住宅ローン検討の際に、“収入合算”や“ペアローン”は知ってた⁉ 住宅購入者の声

住宅ローンは一般的に、夫の収入だけをベースに組む方のほうが多いかもしれません。しかし、理想とするマイホームを持つのに夫の収入で契約できる住宅ローンの借入金額では足りないこともあります。そのようなとき利用できるのが夫婦の収入を合わせて1本のローンを組める「収入合算」や、夫婦別々に2本のローンを組んで1つの家の購入に充てる「ペアローン」という制度です。実際に住宅を購入した人は、そんな収入合算やペアローンという仕組みがあることを、購入前に知っていたのでしょうか。そこで、アンケートを取って調査してみました。

【質問】

住宅購入経験者にお聞きします。住宅ローンを検討する際、「ペアローンもしくは収入合算」という仕組みを知っていましたか?

【回答数】

知っていた:40
知らなかった:60

知らなかった人のほうが多い! 将来の不安を懸念する人も

今回のアンケートでは、知らなかった人のほうが少し多い結果でした。その中では、「知っていても利用しなかったと思う」「知っていれば利用したかった、検討した」という人いずれの声も見られました。「知っていても利用しなかった」という人は、配偶者の収入面や将来的なリスクを考えると利用しない、という声が多いようです。また、借り入れ金額を増やしたくないという声も見受けられました。

「知っていても利用しなかったと思う」の声

【女性の収入や働き方を考えて】
・妻は子どもが出来て離職するかもしれないと考えていたので、利用はしないと思います。(40代/男性/正社員)
・利用しなかったと思います。その理由としては自分の配偶者が専業主婦だったので、そもそも選択肢にはのらなかったのではないかと思うからです。(30代/男性/正社員)
・ペアローンにすると妻が退職したときの不安があるので利用したいとは思いません。(30代/男性/正社員)
・相続時のメリットはあるようですが、自分の妻へもローン負担を強いるのは、その後の出産・育児のことをかんがえると避けたいと考えます。(40代/男性/個人事業主)
・知っていても利用はしなかったと思います。妻は仕事をしていなかったこともあるがペアローン等は精神的にプレッシャーがかかる気がします。(50代/男性/正社員)
・共働きといってもパート勤めだったので、知っていても利用しないと思う。(40代/女性/専業主婦(主夫))
・知っていても、利用したかはわかりません。女性の場合どうしても収入に限界があるし、不安定な要素が大きいからです。(50代/女性/専業主婦(主夫))

【借り入れ金額が増えるから】
・その仕組みを知っていても、利用していないと思います。合算すれば、借入金は高くなり、高い物件を購入出来ますが、その分、返済する金額が増加して負担が増えるため。(40代/女性/正社員)
・利用しないと思う。申請して、もし借りられた場合、今後の生活が大変になると思うからです。(30代/女性/専業主婦(主夫))
・利用したいと思いません。ペアローンを利用するメリットは、借入額を増やせることだと思います。借入額は最低限にしたいと思っているし、出産などで妻が退職する可能性もあるため、負担が大きくなりそうだから。(40代/女性/専業主婦(主夫))

【将来のリスクを考慮して】
・知っていても使わなかった公算が高いと思います。相手が病気やケガで大幅収入減になることも想定したと思います。(50代/男性/個人事業主)
・家は財産になるので、住宅ローンはどちらか片方名義で借り入れした方が相続の際分かりやすい。よって利用したくない。(40代/女性/専業主婦(主夫))
・借り入れは夫(私)単独でも、最初から共有名義が良かろうということだったので、知っていても利用しなかったと思う。しかも、万が一、私が死んだ際、妻のローンは残るということになるので、ペアローンにはしないと思います。(70代/男性/無職)
・知っていたとしても利用しなかった、と思います。夫婦ペアローンを仮に利用した場合でも、妻に収入が無ければ、結局は夫が負担する事になると思います。また、離婚してしまった場合、話がややこしくなるのではないかと思います。(50代/男性/公務員)

