【確定申告】2020年はいつまで申請できる? 変更点と注意点まとめ

確定申告の時期が近づいてきました。2020年は2月17日(月)から4月16日(木)の確定申告期間(新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一ヶ月延長)に2019年分の会計結果を税務署に報告します。個人事業主や投資家、そしてマイホームを購入して住宅ローン控除を受ける1年目に該当する人も、確定申告が必要です。そこで、確定申告の対象者や必要書類、申告方法についてまとめました。

※4月6日の発表を受け内容を一部追加・更新しています。

確定申告とは?

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日の1年間に生じた所得にかかる、所得税と復興特別所得税の額を計算し、申告して納税する手続きのこと。確定申告により、納めすぎた税金を取り戻すこともできます(還付申告)。会社員の場合、会社が年末調整により1年間の所得を計算してくれますが、個人事業主の場合は自分で計算をして申告する必要があります。会社員でも、確定申告が必須となるケースがありますので、以下の対象者に該当するか確認しましょう。

確定申告のスケジュールと必要な書類は?

確定申告の申告期間は毎年2月16日から3月15日までですが、提出期限が土日の場合は翌営業日となります。そのため2020年は2月17日(月)から3月16日(月)に設定されていたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止として、通常より一ヶ月延長され4月16日(木)までとなっています。申告時には、様々な書類を準備し、記載をする必要があります。主な書類は、以下の通りです。

・給与所得者が確定申告で提出する主な書類

会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者が確定申告をする場合、税務署などで「確定申告書A」を入手しましょう。第一表に収入金額や所得金額、所得控除額、税金の計算などを記入します。
第二表には、所得の内訳や社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除などを記入しましょう。また、給与所得の「源泉徴収票」も添付する必要があるため、勤務先で発行してもらいましょう。そのほか、控除を受けるための関係書類を用意します。

・個人事業主が確定申告で提出する主な書類

個人事業主などが確定申告をする場合、まずは白色申告か、青色申告か決める必要があります。

特に申請を出していない人、個人事業主になったばかりの人は、白色申告をすることになります。白色申告の主な提出書類は、税務署でもらう「確定申告書B」と「収支内訳書」、源泉徴収票や各種控除の書類を貼る「添付書類台紙」が基本です。電子申告の場合は、添付書類台紙の提出が不要となります。

青色申告で申告をするには、その年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。確定申告時の提出書類のうち「確定申告書B」「添付書類台紙」は白色申告と同様ですが、「収支内訳書」の代わりに「所得税青色申告決算書」を提出します。白色申告よりも記述項目が多く、簡易簿記、もしくは複式簿記で帳簿づけを行う必要があるため作成に時間と労力がかかりますが、最大65万円(簡易簿記の場合は10万円)の特別控除を受けることができたり、赤字を3年間繰り越せたり、家族分の給与を経費として扱うことができたりといった節税効果を見込めます。

ただし、2020年分からの申告については、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存の承認申請書を税務署に提出したもの以外は、複式簿記を行っていても控除額は55万円となります。

※詳細は「【税理士監修】はじめての住宅ローン控除と確定申告に必要な書類とは?」を参照

・期限を区切らずに柔軟な対応も

国税庁は2020年4月6日(月)、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、所得税や個人事業主の消費税などの確定申告受付期限を4月16日(木)まで延長するという3月に発表した情報に加える形で、感染拡大により外出を控えるなど期限内に申告することが困難な方については、期限を区切らずに、4 月 17 日(金)以降であっても柔軟に確定申告書を受け付けると発表しました。

期限後の17日以降に申告する場合は、各税務署で延長申請書に記入することが必要になるほか、自宅でインターネットを使って申告できる「e-Tax」や郵送を利用する場合に特記事項として「延長申請」と記載する必要があります。

⇒詳しくは国税庁のホームページをご覧ください

確定申告が必要なのはどんな人?

確定申告と言えば、個人事業主や投資による収益を得ている人が行いますが、会社勤めの方でも確定申告の必要が生じるケースもあります。どのような人が確定申告をする必要があるのでしょうか? 「確定申告が必要な方」:国税庁をもとにチェックしていきましょう。

・自営業者やフリーランス、不動産収入や配当所得がある人は確定申告が必須!

確定申告と聞いて思い浮かぶのが、自営業者やフリーランスの人たち。基礎控除額の38万円を超える収入があれば、確定申告の必要があります。

株取引や投資信託の売買などで一定の利益を得た人も確定申告が必要ですが、特定口座の「源泉徴収あり」で取引をしている場合、証券会社が納税してくれるため確定申告は不要です。また、NISA口座やつみたてNISA口座の運用益は非課税ですので、原則として確定申告は不要です。

そのほか、FXや仮想通貨で利益を得た人、土地や家を売却した人、投資物件を所有し収入を得ている人なども確定申告が必要です。

・給与所得者でも確定申告の義務がある人は?

