でした。先に触れたように、戦争で家を失ったり、土地を接収された人が多かったことなどが影響しているのではないでしょうか。

そのほかでは、東京都がワースト2位で、福岡県、大阪府など大都市を抱える府県が下位に並んでいます。

(資料:総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査』)

長期優良住宅の認定件数は愛知県が断然トップに

住宅の基本性能の高さを示すデータとして、長期優良住宅の認定件数をみてみましょう。長期優良住宅制度は、基本性能の高い住まいに国が長期優良住宅としてお墨付きを与える制度で、2009年度にスタートしました。長期優良住宅は、別名100年住宅、200年住宅ともいわれています。

制度創設から10年ほどの認定件数を都道府県別にみると、図表3のようになっています。
愛知県が約12万戸で、2位の東京都は約7万戸ですから、愛知県が断然トップです。新設住宅着工戸数そのものは、東京都や神奈川県などの首都圏が多いのですが、首都圏ではマンションが中心で、マンションは耐震性能など、一戸建てに比べて長期優良住宅の認定を受けにくく、長期優良住宅の認定件数が少ないといわれています。

それに対して、愛知県は三大都市圏の中でも一戸建て志向が強く、県民も建物へのこだわりが強いといわれています。それが結果に反映されているのではないかと思われます。

(資料:国土交通省ホームページ)

「我が家は地震に強い」と思う割合は太平洋岸に多い

長期優良住宅の認定条件のひとつとして、耐震等級の高さも必須条件となっていますが、その耐震性能に関しては、「我が家は震度7まで耐えられると思うかどうか」を聞いた、少しユニークな調査があります。

それによると、図表4のように、福島県が26.2%のトップで、宮城県、静岡県と続いています。いずれも、太平洋岸の比較的大規模地震が多く、南海トラフなど地震リスクの高いエリアが上位に並んでいます。

特に、福島県や宮城県は2011年の東日本大震災で大きな被害を受けたこともあり、地震保険への加入率が高く、県民の地震への備えの意識が高いエリアといっていいでしょう。中でも、宮城県は地震保険の加入率が全国で最も高くなっています。

それだけ地震に対する備えに力を入れており、耐震性能の高い住まいを建てたり、万全の耐震補強を行っている住まいが多いのではないかと思われます。

(資料:エヌ・シー・エヌ『耐震に関する全国意識調査』)

一定のバリアフリー化率が最も高いのは長野県

住まいのバリアフリーについても、長期優良住宅の認定条件のひとつになっていますし、これからますます高齢化が進んでくれば、さらに重要になってくるでしょう。
そのため、国土交通省の『住宅・土地統計調査』でも、住まいのバリアフリー化率を調査しています。

その結果、一定のバリアフリー化率が最も高いのは、図表5にあるように長野県の48.7%で、2位は島根県の48.0%、3位が富山県の47.5%という順位でした。

一定のバリアフリー化というのは、2箇所以上の「手すりの設置」または「段差のない屋内」が実現されている住宅のことで、バリアフリーとしては最低限の水準のような気がしますが、それでも実現率がトップの長野県でさえ半分に達していないというのは、ちょっと寂しい気がします。

(資料:総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査』)

山梨県では5軒に1軒以上が空家になっている

最後に、住宅の基本性能の維持にとっては最も障害になる空家率をみておきましょう。長い間人が住んでいないと、住まいの傷み方が早くなり、地域の景観を阻害したり、衛生上や防犯上の問題が発生したり、万一の災害時には救護活動を阻害する要因などになりかねません。もちろん、空家率が高いと、地域の交流などが進まず、住み心地も悪くなるのではないかと思われます。

その空家率、全国で最も高いのは、図表6にあるように山梨県の21.3%で、2位は和歌山県の20.3%、3位が長野県の19.6%と続いています。東京や大阪などに隣接したり、新幹線などで直結している県が上位3位までを占めています。東京や大阪に人口が吸収されると同時に、利用されなくなった別荘が多いことも関係しているようです。反対に、大都市部では空家率が低くなっています。

(資料:総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査』)

 

(最終更新日:2020.06.16)
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