中古マンションを選ぶときの10のポイント! 選び方やリノベ、税金など解説

おしゃれで“今っぽい”リノベーションが増え、中古マンションに注目が集まっている昨今。中古マンション同士を比較するときの選び方のコツを知りたい人も多いのでは? 今回は、住宅診断(ホームインスペクション)やマンション管理組合向けコンサルティング、不動産購入に関する様々なアドバイスを行なうさくら事務所の創業者・不動産コンサルタントの長嶋修氏に取材し、お話を伺いました。具体的な中古マンションの選び方や、実際に購入する際の契約の仕方、税金や住宅ローンについてもご紹介します。

中古マンションを選ぶときの建物チェックポイント

「中古マンションを買いたい!」そう思っていざ物件探しをするとき、比較する上で、「建物の耐久性」と「安全性」は気になるポイントです。

マンションの管理状態をチェック

実は、マンションの耐久性は、マンションの管理状態に左右されると言っても過言ではありません。

とはいえ、マンションの管理をしている管理組合がしっかりしているかどうかは、実際に住んでみないとなかなかわかりません。そこで購入前には、そのマンションのウェブサイトがあるかどうかで判断するのがひとつの手段です。

マンションのサイトでは、管理組合の活動状況を報告しているところも。外部に公表している=自分たちの活動に自信があるため、ゆえに管理がしっかりしていると考えられます。

ポイント1:マンションの耐久性は管理状態をチェックすべし。管理組合の活動状況報告も参考に

建物の耐久性や安全性は? 「新耐震基準=安心」ではない

耐震基準には新基準と旧基準があるというのは聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。新基準は、1981年6月以降の建物に適応されており、

・中規模の地震(震度5強程度)でほとんど損傷しないこと
・大規模の地震(震度6から7程度)で人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないこと

が基準です。

一方で、それ以前は、一律に旧基準があったわけではなく、基準がなかった=耐震性がまちまちでした。とはいえ、多くの建物は新基準のものより耐久性が低いのが現状です。

しかしながら、地震には地盤が大きく関わっているため、例えば、

・地盤の弱いところ=揺れやすいところに建っている新基準のマンション
・地盤の強いところ=揺れにくいところに建っている旧基準のマンション

であれば、おそらく前者の方が地震には弱い可能性もあり、安全性を比較する際は築年数だけでなく地盤も調べるようにしてください。

建物内部について、物件見学時に自分で確認するのは難しいため、購入前にホームインスペクション(建物調査)をするのがおすすめです。日本ではあまり普及していませんが、中古物件の多い欧米では一般的になっています。

ポイント2:マンションの安全性は築年数だけでなく地盤も調査。建物内部にはホームインスペクションを

中古マンションのリノベーションを比較しよう

中古マンションを購入する魅力は、何といってもリノベーションですよね。おしゃれな照明や水回りに改装されているマンションを買ったり、購入後自分で好きなように内装を変えたりできます。

とはいえ、リノベ済み中古マンションの戸数は実は少なく、全体の5%未満。それゆえ、リノベーションを考える場合、ほとんどの物件は買った後に自分ですることになります。

その場合、壁や床といった内装はもちろん、壁をぶち抜いて2DKを1LDKに変えるなど、好きな間取りに変更することができます。一方、マンションの共有部分と接しているところ、例えば玄関のドアや窓のサッシは取り替えることができません。

また、好みのリノベーションをしてくれるリノベーション請負会社を先に見つけておくのもひとつの方法です。その場合は、マンション購入前に請負会社の人にも部屋を見てもらい、希望通りのリノベーションができるか確認してもらうのがおすすめです。

一方、リノベ済みマンションの中には、内装だけきれいで配管設備を交換していないところもあるので、購入時には必ず確認しましょう。

ポイント3:リノベーションは請負会社を先に見つけて、予め部屋の確認をしてもらうこと。配管設備のチェックも

中古マンションの価格を比較しよう

中古マンションは、一般的には築年数が経つほど価格は下がりますが、築20年経つと下落率がゆるやかになります。

また、リノベ済み、もしくはリノベーションと購入がセットになった物件は、事業会社の利益が上乗せされるため高くなりがちです。一方、購入後に自分でリノベーションする場合は、費用が安い請負会社を探したり、一部を自分たちでやったりすれば費用を抑えることができるでしょう。

ポイント4:価格は築20年がボーダーラインとしてチェック。リノベ費用を抑えたい場合には自分たちで探す手も

中古マンションの不動産会社はどう見つける?