下記のいずれかに当てはまる人は、給与所得者であっても確定申告をする義務があります。

1.給与の収入金額が2,000万円を超える人
2.給与を1ヶ所から受けていて、副業等による所得が20万円を超える人
3.給与を2ヶ所以上から受けていて、[少ない方の給与+その他の所得]が20万円を超えている人
4.同族会社の役員やその親族で、同族会社からの給与以外に貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払いを受けた人
5.災害により住宅や家財などに損害を受け、災害減免法に基づく源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人
6.在日の外国公館に勤務する人や家事使用人などで、所得税などを源泉徴収されないことになっている人

※詳細は「会社員の“副業”、税金はどうなる? フリマアプリに確定申告は必要?」、「会社員などの給与所得者でも「確定申告が必要なケース」はどんな場合?」を参照

・年金受給者でも確定申告の義務があるケースもあり

国民年金や厚生年金、共済年金などの公的年金は雑所得に該当しますが、所得控除を差し引いて残額が生じる場合は確定申告をする必要があります。

ただし、公的年金などの収入金額が400万円以下で年金以外の所得が20万円以下のの場合、医療費控除など所得税の還付がなければ確定申告は必要ありません。詳しくは「手順2 収入金額等、所得金額を計算する」:国税庁から確認してください。

・退職所得がある場合、一部のケースで確定申告が必要!

通常、退職金は源泉徴収されているため、改めて確定申告をする必要はありません。しかし、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していない場合、通常の給与所得と同様の税率で計算されてしまうため、確定申告が必要です。退職所得にかかる税金は給与所得よりも低いため、確定申告をすることで払いすぎた税金が返還されます。

また、外国企業から退職金を受け取った場合も、確定申告が必要なケースがあります。

年末調整では処理できない控除がある場合は確定申告を!

確定申告をする義務はなくても、申告することで税金が還付されるケースがあります。

・住宅ローン控除を受けた場合

住宅ローンを組んで住宅を購入した人や、リフォームをした人は、一定の条件を満たせば10年間にわたり、住宅ローン控除による税金還付を受けることができます。給与所得者の場合、1年目は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で処理されるため、確定申告をしなくても還付を受けられるようになります。

なお、消費税10%で取得した住宅に2019年10月1日より2020年12月31日までに入居した場合は、ローン控除が3年間延長され、13年間にわたり還付を受けられます。

※詳細は「住宅ローンを借りたら確定申告をして住宅ローン控除を受けよう!」を参照

・医療費控除、もしくはセルフメディケーション税制による控除を受ける場合

生計をともにする家族の1年間の医療費の合計額が10万円(総所得金額が200万円未満の世帯はその5%)を超えた場合、超えた分の金額が最大200万円まで所得控除を受けられます。

「そこまでの医療費はかからない」という家庭は、セルフメディケーション税制の利用を検討しましょう。1年間に医薬品の購入額が1万2,000円を超えた場合、超えた分の金額が最大8万8,000円まで所得控除を受けられます。医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか一方しか利用できないため、よく比較して控除額が高いほうを選びましょう。

※詳細は「2017年からスタートする「セルフメディケーション税制」とは?」を参照

・ふるさと納税など寄付金控除を受ける場合

ふるさと納税の仕組み

国や自治体、社会福祉法人など特定の団体に寄付をした場合、寄付金控除の対象となります。ここ数年で認知度が向上した「ふるさと納税」も寄付金控除の一つで、寄付金額の合計から2,000円を差し引いた金額が所得税と住民税から原則として一定額まで全額控除されます。年収や家族構成等により、全額控除される上限の寄付額は変わりますので、控除額の目安を総務省のポータルサイト等で試算しておきましょう。

※控除額の目安は総務省ポータルサイトを参照

また、ふるさと納税を利用し、「確定申告が必要ない給与所得者」「1年間の寄付先が5自治体以内」「ふるさと納税を利用した自治体にワンストップ特例制度申請書を送付」という3つの条件を満たしている人は、「ふるさと納税ワンストップ特例」が適用されるため、確定申告の必要がありません。

※詳細は「住宅ローン借り入れ中の方が「ふるさと納税」を利用する際の注意点」を参照

毎年確定申告している人も要チェック! 2019年からの変更点

2019年の確定申告から、スマートフォンやタブレットを使った確定申告がしやすくなりましたが、スマートフォンで申告できるのは給与所得者で医療費控除やふるさと納税の還付申告を受ける人だけでした。

2020年からは2ヶ所以上から給与をもらっている人や、一時所得、雑所得もスマホ申告ができるようになります。そのため、副業で20万円以上の所得がある人もスマートフォン申告が可能になります。

ただし、事業所得の申告はスマートフォンではできないため、個人事業主はパソコンでの申告が必要です。

 

期間内に確定申告しないとどうなる?

ところで、もし「確定申告を忘れてしまった」「間に合わなかった」といった場合、期日までに確定申告ができないとどうなるのでしょうか?  期限を過ぎてからの申告を「期限後申告」と呼び、区別されています。

青色申告の場合、「期限後申告」になってしまうと、複式簿記で帳簿づけを行っている個人事業主に対する65万円の特別控除が受けられなくなります。

また、本来の納税額に上乗せして延滞税や無申告加算税を納める必要が生じることもありますので、注意してください。

確定申告は国民の義務であると同時に、さまざまな控除によって還付金を受け取るチャンスでもあります。該当する人は今回の記事を参考に、期日内の確定申告を心掛けましょう。

(最終更新日:2021.02.05)
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