続いて、「知っていれば利用した・検討した」という人の声を見ていきましょう。こちらは金利や税制優遇など「もっとお得になるなら」という理由の人が多いようです。

「知っていれば利用した・検討した」の声

【お金の面でメリットがあれば】
・初めて聞いたことだったので、お金のことに関してお得ならぜひ使いたかった。(30代/男性/正社員)
・知っていたらもう少し理想に近づけたのかと思うと、利用したかったと思います。(40代/女性/専業主婦(主夫))
・知らなかったが、もし知っていて、自分で支払う金額が減るのであれば、利用したと思う。(60代/男性/個人事業主)
・わたしが以前住宅を購入した際には収入合算という制度を知らなかったので、知っていたら金利がもう少し低い住宅ローンを組めたかもしれないので、今考えれば利用したかったと思います。(30代/男性/正社員)
・利用してみたい。金利に加えて非常に重要なポイントであると考えたためです。(30代/男性/正社員)
・もし知っていたら、利用したいと思います。年末調整の際に、住宅ローン(連帯債務型の収入合算、ペアローンの場合)の控除が夫婦で受けられるからです。(40代/女性/専業主婦(主夫))

【その他】
・話し合ってみないと利用するかどうかは分からないが、私個人としては、利用してみたい。(40代/女性/パート・アルバイト)
・知っていたら利用していたかもしれません。なかなか便利そうだと思いました。(30代/男性/正社員)
・知っていたら利用したかもしれません。ただ、頭金をもっと用意できれば楽だったのにという思いのほうが強いです。(40代/女性/正社員)
・知っていたら検討してメリットがあれば活用したいと思いました。(40代/男性/正社員)
・知っていたら、検討していたかもしれません。調べた中で、利用するかどうか決断したいです。(30代/女性/個人事業主)
・知っていれば利用したいと思います。2人で返済した方が早く住宅ローンが終わりそうだからです。(30代/女性/パート・アルバイト)
・知らなかったが、知っていたら内容を確認して選択肢の1つとして検討したかった。(30代/女性/公務員)

知らなかった人の中では、「知っていれば利用したかった・検討した」という意見よりも、「住宅購入前に収入合算やペアローンを知っていたとしても利用しなかった」という意見の方がより多く見られました。何事もなく完済できれば問題ないかもしれませんが、夫婦どちらかに何かあったときや、妻が妊娠・出産をして収入が減ったときの不安はぬぐえないようです。また、妻がパート勤務など収入面で安定しない家庭の場合、夫の収入だけで生活や住宅ローンの返済ができるようなマイホームの購入計画を立てる必要があるとも言えそうです。

収入合算やペアローンを知っていても利用しなかった人が多い⁉

アンケートの結果、住宅購入前に収入合算やペアローンを知っていた人のほうがわずかに少ない結果です。「知っていたけど利用しなかった」という人が多く見受けられますが、利用している人の声も上がりました。いずれの意見もご紹介していきましょう。

「知っていたけど利用しなかった」の声

【女性の収入や働き方を考えて】
・ペアローンは知っていましたが、妻が専業主婦であることと、特に私だけでも問題ないと考え利用はしませんでした。(30代/男性/個人事業主)
・利用はしていません。理由は妻が妊娠中で収入がなく、今後もフルタイムで働く予定はないため。(30代/女性/専業主婦(主夫))
・利用していない。自分自身がパート勤務なので、配偶者一人の収入で契約したから。(50代/女性/パート・アルバイト)
・利用していません。パートナーは専業主婦でやってもらう予定だったからです。(40代/男性/正社員)
・妻が退職を予定していて、妻の住宅ローン控除が受けられなくなることがわかっていたため、利用しませんでした。(50代/男性/正社員)
・知っていたけど、子ども二人育てているので、子どものための休みなど多く、いつまで仕事を続けるか微妙なところだったので使わなかった。(20代/女性/専業主婦(主夫))
・知っていましたが利用しませんでした。私がずっと働き続けるつもりがなかったので、責任が持てないと思い選びませんでした。(40代/女性/専業主婦(主夫))
・専業主婦のため、主人以外の収入がないのでペアローン及び収入合算は利用していません(40代/女性/専業主婦(主夫))
・知っていましたが、当時妻には収入が無かったため最初から利用する考えはありませんでした。パートナーが同世代で、どちらも安定した収入があるなら利用するのも有りだと思います。(40代/男性/正社員)

