【特例は21年まで】家の購入資金、親からの援助額はどれくらい? 注意点は?

家は「人生で一番高い買い物」といわれるほど、購入にはまとまった資金が必要になります。それだけに住宅ローンの借り入れや自己資金のほか、両親からの援助も視野に入れて計画を立てている人も多いのでは? そこで、実際に両親から援助を受けた経験のある人の割合や平均額、注意点などをまとめてみました。

住宅購入の際、両親から資金援助を受けた人の割合は?

全体の約4割が両親からの贈与援助を活用したとの回答

2016年に「ARUHIマガジン」が全国の20~49歳の男女100人を対象に行ったアンケート調査によると、住宅購入時に両親からの贈与(援助)を活用したと答えた人は全体の約4割にのぼりました。援助を受けることになった経緯はさまざまですが、両親の側から申し出てくれたというケースが多いよう。将来の同居の可能性も視野に入れて、共同出資というかたちをとる人もいました。

一方、役6割の人は自己資金や住宅ローンを活用して購入に至っています。こちらも理由はさまざまですが、「両親に負担をかけたくない」が最も多い答えでした。援助を受けるか(受けられるか)、受けないかには、両親の経済状況が大きく関わっているようです。

住宅購入の際、両親から受けた資金援助の平均額は?

親からの平均贈与額は 564 万円という結果に

では、住宅購入時に両親から資金援助を受けたという人の平均金額はどのくらいでしょうか。

アットホーム株式会社の2014年の調査では、子どもが住宅購入の際に購入資金を贈与した経験のある親たち300 人にアンケートをとったところ、平均贈与額は 564万円となりました。全体の割合でみると、500万〜600万円が全体の約23%、続いて100万〜200万円が約20%、1000万円を超える援助があったという人は21%と、かなり高額の援助を受ける方もいらっしゃることがわかります。

また、男性の場合は平均616万円、女性の場合は 498万円と息子への援助が比較的多いという結果に。さらに親と子の居住地が同じ都道府県かどうかで比べたところ、親子が同じ居住地に住んでいる場合は平均贈与額が200万円ほどアップするということもわかりました。資金援助をした理由については、「子供により良い生活を送って欲しい」「子供に楽をさせたい」などが挙がっています。子を思う気持ちはお金には代えられないとはいえ、やはりいくらかでも援助したいというのが親心でしょうか。  

両親から資金援助を受ける際の注意点

実際に資金援助を受けることになった場合、注意しておきたいこともあります。

まずは「贈与税」の問題です。

贈与税とは、人から一定金額以上の財産(もの・お金)をもらった場合に払う税金のこと。年間110万円を超えた場合に支払いの義務が発生します。ただし、住宅購入に当てる場合にのみ、これが優遇されます。いわゆる「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」です。条件を満たしていれば、最大3,000万円(2020年現在)までの贈与が非課税となります。

その条件は、「贈与が、直系尊属(父母または祖父母)からのものであること」「贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上であること」など細かく定められており、これらをすべてクリアしていなければなりません。

また、対象の住宅についても床面積や築年数(中古住宅の場合)などの規定があり、要件を満たした上で役所に申請する必要があります。「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」は2021年12月31日までの期間限定の制度。資金援助を受ける予定の方は、書類の整備など早めに動いておいたほうがよいでしょう。

税金の問題以外では、家族間の関係性にも注意したいところ。前述のアンケートでは親が子どもに資金援助をした理由について「気軽に遊びに行きたいから」「将来面倒を見てほしいから」などの理由を挙げた方も少なくありませんでした。つまりお金を出すからには、親の意見もある程度聞いてほしいという思いがあるということ。

それを無下にしては、のちのち家族間にわだかまりができてしまうことも…。事前に両者の要望をすり合わせ、納得できるまで話し合っておくことが、良好な家族関係を維持する上でも大切です。

住宅購入の資金援助、お願いしたい場合はどうすれば?

援助してほしい場合はどのように伝えるのが最適?

いくら親とはいえ、なかなか面と向かって「援助してほしい」とは言い出せないこともあるでしょう。その場合、有効なのは親の側にもメリットがあることを強調することです。たとえば、お金を出してもらうにしろ、前述した「贈与」のほか、「借り入れ」というかたちも考えられます。のちのち返済していくことを条件にすれば、理解も得やすく、また両親にとっても「贈与」ほど負担に思うことなく、お金を出す覚悟ができるかもしれません。

また、家を「共同購入」し、登記の際に持ち分割合を決めて共有名義にするという方法もあります。共有物件となれば親の負担額がどんなに多くても贈与税がかかることはありません。将来、同居を望む方におすすめです。

伝え方で苦戦しているという場合は、一緒にモデルルームを見てまわるなど、間接的なアプローチが効果的。中には、「孫のため」と思わせてお金を援助してもらったというケースも…!

とはいえ、お金を出してもらったことで両親が経済的に行き詰まったり、生活が不安定になったりするようなら、そもそも援助してもらうべきではありません。まずは、両親の意思確認とともに、さりげなく経済状況についてヒアリングしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

マイホームを購入することは、家族にとっても一大事。多額の費用がかかるとなれば、なおさらです。実際に援助してもらうかどうかは別としても、購入前に両親に相談してみるのもひとつの手。購入の意思表示が、案外、両親の心やお財布の紐を動かすきっかけになるかもしれませんよ。

~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア