近年、各エリアの再開発に伴い、駅直結のマンション建設が多く見られます。一般に、駅一体型のマンションには、以下のようなメリットがあるといわれています。

・利便性が高い
・資産価値が落ちにくい
・共用施設が充実している

憧れの住まいのように思えますが、実は注意したい点も少なくありません。本記事では、駅一体型マンションの懸念点について、専門家の立場から解説していきます。

駅直結の一番のデメリットは「騒音」

駅一体型マンションの一番の懸念点は、やはり電車や駅から発される騒音でしょう。また、駅周辺には、飲食店やカラオケ店、パチンコ店などの商業施設が多いのが一般的。さまざまな騒音がマンションの部屋にまで届く可能性があります。

ただし、駅一体型のマンションでは、二重窓など防音対策がとられているのが一般的です。実際、駅一体型のマンションに住む方のなかには、「窓を閉めていれば平気」と話す方が少なくありません。また、「音にはすぐに慣れる」という話を耳にすることもあります。

とはいえ、騒音は問題ではないと言い切ることはできません。気になる方は、駅一体型のマンションの場合、購入する前に、曜日や時間帯を変えて、何度か内見することをおすすめします。駅周辺は、曜日や時間帯によって、営業するお店や人通りの量が変化し、騒音の度合いや種類も違ってきます。内見時には、マンションの敷地内だけでなく、周辺を歩いてみるのもよいでしょう。

特に電車の音が気になる方は、地下鉄駅と一体型のマンションを選ぶのがよいでしょう。同じ駅一体型でも、地下鉄なら地上にまで音が上がってくることはありません。地下鉄駅一体型として、たとえば都内なら、白金高輪駅の「白金タワー(2005年築)」や麻布十番駅の「アクシア麻布(2005年築)」などが挙げられます。

地下通路がさまざまな施設につながっていることも多く、雨の日も濡れることなくショッピングや食事を楽しむこともできるはずです。

資産価値は落ちにくいけど割高

価格が高いのも駅一体型マンションの気になる点

駅一体型のマンションの建設は、有名デベロッパーが手がけているケースが少なくありません。たとえば、東池袋駅や立川駅、金町駅に駅一体型マンションをもつ野村不動産によるプラウド、神保町駅や勝どき駅直結のマンションをもつ三井不動産のパークタワーなど、駅一体型マンションには、いわゆる「ブランドマンション」が多く存在します。人気の高いタワーマンションであることも多く、高いブランド価値を備え、資産価値が落ちにくいのが特徴です。

そのため、駅一体型マンションの購入価格は高め。人気の高い物件ほど割高となる傾向にあります。駅一体型マンションの割高感は、新築分譲時のみならず中古物件となってからも維持される場合が多いようです。資産価値が落ちにくい反面、中古でも高くて購入しづらいといえるでしょう。

たとえば、都営大江戸線の勝どき駅に直結しているタワーマンション「勝どきビュータワー」は、2020年に築10年をむかえますが、エリアトップレベルの坪単価400万円前後の価格で取引されています。

駅一体型なのに駅まで20分もかかる?

駅一体型マンションは、駅から徒歩1~3分ほどの立地にあるのが一般的で、売り出される際も、そのような表記となっています。しかし、実際に住んでいる方のお話を聞くと「部屋を出てから駅まで20分以上もかかった」「駅にたどり着くまでに疲れてしまう」という意見が散見されるのです。

その理由は、エレベーター

駅一体型のマンションは高層であることが多く、特に上層階の方は地上に降りるまでかなりの時間がかかることに。「特に出勤・通学の時間帯はなかなかエレベーターが来ない」というのもよく耳にする話です。

階段を使う手もありますが、10階や20階ともなれば、降りるだけでも大変。駅にたどり着く頃には、ヘトヘトになってしまうというわけです。

こうした問題も、低層階を選ぶことで解消することが可能です。駅一体型のタワーマンションの持ち味の一つである眺望は損なわれますが、以下のようなメリットがあります。

・固定資産税が安い
・ベランダが使える場合も

従来は、マンションの1階でも30階でも、床面積が同じなら固定資産税額は同額。部屋が位置する階の違いによる差はありませんでした。ところが、2017年に税制が改正され、2017年1月2日以後に新築された高さ60mを超えるタワーマンションについては、高層階になるにつれて固定資産税額が高くなる仕組みとなりました。

