新型コロナショック!? 経済悪影響下で、個人投資家がとるべきスタンスは?

新型コロナウイルスによる新型肺炎が世界中に拡大しています。日本経済や世界経済に与える悪影響も今後どの程度大きくなるのか、現状ではまだ計りきれません。世界の株式市場でも先行き懸念からの売りが優勢となり、大きく下落しています。まさに「新型コロナショック」と呼んでもいい状況になりつつあります。今回は、NISAやiDeCoなどを利用している個人投資家の取るべきスタンスについて考えてみることにしましょう。

新型コロナウイルスが経済に与えた影響

日本の株価の指標のひとつである日経平均株価は、連休前の2月21日(金)に2万3,386円だったものが、1週間で2万1,000円前後にまで値下がりしました(2月28日現在)。アメリカのNYダウも先週末(2月21日)の2万9,000ドル台だったものが、今週は2万5,000ドル台にまで急落しています。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が経済に与える悪影響を懸念して、「とりあえず売っておこう」という投資家の動きが強まっているのだと思われます。

そして、1日や2日の下落で止まらずに1週間にわたる下落が続いている理由は、今回のこの騒動の終わりがまったく見えてきていない状況であることと、様々なスポーツやイベントの中止や延期が決まり、企業活動も制限されるような状況になっていることなどから、予想以上に事態の収束に時間がかかりそうで、経済への悪影響がかなり大きくなる可能性が高まってきているからでしょう。

3月以降、何らかの行動に出るべき?

今後、個人投資家の方たちはどのような行動をとるべきなのでしょうか

3月に入ってからもこの動きが続くとすると、これまで様子見をしてきた投資家からのパニック的な売りが出始め、さらに急落するようなことにもなりかねないでしょう。NISAやiDeCo、また、企業型DC(確定拠出年金)などを通じて投資をしている一般の個人投資家の人たちにとっても、自分たちの資産の評価額が急減するのは見ていて気持ちのよいものではないはずです。何らかの行動に出たほうがいいのか、迷い始めている人も多いことでしょう。

そのような一般の個人投資家の方に筆者からアドバイスをするのであれば、「気にしない!」のひとことです。特に、老後の資産形成のためにiDeCoや企業型DCを利用している人ほど、株式市場の下落は、「安いところを買えるチャンス」くらいに思っておけばよいでしょう。今回の騒動も、いつかは必ず治まるはずです。これ以上、感染が拡大しないこと、経済への悪影響が大きくならないことを祈りつつ、様子見を続けていればいいと思います。

もちろん、先行きは誰にもわかりません。結果的には、あのとき早く売っておいたほうがよかったということになる可能性もあります。しかし、絶妙なタイミングなど、誰にもわからないのです。もったいないのは、「もう値動きのある商品を保有しておくのは怖い。定期預金に替えておこう」などと、元本確保型商品に切り替えてしまうことです。10年ほど前のリーマンショックのときのことを思い出してください。

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図のような過去30年間の日経平均株価の動きを見ても、1年の間に1、2回は大きく変動するときがあるだけでなく、数年に1度は急落する場面もあるのです。それでも、平成バブルのピークの4万円近かったときから毎月1万円を投資していたとして、2019年12月まで積立投資を続けていた場合の平均購入単価は、まだ1万4,000円台です。今回の急落で仮に2万円を割り込んだとしても、まだまだ利益が出ている状態なのです。

20年、30年といった長期での資産形成、運用を考えられる人は、とにかく短期的な変動に一喜一憂せずに、下がったところを買えるチャンスが来ているくらいに考えて、今回の騒動を落ち着いて見守るのが無難だと思われます。

それでも、自分の組んだポートフォリオの割合が当初から大きく崩れていて、その崩れたバランスを元に戻すリバランスをしたほうがいいかどうかを悩むのであれば、リーマンショックのときのように、国内株式や外国株式が年間で40%以上下がるような動きになってから考えればよいでしょう。とにかく、「急いては事を仕損じる」です。落ち着いて慎重に検討することが重要だと思います。

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