【将来のリスクを考慮して】
・利用していません。夫の収入のみで住宅ローンを組みました。妻に何かあった時に困ると聞いたことがあるので、利用しませんでした。(30代/女性/専業主婦(主夫))
・利用していない。ペアローンで返済額を考えると片方の収入が減った時にどうにもならなくなると思ったから。(40代/女性/個人事業主)
・利用していません。夫の収入で十分支払える額なので収入合算はしませんでした。(40代/男性/専業主婦(主夫))
・利用はしていません。夫婦間になにかあったとき面倒くさくなると思ったからです。(20代/男性/正社員)
・利用していない。自分一人でローンを組んだほうが、これから先離婚などで揉めてもスムーズに処理できそうだったから。(30代/男性/正社員)

【必要なかったから】
・知っていましたが、夫の収入だけで返済できそうなので、夫個人だけの住宅ローンを組みました。(30代/女性/正社員)
・利用していない。単独で必要な金額を借りられたので、合算にする必要性もなかったから。(30代/男性/個人事業主)
・専業主婦で収入がないため、利用しなかった。夫一人の収入でも住宅ローンが組めたので利用する必要がなかった。(20代/女性/専業主婦(主夫))
・知っていたが夫の収入でローンが通ったので、必要なかったため利用しなかった。(30代/女性/パート・アルバイト)

「ペアローン・収入合算を利用した」の声

・とりあえず自分たちに使ってみても問題はなさそうなので、利用しています。(30代/女性/正社員)
・利用しています。夫の収入が低く、安定性がないために収入合算を利用しています。(50代/女性/専業主婦(主夫))
・収入合算を利用してマイホームを購入しました。主人と私の収入にほとんど差が無いので、合算して無理のない返済の為に合算購入に決めました。(30代/女性/正社員)
・利用した。主人の収入だけでは少し不足だったので、ペアローンに。結果的にも何かあった場合、何かとその方が合理的だったのではないかと思う。(60代/女性/パート・アルバイト)
・利用した。気に入った物件を購入するため、借入額を増やしたかったので。(30代/女性/専業主婦(主夫))
・利用した。ペアローンでなければ希望の物件を購入することが出来なかったから。(40代/女性/専業主婦(主夫))

実際に収入合算を利用した人もいたものの、知っていたにもかかわらず、利用しなかった人のほうが多いようでした。夫婦間の問題やどちらかの収入が減った場合の懸念など、利用しなかった理由は知らなかった人とさほど違いがありません。夫婦で収入に差がない家庭が収入合算している一方、夫の収入だけで生活できるよう計画している家庭もあります。単に収入合算やペアローンをしているかどうかではなく、家庭の状況や考え方の違いで実際に利用するかどうかを決めるのでしょう。

知っているかどうかに関係なく、まだまだ利用は少ない⁉

今回のアンケートでは、収入合算やペアローンの仕組みがあることを知っていた人のほうがわずかに少ない結果でした。また、実際に利用した人はさらに少ないうえ、たとえ知っていても利用しなかったという人が圧倒的多数でした。収入合算やペアローンを利用することで、夫ひとりの借入金では手が届かない夢を叶えられる可能性があるのは確かでしょう。ただ、返済を続けるためには夫婦2人の収入が必要になることもあり、まだまだ利用は少ないのかもしれませんね。理想のマイホームと各家庭の経済状況を考え合わせ、無理のない計画で夢を実現してください。

■調査地域:全国
■調査対象:年齢不問・住宅購入経験者の男女100人
■調査期間:2020年2月7日~21日
■有効回答数:100サンプル

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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