内閣府が不定期に実施している『森林と生活に関する世論調査』の、2019年10月調査分の結果が公表されました。それによると、日本人の7割以上が木造住宅に住みたいと考えているのですが、若い世代では在来工法より、ツーバイフォー工法などの木造住宅を好む傾向にあり、長い目で見ると木造住宅でも主役が木造枠組壁構法、通称「2×4(ツーバイフォー)工法」などに移っていくことになりそうです。詳しく解説していきます。

日本人の73.6%が木造住宅に住みたいと考えている

内閣府の『森林と生活に関する世論調査』では、「今後住宅を建てたり、買ったりする場合、どんな住宅を選びたいか?」という質問に対し、「木造住宅(昔から日本にある在来工法のもの)」とする割合が47.6%とほぼ半数近くにのぼり、次いで、「木造住宅(ツーバイフォー工法など在来工法以外のもの)」が26.0%で、「非木造住宅(鉄筋、鉄骨、コンクリート造りのもの)」が23.7%となっています。
在来工法と2×4(ツーバイフォー)工法などを合わせると73.6%、4人に3人近くが、今後住まいを取得するなら、「木造住宅」が一番いいと考えているわけです。日本人の木造住宅志向には、まだまだ根強いものがあるようです。

木造住宅か非木造住宅かの意向

図表1 木造住宅か非木造住宅かの意向
資料:内閣府『森林と生活に関する世論調査(2019年10月調査)』

在来工法の木造住宅でもメンテナンスしだいで長寿命化

木造住宅というのは、主要部材が木材である住宅のことで、その建て方はさまざまです。

代表的なものとしては、木材の柱、梁、筋交いで建物を組み立てていく在来工法があります。現存する建物としては世界最古の木造建築群といわれる奈良県の法隆寺が挙げられます。きちんとメンテナンスしていけば、何十年だけではなく、何百年と使用できる建物になるわけです。

在来工法の木造住宅は、風通しが良く、高温多湿のわが国の気候風土に最も合致した住宅といわれ、戦後までのわが国の一戸建て住宅といえば、ほとんどがこの在来工法で建てられた木造住宅だったといってよいでしょう。全国各地の大工さんや工務店が手がけていました。

住宅難を解消するために作り出されたプレハブ工法

しかし、戦後の住宅難や高度成長期の住宅ニーズの高まりに対応して、住宅を大量生産する手法が必要になりました。

そこで誕生したのが、工場で主要な部材を生産、現地で組み立てるプレハブ工法の住宅です。家電品、自動車などで培ってきた、大量生産のノウハウを住宅にも転用したものといっていいでしょう。
ただ、そのプレハブ工法には、「鉄骨系」「木質系」「コンクリート系」があり、すべてが木造住宅というわけではありません。

その後、1970年代になって、急速に拡大してきたのが2×4(ツーバイフォー)工法の住宅です。2インチ×4インチの木材でパネルを作成、それを床・壁・天井の六面体として組み立てる工法で、北米ではこの工法が主流であり、北米の在来工法ということになります。

若い世代ほど在来工法より2×4(ツーバイフォー)などを希望

全体としては、木造住宅を希望する人たちが多いのは、年代を経てもあまり変わらないのですが、木造住宅でも、在来工法か、2×4(ツーバイフォー)工法などの在来工法以外かということになると、大きく変化しています。

木造住宅か非木造住宅かの推移 (単位:%)

資料:内閣府『森林と生活に関する世論調査(2019年10月調査)』

『森林と生活に関する世論調査(2019年10月調査)』では「木造住宅(昔から日本にある在来工法のもの)」は、1989年の調査では72.5%と全体の7割を超えていたのが、1996年調査では60%台に、2011年調査では50%台に低下し、今回の2019年調査では47.6%と半数を切る水準まで減少しています。

それに対して、「木造住宅(ツーバイフォー工法など在来工法以外のもの)」が、1989年調査の9.4%から、今回は26.0%に増えています。

しかも、先ほどの「木造住宅か非木造住宅かの意向」にあったように、年代別では若い世代ほどこの「木造住宅(ツーバイフォー工法など在来工法以外のもの)」を希望する人が多くなっています。

将来的には鉄筋、鉄骨やコンクリートなどが主流になる可能性も

実は、「木造住宅(昔から日本にある在来工法のもの)」としている人は、年齢の高い人が多いのです。なかでも70歳以上の人では、69.5%とほぼ7割を占め、「木造住宅(ツーバイフォー工法など在来工法以外のもの)」とする人は9.5%に過ぎません。

反対に、18歳から29歳では、「木造住宅(昔から日本にある在来工法のもの)」は21.2%にとどまり、「木造住宅(ツーバイフォー工法など在来工法以外のもの)」が37.9%に達しています。また、この若い世代では、「非木造住宅(鉄筋、鉄骨、コンクリート造りのもの)」も39.4%に増えます。

このまま、若い世代が住宅取得の適齢期を迎えると、在来工法や2×4(ツーバイフォー)工法などの木造住宅は、鉄筋、鉄骨、コンクリート造りの非木造住宅の後塵を拝する可能性もあるのではないでしょうか

そうならないためには、木造住宅の良さをもっと見直す必要があります。

木造住宅の良さをもっとよく知ってもらう必要がある

そのためには、木造住宅に対する先入観を改めなければなりません。

たとえば、先の内閣府の調査では住宅に木材を利用すべきではないとする人に対して、その理由を聞いていますが、その結果は、下の表のようになっています。

木材を利用すべきではないと思う理由 (単位:%)

図表3 木材を利用すべきではないと思う理由 (単位:%)
資料:内閣府『森林と生活に関する世論調査(2019年10月調査)』

最も多かったのは、「森林破壊につながる印象があるため」の63.0%ですが、実はこれは逆です。

木材の利用がすたれると林業が衰え、森林が荒れて地震や大雨などで土砂崩れなどの災害が起こりやすくなります。

定期的に伐採して活用し、計画的に植林してこそ森林が保護され、森林を守ることにつながるのです。木材を積極的に活用することが森林破壊につながるわけではありません。

また、「火に弱い印象があるため」とする人も35.3%いますが、木造住宅でも2×4(ツーバイフォー)工法の住宅は耐火性に極めて強いといわれていますし、在来工法の住宅でも耐火性に関して、住宅性能表示制度の最高等級を取得できるようになっています。

「震度7に60回耐えた家。」も2×4(ツーバイフォー)工法の木造住宅

さらに、「地震に弱い印象があるため」とする人も多いのですが、最近の木造住宅は2×4(ツーバイフォー)工法やプレハブ工法などを中心に、耐震性を高めた住宅が多くなっています。
2×4(ツーバイフォー)工法の三井ホームでは、テレビや新聞などの広告で、「震度7に60回耐えた家。」というコピーを使用しています。研究所の実物大の住宅の実験で、震度7の揺れを60回繰り返しても、本体にはほとんど被害が出なかったそうです。

そのほか、「劣化しやすい印象があるため」に関しても、木造住宅のなかには、100年以上継続して使用できることが要件になっている長期優良住宅の認定を、標準仕様でクリアできる商品が増えています。

個別企業だけではなく、業界を挙げてこうした点の広報戦略を実施、木造住宅のイメージアップを図っていく必要があります。そうすることで、若い世代の木造住宅に対するネガティブなイメージを払拭してこそ、木造住宅の生き延びる道が見えてくるはずです。

参考:内閣府『森林と生活に関する世論調査(2019年10月調査)

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

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