忙しかった一日を終え、やれやれとベッドに入って目を閉じた途端、どこからともなく聞こえてくる“パキッ”“ミシッ”という不気味なラップ音。もしやこれは心霊現象か!? とドキッとしますが、実はこれ、木造建築に多くみられる単なる自然現象なのだとか。

そこで今回は、音が鳴る仕組みや対処方法について、岡山県を中心に、数多くの住宅を手掛けてきた建築士、三宅和彦さんに話を伺いました。

この音の正体は?

夜遅く、どこからともなく突然鳴り響く “パキッ”“ミシッ”というラップ音。思わずビクッとなった経験はありませんか。夏場にかけて増えてくる、心霊体験を取り扱ったテレビ番組を観た後などであれば、その恐怖たるやなおさらかもしれませんね。でもどうかご安心を!

実はこの音の正体は「家鳴り(やなり)」と呼ばれる、木材の伸縮音。単なる自然現象なんです。

なんで鳴るの? 発生のメカニズム

木材が、湿気を吸ったり放出したりしていることはご存じでしょうか。その際、木材が伸びたり縮んだりすることで、このラップ音が発生します。

とりわけ、柱や梁、桁など、木材と木材を組み合わせた「仕口」といわれる接合部分に収縮による歪みが集中しやすく家鳴りの原因になっています。

また、同じ木造建築であっても、無垢材を多く用いた住宅ではより多く発生するのも特徴です。よく“木が呼吸する”などと表現されますが、この作用による室内の調湿効果が期待できることが、木造建築での住み心地が快適な理由のひとつとなっています。

気になるラップ音は“木が生きている”証拠(写真提供:ミヤケ設計事務所)

夜だけ? 家は大丈夫?

もちろん、「家鳴り」は夜に限った現象というわけではなく、昼間にも発生しています。ただ、周囲が静かになる夜のほうが認識しやくなるため、何となく夜になると聞こえてくる“不気味な音”と思っている人も多いかもしれません。また破裂音にも似ていることから、人によっては「建材が割れたり、ヒビが入ったりしているのでは?」と、破損を心配される人もいるようですが、原因はほとんどの場合が木材の伸縮によるものです。稀に微細な破損によるものもないわけではありませんが、家屋の強度に影響するようなものではないので心配は不要でしょう。

止めることはできる? 防止対策は

原因がはっきりしているのであれば、止める方法もあるはず。と思うかもしれませんが、残念ながら、家鳴りを完全に止める方法はありません。湿気を吸ったり放出したりするのは木材が持つ自然の特性ですので、それをストップさせる方法はないといわざるを得ません。
したがってここでは、軽減対策としての方法をご紹介します。あくまで軽減するためのものですので、“気休め程度”と思って試してみてください

●加湿器を使う
乾燥しがちな冬場は加湿器を効果的に使って、ある程度の湿度を保つようにしましょう。過度の乾燥を防ぐことで家鳴りの発生を抑制できます。

●室温を徐々に変化させる
急激な温度変化も家鳴りの一因となります。したがって、就寝直前に暖房を止めたり、冷房温度を上げたりするのではなく、時間をかけて徐々に変化させていくことで、ある程度の効果が期待できます。

湿度、温度の調整により、少しは音の発生を軽減できるかも

まとめ

家の中で、どこからともなく聞こえてくる“パキッ”という音の正体は、「家鳴り」と呼ばれる木材の伸縮による軋み音です。また、無垢材を多く用いた建築では発生頻度が増す傾向にあります。いずれにしても、決して心霊現象ではありません。この音が完全に消えることはありませんが、徐々に木材が馴染んできて、10年も経てばほとんど気にならなくなります。
それまでは、“家が呼吸しているんだな”くらいに捉えて、あまり気にしすぎないようにすることが、一番の解決策になるかもしれませんね。

〈取材協力先〉
ミヤケ設計事務所  
岡山県岡山市中区桑野379
TEL:086-274-0082
無垢材や漆喰などの天然素材にこだわり、住まう人とともに歳月を重ね、趣を増していく安全で健康的な住宅造りを目指す。

建築士/三宅 和彦さん
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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