階数ごとの固定資産税額は、各区分所有者の専有面積に、各階ごとの資産価値の差を反映するための「補正率(階層別専有床面積補正率)」を掛けて計算します。階層別専有床面積補正率は、1階を100として、階層が上がっていくごとに10/39を足した数値となり、「100+10/39×(N-1)」の計算式で算出されます(地方税法352条2項および地方税法施行規則7条の3の2、15条の3の2による)。

つまり、階層が1つ上がるごとに、固定資産税が10/39(約0.25%)上がるということ。マンション全体に課税される固定資産税額は改正前と変わりませんので、低層階は従来の水準より税額が下がることになります。

また、駅一体型のタワーマンションの多くは、ベランダの使用を制限しています。高層階から障害物が落下したり、強風によって洗濯物が飛んでいったりするのを防ぐためです。ところが、駅一体型のタワーマンションでも、低層階については「洗濯物OK」「プランターOK」となっている場合があります。

セキュリティは整っているけど防犯面に注意?

駅一体型のマンションの多くは、築年数が比較的浅く、最新設備が整っている傾向にあります。セキュリティ面でも充実しているマンションが多いといえるでしょう。

とはいえ、駅一体型であれば「住んでいる場所が特定されやすい」という懸念材料もあります。不特定多数の人が利用する駅と直結しているため、マンションに入るところを誰かに目撃されるケースは少なくないはずです。通行人が多いため、後をつけられたり、不審な動きをする人がいたりしても気づきにくいというリスクも指摘できます。

駅周辺には繁華街が形成されていることも多いため、お子さんの通学時の安全維持も気になるところです。

「駅近」まで選択肢を広げてみるのもあり

駅一体型にはない魅力がある住宅街の低層マンション

騒音、割高感、地上に降りるまでの時間、防犯面での不安など、駅直結マンションの懸念点をいくつか挙げてきましたが、これらの多くは購入物件の選択肢を駅近マンションにまで広げることで解消できます。

たとえば、徒歩5分ほどで駅にたどり着ける駅近マンションは少なくありません。雨には濡れてしまいますが、利便性は駅一体型マンションとそれほど変わらないといえます。また、駅近マンションなら資産価値は落ちにくい反面、割高感がない場合が多いようです。

「徒歩5分以内」にまで視野を広げてみると、たとえば勝どき駅周辺であれば、下記のようなマンションも選択肢として挙げられます。

徒歩5分以内のマンション

一方、駅から少し離れただけで、駅周辺の騒音が届かない閑静な住宅街が広がっているエリアもあります。たとえば、松濤や中目黒、麻布などの高級住宅街では、駅から徒歩数分のマンションも多く出回っています。

そもそも、「駅直結」「駅隣接」と呼べるエリアは非常に限られているため、駅一体型のマンションは、それほど数が多いわけではありません。高い利便性は魅力的ですが、懸念すべき点にも配慮し、視野を少し広くもつことで、より自分のライフスタイルに合った住まいが見つかる可能性が高まるはずです。

まとめ

駅一体型のマンションは、ほかにはない高い利便性を備え、資産価値が落ちにくい、共用施設が充実しているなど、メリットが少なくありません。ところがその一方、駅一体型だからこそ注意したい点があるのも事実です。

一番に避けたいのは、マンションを購入して実際に住み始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうことです。いくら資産価値が高く、また落ちにくいからとはいえ、居住環境にストレスを感じるのは苦しいもの。売却して別のマンションに引っ越すにしても、大きな負担をともないます。駅一体型マンションを購入される際は、内見だけでなく周辺エリアのリサーチを曜日や時間帯を変えて何度も行い、実際に住むところをしっかりイメージすることが大切です。

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