「新居に置き場所がない問題」を防止! 最新の家電トレンドを押さえよう

私たちの生活にとって欠かせない家電。家電で時間を産む「時産」を提唱する、インテリア&家電コーディネーターの戸井田 園子さんに、連載形式でこれから住宅購入を考える方に向けての「家電計画」の極意を教えていただく連載の第一回目です。

私たちの住まいには、数多くの家電があります。それらの機能を最大限に発揮するためには、適切な置き方・使い方が必須です。家づくりを始める際に考えておくべきこととして、家電計画の重要性をぜひ理解しておきましょう。

私たちの生活にとって、家電は欠かせないもの。家の中にはさまざまな家電があり、私たちの生活を便利にしてくれています。さらに、家族構成やライフスタイルの変化に応じて、新しく機能的な家電も次々と登場し、家電はどんどん増えています。冷蔵庫や洗濯機・オーブンレンジ・炊飯器などの定番家電は置き場所が想定されていますが、新しく導入する家電の置き場所に困ったことがある人も多いのではないでしょうか?

LDKのあり方を変える「キッチン家電」

例えば、たくさんの家電に囲まれたキッチン。どのような家電が置かれているか、最近のキッチン家電の状況をあらためて見てみましょう。

冷蔵庫・炊飯器・オーブンレンジなど、どの家庭にもある定番家電や、トースター・ミキサー・コーヒーメーカー・電気ケトルのような小物家電のほか、フードプロセッサー・ブレンダーなどの、下ごしらえをアシストする家電もあります。これらの家電を置くだけでも、なかなかのスペースが必要なもの。さらに、冷蔵庫などはスペースだけでなく、搬入経路もあらかじめ確保しておくことが必要です。そして最近では、電気圧力鍋・電気調理鍋など、新しい調理家電が登場して人気が高まっています。ほしいと思っても、「もう置くスペースがないから無理!」という声がよく聞こえてきます。

ホットプレートやグリル鍋など、卓上で調理する家電もあります。最近のものはデザイン性が高く、ダイニングに置いたままにするという提案も受け入れられています。また、共働き家庭が増えているいま、家族の家事参加を促せるということで、キッチン家電と言われていた調理家電がダイニングに進出している傾向が見られます。なんと、冷蔵庫をダイニングに置く提案をするメーカーも登場しています! このようなトレンドの変化に応じて、住まいの計画も当然変わってきます。

家事スタイルを変える「ハウスキーピング・衣類ケア家電」

ハウスキーピング関係の家電状況もしかりです。ここ数年で、掃除家電は大きく変化しました。コンセントに差して、床をコロコロ転がして使うキャニスター型掃除機に代わり、充電式のコードレスのスティッククリーナーが増えています。ロボット掃除機も徐々に使う人が増えてきました。

掃除機はどこかに収納しておくものから、出したままにする家電になりつつあります。このように使う道具が変われば、必要となるスペースやコンセントの位置など、住宅側に求められる計画も変わってくることがわかるでしょう。

”出したまま家電”になりつつあるロボット掃除機

洗濯関係では、洗濯乾燥機が登場してからは洗濯機の大型化が顕著です。メーカー側も、標準的な防水パンの寸法に合わせて製品を開発しているので、大半の洗濯乾燥機は設置場所に置くことができます。しかし海外メーカーの参入により、これからは今までのサイズと異なる製品が増えていくことも想定されます。
また、設置場所だけでなく、そこまでの搬入経路の確保も重要です。買い替えのことを考えると、設置スペースにゆとりがある設計にしておくことが将来的に安心です。

洗濯物の干し方も変化しています。花粉やPM2.5だけでなく、黄砂やゲリラ豪雨など環境や気象条件の影響で外に干せない時期が多くなっていたり、夜に洗濯する共働き家庭が増えているため、洗濯乾燥機の普及がすすんでいます。また、室内に干す人も増えていて衣類乾燥機(除湿機)の人気も高まり、さらに布団を外に干しにくくなっているため、布団ケアも家電に頼るようになりつつあります。
このような暮らし方の変化は、住まいづくりに大きく影響するでしょう。

住まいの室内環境を左右する「空調家電」

次は空調関係です。エアコンは、各部屋に設置することが増えました。現在ではエアコンの取り付け場所や電源は、住まいづくりと同時に計画することが多くなっています。しかし、エアコン以外はどうでしょうか?

例えば、空気清浄機。今や花粉シーズンだけでなく、365日・通年使う家電としてメジャーになりました。常に体内に取り込む空気だからこそ、室内の空気の“質”を整えたいと思う人が増えているのでしょう。空気清浄機は、“一家に一台”から“一部屋一台”の時代に突入していると言えます。とはいえエアコンのように、設計当初から空気清浄機や加湿器・除湿機の置き場所を想定していることは少ないのでは?
しかし、この手の空調家電は、置く場所によってその効果が大きく変わります。実際に生活を始めてからでは、効果的な場所に置けないことも。せっかく購入しても、その効果が発揮できていないのでは、もったいないですよね。より快適な環境を手に入れるためにも、ぜひ住まいの設計と同時に計画を始めてください。

まとめ

このように、“家電は後から追加すればよいもの”ではありません。最近は便利で新しい家電が次々に登場し、どんどん増えています。

「ほしいキッチン家電があるのに、置くスペースがない!」
「ロボット掃除機を置きたいけれど、邪魔になる位置にしか置けない!」
「空気清浄機や加湿器を使いたいのに、置きたい場所にコンセントがない!」
「最新の洗濯乾燥機に変えたい。でも水栓の高さが合わないし、そもそも搬入できない!」

など、いざ新しい家電を迎え入れようとしても、暮らし始めてからでは解決できない問題もたくさんあります。だからこそ、インテリア計画と一緒に、家電の計画を進めることが大切なのです。

インテリア計画と一緒に家電計画についても考えてみましょう

そのためには、家電トレンドを知っておくことがポイント。家電の置き場所や置き方をあらかじめ想定できれば、スペースの確保やコンセントの数を計画しておくことができます。便利で機能的な家電を取り入れて、より快適な暮らしを実現しましょう!

そんな「家電計画」がスムーズにできるよう、この連載では家電のジャンル別に、詳しい計画の立て方をわかりやすくお伝えしていきます。話題の最新家電も紹介しますので、どうぞお楽しみに!

(最終更新日:2020.04.24)
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