【おさらい】食品の「3分の1ルール」とは? ムダに捨てられないよう皆がすぐ出来る事

賞味期限の「3分の1ルール」をご存じでしょうか。日本では、3分の1ルールという食品メーカーにとって厳しい商習慣が存在しており、そのせいもあって年間に500万〜800万トンもの食品ロスが発生しているともいわれています。近年、国を挙げて3分の1ルールを改善する取り組みが推進され、緩和に向けた動きが加速しつつあります。

また、期限切れ間近の商品を格安で購入できるサービスも誕生しており、フードロスの削減に消費者が貢献できるようになりました。
そこで本記事では3分の1ルールの概要や取り組み、そして期限切れ間近の商品を格安で購入できるサービスについて説明します。

3分の1ルールとは?

3分の1ルールとは、食品メーカーとスーパーなどの小売店の間に存在している商習慣です。缶詰やお菓子、飲み物といった食品には「おいしく食べられる目安の期間」として賞味期限が設定されていますが、賞味期限が残り3分の1となる前に、卸業者が小売店に納品しなければならないとい、というものです。

たとえば、賞味期限が6ヶ月の商品の場合、「賞味期限が残り2ヶ月を切るまでに卸業者は、スーパーなどの小売店に納入しなければならない」ことになります。

3分の1ルールとは

賞味期限をむかえる日より2ヶ月前に小売店に卸すことができなければ、卸業者は商品を食品メーカーに返却します。返却された食品は正規の値段で販売することができないので、ディスカウント店などに引き取ってもらうことに。それでも引き取り手がない場合は、最終的に廃棄されることになってしまいます。

3分の1ルールは、まだ食べられる食品を廃棄するフードロスを生み出す大きな原因の一つといわれています。3分の1ルールは、法律で定められているわけではなく、1990年代に食品メーカーと小売店の間に誕生した商習慣です。

法律ではないために、ルールの緩和がかえって難しい側面もあります。食品メーカー側がルールの緩和を求めたとしても、顧客が賞味期限間近の商品を避ける傾向があることを理由に、小売店はあまり乗り気ではありませんでした。

ところが、フードロス削減、3分の1ルールの緩和といった取り組みが行われ始めた当時、返品された商品の処理方法は、廃棄が74%、転売が16%、フードバンク等への提供が1%。ほとんどが捨てられていたことになります。

農林水産省主導の取り組み

近年、フードロスの問題が先進国の大きな課題に

2011年に国際連合食糧農業機関が「世界の食料ロスと食料廃棄」についての調査報告書を公表したことにより、フードロスの問題が先進国の大きな課題であることが広く知られるようになりました。

国内でも大量のフードロスが発生していることから、翌2012年には農林水産省の主導のもと、「食品ロス削減のための商習慣検討ワーキングチーム」が発足。官民を挙げて、フードロスを削減するための取り組みに着手することになったのです。

同ワーキングチームは、フランスやイギリス、イタリア、ベルギーにも同様の商習慣があるものの、日本よりも期限が長く設定されていると説明。日本の3分の1ルールの厳しさがフードロスの発生を引き起こす原因の一つであると指摘しています。

その後7年間にわたり、商習慣の緩和に向けた取り組みが進められ、以下の大手スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアが3分の1ルールの緩和に応じるようになりました。3分の1ルールの緩和を了承した小売店のうち、代表的なものは以下の通りです。

・イオンリテール株式会社
・株式会社イトーヨーカ堂
・ユニー株式会社
・株式会社イズミ
・マックスバリュ8社
・株式会社サッポロドラッグストアー
・イオンビッグ株式会社
・株式会社セイコーマート
・ミニストップ株式会社
・株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
・株式会社ファミリーマート
・株式会社ローソン

大手小売店を中心に3分の1ルールの緩和が進んでいますが、今後は地方の食品スーパーなどへどう拡大していくかが課題となっています。また、緩和の対象としている食品が限定的であるため、大手小売店においても、対象商品の拡大が求められます。

なお、サントリーでは、賞味期限の表示方法を現状の「年月日方式」から「年月方式」への切り替えを進めています。これまで賞味期限が1日短いことが理由で納品されなかったものでも納品の対象となりうるため、廃棄量の削減が期待されています。

消費者ができるフードロス削減の取り組み

フードロスの削減するために消費者ができることとは?

