マンション価格が高騰して買いにくくなっているのは周知の通りですが、マンションの場合には一戸建てと違って、所有している上での様々なランニングコストがかかる点にも注意が必要です。その点を十分に理解していないと、購入計画に影響が出るだけではなく、新居での生活にも支障が出てくることになります。

マンションには一戸建て以上にランニングコストがかかる

マンションを買うと、毎年、毎月かかるコストとしては固定資産税・都市計画税の税金と、管理費、修繕積立金などがあります。クルマを持っている人だと、これに駐車場使用料が加わります。

それに対して、一戸建ての場合にもやはり固定資産税・都市計画税がかかり、区分所有のマンションに比べると税額はやや高くなります。しかし、管理費や修繕積立金はありませんし、ほとんどの場合には敷地内に駐車場スペースがあるので、駐車場使用料もかかりません。

もちろん、一戸建てといえど定期的にメンテナンスする必要があるので、その費用をキチンと積み立てて準備しておく必要がありますが、それでも、マンションに比べるとランニングコストはかなり少なくなるのではないでしょうか。

逆にいえば、マンションを取得する場合には、ランニングコストをキチンと計算に入れておかないと、資金計画や新居での家計運営に大きな影響が出てくることになります。

管理費…首都圏では月額2万円近い負担

では、そのランニングコスト、実際にどれくらいになるのか、東京カンテイの調査からみてみましょう。

まず、首都圏の管理費や修繕積立金は図表1にあるようになっています。2019年の70㎡換算の平均値をみると、管理費は1万9,085円、修繕積立金は7,826円で、月額負担の合計は2万6,911円になっています。グラフでも分かるように、このところはマンション価格の上昇に合わせて、管理費・修繕積立金も上昇傾向にあります。

ただ、これはエリアによってかなり異なってきます。2019年の管理費をみても、首都圏は1万9,085円と2万円近くに達していますが、中部圏は1万2,541円で、近畿圏は1万1,346円です。近畿圏と中部圏を比べると、以前は近畿圏のほうが高かったのですが、このところは中部圏のほうが高い傾向にあります。

修繕積立金は、首都圏は7,826円ですが、近畿圏は6,232円で、中部圏が7,393円です。修繕積立金でも、近畿圏より中部圏のほうが高くなっています。

(資料:東京カンテイ『マンションのランニング・コスト最新動向』)

戸数規模や最高階数によっても大きく異なる

管理費や修繕積立金はエリアによって異なると同時に、マンションの戸数規模や最高階数によっても大きく違ってきます。

当然のことですが、戸数規模が小さいと1戸当たりの管理費や修繕積立金のコストは高くなりますが、戸数が増えるとスケールメリットで1戸当たりの負担は小さくなります。ただ、大規模マンションだと今度は共用施設が増えたり、コンシェルジュの配置などによって管理費が高くなる傾向があります。

図表2でも分かるように、首都圏の場合でみると、50戸未満では2万3,111円ですが、戸数規模が大きくなると、少しずつ少なくなって、300戸以上(500戸未満)が1万3,082円と1万円以上安くなります。それが、500戸以上になると2万2,776円と50戸未満と同じように2万円台に増えます。

近畿圏ではこれほど極端ではありませんが、それでも50戸未満と500戸以上の管理費が高く、中規模クラスはやや安くなっています。

(資料:東京カンテイ『マンションのランニング・コスト最新動向』)

最高階数が高くなると大規模修繕の費用が高くつく

最高階数による違いを首都圏の例でみると、2019年の管理費の平均は最高階数20階未満が1万8,751円と最も安く、20階以上30階未満では1万9,341円、30階以上40階未満では2万7,701円に上がります。ただ、40階以上では2万5,738円とやや安くなります。

修繕積立金についてもほぼ同じような傾向で、戸数規模が大きいほど、最高階数が高いほど負担が重くなります。超高層マンションでは、外壁改修時には、屋上から足場を吊り下げて昇降させるゴンドラでの作業が必要になるなど、コストが大幅に増加するので、それを見込んで高くせざるを得ないといった事情があるからです。

ここでは、首都圏の例でみましたが、近畿圏、中部圏でもほぼ同じ傾向と考えていいでしょう。

駐車場…クルマのある人は負担も大きい

管理費・修繕積立金のほか、クルマのある人にとっては駐車場使用料も大きな負担になります。実はこの負担が管理費・修繕積立金の合計とほとんど同じぐらいの金額になってしまいます。

2019年の平均は、首都圏では2万3,563円で、近畿圏は1万6,224円、中部圏は1万4,385円です。

合計…毎月約6万円のランニングコスト

図表1にあるように、首都圏の管理費・修繕積立金の合計は2万6,911円ですから、それに駐車場使用料の2万3,563円を加えると合計5万474円に達します。

これが東京23区になると、管理費は2万2,911円で、修繕積立金は8,176円、そして駐車場使用料は3万2,025円に増えます。合計すると6万3,112円に達します。

ちなみに、不動産経済研究所によると、2019年の東京23区の新築マンションの平均価格は7,286万円です。仮に1,286万円の自己資金を用意しても、6,000万円の住宅ローンが必要で、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は約17万円です。これに、6万円のランニングコストがかかれば、合計約23万円の負担です。平均的な会社員ではなかなか手が届きそうにありません。

新築マンションの駐車場設置率は3割を切っている

このため、最近は駅前立地などの利便性の高いマンションを取得する人の間では、マンション購入時にクルマを手放す人が増えているともいわれています。駅前立地のマンションであれば、通勤・通学の公共交通機関が揃っているだけではなく、大規模な商業施設や商店街なども充実していますから、クルマがなくても日常生活には困らないということでしょう。

中には、多少物件価格が高くなっても、クルマがいらない利便性の高いマンションを買おうとする人もいるのではないでしょうか。

こうした変化を踏まえて、利便性の高い立地のマンションを中心に、総戸数に対する駐車場設置台数の割合を示す駐車場設置率が年々低下しています。

少し古いデータになりますが、図表3にあるように、首都圏では2007年には77.3%だった駐車場設置率が17年には42.2%まで下がりました。特に利便性の高いマンションが多いとみられる東京23区の設置率は29.5%と3割を切りました。

(資料:不動産経済研究所『首都圏の新築分譲マンション駐車場設置率の数』)

修繕積立金は段階的に値上げされる可能性も高い

クルマの保有を諦めれば、マンションのランニングコストは大幅に削減できるわけですが、それでも、修繕積立金に関しては段階的な値上げが前提になっている物件が少なくありません。取得しようとするマンションが段階積立方式を採用していると、10年後などに増額されますから、その準備が欠かせません。

さらに、取得時には一時金として修繕積立基金を徴収する物件がほとんどになっていますが、この修繕積立金も10年後などに再度集めることが前提になっているケースもあります。現在だけではなく、10年後、20年後の負担まで考えてチェックしておく必要がありそうです。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

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