新型コロナショック下の「固定費」見直し術、スリム効果が大きい保険やローンどうする?

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による先行きの不透明感が高まっています。これからどうなってしまうのかと不安を抱いている人も多いことでしょう。しかし、将来の不安は、考えたからといって消えるものではありません。いま考えるべきなのは、「どうなるか」ではなく「どうするか」です。これからやってくるかもしれないボーナス減や収入減に備えて、いまこそ家計の見直しを実行しましょう。

不安を少しでも軽くするために

新型コロナが実体経済に与えるインパクトは、かなり大きくなりそうです。中小企業の経営者や、自営業者(個人事業主)、フリーランス、アルバイト・パートなどで働いている人は、いままさに仕事が激減し、大打撃を実感しているかもしれません。

会社員や公務員の人たちは、給与の減少などの直接的な影響はまだ出ていないかもしれませんが、今後はボーナスが大幅減になるなどの影響が出てくる可能性はあるでしょう。勤務先の業績の落ち込みが激しければ、給与が減ったり、最悪の場合は企業の経営破綻によって失業したりする可能性もゼロではありません。

筆者は28歳のころ、勤務先だった山一證券の自主廃業を経験しましたが、経験者として言わせていただくと、会社が潰れるというのは意外とあっけないものです。働いていた社員にとっては、それほどの前触れもなくやってきます。

もちろん、そんな事態は起きないに越したことはありませんが、将来がどうなるかは誰にもわかりません。わからないからこそ不安を感じるわけですが、そのような漠然とした不安を少しでも軽くするためには、いまできることに意識を集中することが重要です。

家計スリム化の第一歩は、固定費の削減余地を探す

FPとして多くの人にアドバイスしたいのは、いまこそ家計の見直しをしておくということです。家計をスリム化しておくことで、ボーナス減や収入減に対応できるようにしておくわけです。

家計をスリム化する上で重要なのが、まずは家計の現状把握です。
すでに家計簿アプリなどを利用して家計のチェックを行っている人も多いでしょうが、まだやっていないという人は、無料で使えるアプリがたくさんありますので、使いやすいものを見つけて利用してみてください。家計簿をつけるという行動をするだけでも、無駄な出費を抑える効果が多少はありますので。

家計の現状がある程度把握できたら、家計スリム化の第一歩は、固定費の削減余地を探すということです。

家計における固定費とは、

・住宅関連(家賃、住宅ローン、維持費・保有税など)
・光熱費(電気、ガス、水道)
・通信費(電話、ケータイ、インターネット回線)
・保険料(生命保険料、損害保険料、共済掛金など)
・教育費(学校教育費、家庭教育費、習い事など)
・車関連(駐車場代、ガソリン代、保有税など)
・ローン返済(車のローン、その他ローン、奨学金の返済など)
・サブスクリプション契約による支払い

などです。

これらの中でもっとも家計スリム化効果が大きいものとしては、ローンの見直しと保険の見直しが挙げられます。

住宅ローンの見直しと保険の見直し

現在、住宅ローンを返済中の人は、現在のローン残高、残りの返済期間、借入金利を確認しましょう。もし、年1.5%以上の金利で返済しているなら、借り換えを検討してみてください。変動金利だと0.5%前後、固定金利でも1.0%前後で借り換えできるところがあります。

複数の金融機関に相談し、借り換えの試算をしてもらってください。諸経費以上の効果があがるなら、借り換えの検討をしてみるのもよいでしょう。場合によっては、100万円単位で総返済額を減らす効果が期待できます。

そして、生命保険や損害保険については、現在契約している保障(補償)の必要性を冷静に見直しましょう。本当にその保険が必要なのかどうか。必要以上の保障(補償)を契約しているなら、減額や解約を検討すべきです。また、同じ保障(補償)内容で保険料の安いところがないかどうかを探すことも重要です。

くれぐれも、保険料負担は必要な保障(補償)を買うための経費と考えて、掛け捨ての保険を基本に考えるべきです。貯蓄性のある保険を提案されるケースも多いと思いますが、保険の貯蓄性というのは他の金融商品と比較して不利な場合が多いので、保障(補償)は保障(補償)、運用は運用、と切り分けて考えたほうが資産形成の面から見ても有効だからです。

このように、まずはローンと保険の見直しを優先的に実行しましょう。年間ベースで10万円単位のお金を浮かせることも可能なはずです。

ほかにも見直しの余地はない?

それから、光熱費や通信費なども、見直し余地がないかどうかを確認しましょう。電気代も電力自由化によって契約する会社によっては安くできる可能性があります。ケータイ代も格安SIMなどに変えることで安くできる場合があります。いずれも毎月数千円の効果だったとしても、年間で数万円のお金を浮かせることができます。

また、近年増えているサブスクリプションで契約しているアプリ使用料などの費用がないかどうかも確認しましょう。毎月の負担は数百円だったとしても、それがいくつもあると年間ベースでは数万円になっているケースもあるはずです。それらの利用頻度や必要性を冷静に考えて、解約できるものは解約すべきです。

そのほか、不用品をメルカリなどで売るのも有効です。せっかく在宅勤務などで家にいる時間が多いのであれば、家計の断捨離、モノの断捨離を進めてみてはいかがでしょうか。

もちろん、節約ばかりを考えるのは楽しくないかもしれません。なので、家計のスリム化によって浮いたお金で、新型コロナが終息したら旅行に行こうなどと、楽しい計画を立ててみてください。楽しい未来を思い浮かべながら実行すれば、家計のスリム化を楽しむこともできるはずです。

より具体的な方法のアドバイスが必要な人は、家計の見直しを専門に行っているFPに有料での相談を申し込むのもひとつの方法です。ただし、FPにもいろいろな人がいますので、相談するFP選びも重要です。相談料だけでなく、専門分野なども確認しながら比較検討するようにしましょう。

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