【実家の相続】60%の親世代が相続させたい一方で、子ども世代の意識は低め

実家の相続では親と子どもの意識合わせがあってこそ成り立つもの。ただ、親世代と子ども世代ではやはり意識の違いがあるもの。今回発表された調査結果をもとに、実家を相続する意識の違い、社会的な課題にもなっている「空き家問題」について読み解いていきます。

実家を子どもに相続させたい親世代は60%、子ども世代の意識は低め

相続支援業務を手掛けるランドマーク税理士法人が、首都圏に戸建てを所有する人(被相続人)又は実親が戸建てを所有している人(相続人)を対象に、戸建持家の相続についての意識調査を実施しました。

「将来実家を相続する(させる)つもりはありますか」と尋ねたところ、被相続人である親世代は全体の60%が「実家を子どもに相続させるつもりである」と回答。対して相続人にあたる子ども世代で相続する意思を見せたのは全体の36%にとどまりました。中でも子ども世代の30代では「まだ考えていない」と答えた人が54%と半数以上を占める結果となりました。世代間で意識の違いが生じた背景として、昨今は結婚や出産のタイミングが遅くなっていることや、持家に対する意識がそれほど高くないことが挙げられそうです。

出典:ランドマーク税理士法人「首都圏戸建持家の相続についてのインターネット調査」

相続後の実家の活用法を尋ねると、親世代、子ども世代とも「自分(子ども)用の住居として活用」と答えた人が約半数を占めました。子ども世代と親世代で回答数に差が出たものは「賃貸住宅として活用」「売却する」「まだ考えていない」となりましたが、親世代には「子どもに任せる」と答えた人も多く見られ、相続後の活用方法に関しては関心が高くないこともうかがえました。一方、少数ではありますが「空き家で所有」と言う意見もあり、社会問題となっている「空き家問題」にもつながる結果が見えてきました。

出典:ランドマーク税理士法人「首都圏戸建持家の相続についてのインターネット調査」

子ども世代の不安要素のトップは「相続税」

相続関して不安な点を尋ねたところ、子ども世代では全ての年代で「相続税」と答えた人が最も多い結果となりました。次いで「兄弟・姉妹間での分配」が挙がっています。一方親世代の半数以上が「特になし」と回答しており、他の回答についても子ども世代に比べると不安に感じている人は少ないことが判明。このことから実家の相続に関わる様々な問題について子ども世代と親世代では大きな意識の違いがあることが分かります。

出典:ランドマーク税理士法人「首都圏戸建持家の相続についてのインターネット調査」

相続に関して話し合っている親子は全体の3割弱、理由は世代間ギャップ

親(子供)と、「実家の相続について話をしていますか?」という質問に対して「している」と回答した人は3割に満たないことも明らかになり大多数は話し合いをしていないという現状が浮き彫りになりました。年齢別では子ども世代・親世代共に年齢が上がるほど「話をしている」という回答が増えています。

出典:ランドマーク税理士法人「首都圏戸建持家の相続についてのインターネット調査」

なぜ親子間で話をしないのかをフリーアンサーで回答してもらったところ「時期尚早」と答えた親世代が約5割だったのに対し、子ども世代では3割弱という結果となりました。中でも30・40代の人たちの数値が高いことから、相続する側の子ども世代は準備などを含め早めに情報共有をしたいと考えていることが分かります。また「話をしづらい、面倒」と答えた子ども世代は50代で18%、それ以外の年代でも10%以上でしたが、親世代では2%にとどまりました。相続の話は一般的にも話しづらい「お金」「死」に関する内容であるため、子ども世代から話を切り出すのは気が引けるテーマですが、アンケートの結果を見ると、親世代はそう感じていないこともわかります。一方、親・子世代共に「何となく/特に理由はない」と回答した人も多い事から、身近な問題として実感が湧かないと考えている様子も見えてきます。

出典:ランドマーク税理士法人「首都圏戸建持家の相続についてのインターネット調査」

まとめ

このように実家の相続において親世代、子ども世代には大きな意識の違いがあることがわかりました。特に、「相続税」「兄弟・姉妹の分配」など、子ども世代が実際に相続する段階で大きな問題となることについて、親世代の関心が薄いことが課題といえそうです。

相続の問題は親が元気なうちは現実味がなく、また子ども世代からは切り出しにくいテーマであることから「専門家に相談してみる」というスタンスで親世代から会話のきっかけをつくるのも一案かもしれません。今回の調査では「実家の相続について外部の専門家(税理士・銀行・不動産会社など)に相談している」と答えた人はわずか全体の6%という結果が出ています。

しかし昨今、新型コロナウイルスの例にあるように感染症の拡大や自然災害、事故による不測の死など、万が一の事態に備えておくことも大切です。いざという時に困らないよう、親子間でしっかりと相続について話し合うことが大切といえるでしょう。

【調査概要】
タイトル:戸建持家の相続についての意識調査
調査対象:居住地首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
     ※年代①30~50代(相続人)②60・70代以上(被相続人)、性別不問
     ※条件①実親が一都三県に戸建住宅を所有している②1都三県に戸建住宅を所有し、子供がいる有効回答数:1,030人
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2019年11月29日~12月2日
実施機関:ランドマーク税理士法人

ニュース提供元:PRTIMES

情報提供元:ランドマーク税理士法人

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