不動産はとても属人的な業界と言われているため、中古マンションを購入するにあたってどの不動産会社が良いかは一概には言えません。良い物件が見つかるかどうかは、担当者がどんな人かによっても変わってきます。

昨今の不動産業界では、建築士やホームインスペクター(住宅診断士)資格を持ち不動産売買をしている人の成功が目立ちます。中古マンションを売る際には、実際に現地に赴き、建物の状態がどうなっているかを説明するため、建築の知識が不可欠だからです。

一方、不動産業界の一般的な資格に宅地建物取引士(宅建)がありますが、この資格では建物自体についての知識は一切問われないため、担当者がどれくらい建物自体に詳しいかどうかを聞いてみると良いでしょう。

ポイント5:良い物件を見つけるには、建物の状態や建築の知識に詳しい担当者に話を聞いてみよう

中古マンションの契約方法

 中古マンションの契約は、新築マンションの契約と大きな違いはありませんが、二点確認しておきたいポイントがあります。

値下げ交渉ができる!

中古マンションの場合、購入時の値下げ交渉が一般的で、販売価格と実際の成約価格が平均すると7〜15%ほども違います。

ですので、最初にインターネットや不動産会社で見た物件価格が高い印象があっても、値下げ交渉次第では希望価格になる場合もあるかもしれません。まずは相談してみましょう。

ポイント6:値下げ交渉が一般的なため、販売価格から7~15%下がるケースも

購入後の修繕費用に注意

新築マンションには、売主の瑕疵(かし)担保責任という、マンション購入後にもし不備が見つかった場合、売主が修繕費用を出すという責任があります。ですが中古マンションにおいては、築15年を超えると免責になることが一般的です。

ですので、もし住みたい物件に瑕疵担保責任がない場合は、購入前にホームインスペクションを頼むことをおすすめします。

ポイント7:瑕疵担保責任の有無や期間をチェックし、万が一の不備発見による修繕に備えよう

中古マンションの住宅ローンと税金

中古マンションでも住宅ローンは組める

中古マンションでももちろん住宅ローンを組むことができます。住宅ローンを貸す金融機関は新築・中古の区別を設けていないため、住宅ローンの上限額は個別の物件や個人の収入等で総合的に判断されます。

ただし、中古物件の中には耐震性・耐久性が低く評価されるものもあり、そうすると借入限度額が低くなったり、住宅ローンの返済期間が短くなったりするケースもあります。

ポイント8:住宅ローンを組む場合、物件の状態によって借り入れ条件が変動する場合も

リノベーション費用も住宅ローンで払える

中古マンション購入後、自分でリノベーションをする場合の費用も、住宅ローンを組むことができます。かつてはローンを組むことができず、リノベーションは一括の現金で支払う必要がありましたが、この10年ほどで、ほぼすべての金融期間が中古マンション購入費用とリノベーション費用が一体となった住宅ローンを提供するようになりました。

ですので、リノベーション済みマンションを買うか、購入後に自分でリノベーションをするかを考える際、それぞれのケースで住宅ローンを利用できるため、前述で挙げた点を気にする必要はありません。

ポイント9:物件購入費用とリノベーション費用が一体となった住宅ローンを組むことも可能

住宅ローン控除も基準を満たせば適用される

中古マンションも、住宅ローンを組むと住宅ローン控除が適用され、10年間税金が安くなります(消費税引き上げに伴い、2020年12月31日までに入居した場合は3年延長し13年間控除を受けられる)。ただし控除には条件があり、特に中古マンションの場合は新築物件の基準に加えて、

・築25年以内であること ※耐火建築物の建物の場合

または

・一定の耐震基準をクリアしていること(詳しくは国税庁ホームページを参照 )

のどちらかを満たす必要があります。

ポイント10:税金が安くなる住宅ローン控除の適用が可能。ただし築年数・耐震などの基準あり

(関連記事:住宅ローン控除は中古住宅でも受けられる? 条件はあるの?

中古マンションを購入するときのポイントまとめ

以上、中古マンション購入・契約時に重要なことをお伝えしました。厳選してまとめると、

・マンションの管理状態や地盤も忘れずにチェック
・建物に詳しい担当者を見つける
・値下げ交渉をしてみる
・住宅購入とリノベーションが一体となった住宅ローンが組める

となります。

中古マンションは人生の中でも大きな買い物ですので、必要に応じてプロの手を借り、購入検討・契約のプロセスをスムーズなものにしていきましょう。

<取材協力>
株式会社さくら事務所
監修:長嶋 修

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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