国やメーカー、小売店だけでなく私たち消費者にも貢献できるフードロス削減方法があります。どのような方法でフードロス削減に取り組むことができるのか見ていきましょう。

賞味期限にこだわらない

そもそも、3分の1ルールが誕生したのは、賞味期限が近い商品を日本人が避けようとする傾向が強いことがきっかけでした。日本人の多くは、他国よりも賞味期限を気にしやすく、棚に並んでいる商品の中からより賞味期限が長いものを選びたがります。そのため、厳しい3分の1ルールが普及することになってしまったのです。

したがって、3分の1ルールを緩和するためには、小売店の努力だけでなく私たち消費者が意識を変えることも求められます。冒頭でお話ししたように、賞味期限とは、「おいしく食べられる目安の期間」のことです。賞味期限が近づいている食品や多少過ぎている食品であったとしても品質には問題がありません。

つまり、賞味期限が設定されている食品については、直近で消費する予定であれば、賞味期限が近いものを積極的に選ぶようにすることで、賞味期限切れによる廃棄を減らすことができるのです。

「賞味期限が近い商品を探すのが大変」という人は、スーパーで買い物をする際に、「棚の奥からではなく、棚の手前から商品をとるように」と気をつけましょう。賞味期限のより長いものが奥に、賞味期限が近いものが手前に陳列されているのが一般的です。

期限切れ間近の飲料や食品を格安で購入できるサイトの活用

私たちがフードロス削減のために貢献できる方法として、賞味期限切れ間近の商品を購入できるサイトの活用も挙げられます。現状ではOtameshiKURADASHI.jpなどのサイトが、賞味期限間近の食品を消費者向けに販売しています。賞味期限が間近に迫っているため、価格は通常の半額程度になっていることもあり、大変お得です。

フードロスの削減に貢献できるだけでなく、節約もできるので一石二鳥。スーパーの特売商品を購入するよりも、お得に飲料や食品を手に入れることができます。

また、以上のようなサイトでは、商品を購入する際、自動的に寄付が行われる場合があります。寄付金額は1〜数十円と商品によってさまざま。寄付先を自分で選ぶことが可能なケースもあります。

2020年3月10日現在、Otameshiで寄付可能な団体は11団体です。フードロスの削減と寄付という2つの社会貢献に参加しながら、節約することもできるサービス、ぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

日本のフードロス問題の大きな原因の一つとなっているのが、3分の1ルールと呼ばれる商習慣です。日本人が飲料や食品の鮮度を気にする傾向が強いため、諸外国よりもルールが厳しく、品質的にはなんの問題もない食品でも大量に廃棄されています。

この事態を重く見た農林水産省は、3分の1ルールを緩和すべく取り組んでおり、一部の大手小売店ではルールの緩和を限定的に受け入れつつあります。しかし、まだ地方の食品スーパーなどにまでは浸透されておらず、道半ばの状態です。

今後、3分の1ルールによるフードロスを削減するためには、国や企業の努力だけでなく私たちの意識の改革も求められます。賞味期限にこだわらず商品を購入すること、そして賞味期限切れ間近の商品を格安で販売しているサイトを活用することを心がけるとよいでしょう。

賞味期限切れ間近の商品を取り扱っているサイトを活用すれば、フードロス削減だけでなく、節約も同時に行うことができます。

フードロス問題に関心がある方、格安商品で節約したいと考えている方は、一度サイトを覗いてみてはいかがでしょうか。

<食品販売サイト>
Otameshi:https://www.otame4.jp/
KURADASHI.jp:https://www.kuradashi.jp/

<参考>
「食品ロス削減に向けた納品期限緩和の取組の進捗と今後の展開について」(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/190412.html
「商習慣検討」(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_3.html
「平成24年度 食品事業者環境対策推進支援事業 報告書」(一般社団法人 日本有機資源協会)
http://www.jora.jp/24_syokuhin_sien/pdf/houkoku_all.pdf
「世界の食料ロスと食料廃棄」(国際連合食糧農業機関)
http://www.fao.org/3/a-i2697o.pdf

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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