親の老後を考える。知っておきたい「老人ホーム」の種類と資金準備

親の老後を考えるとき、「老人ホーム」を検討することもあるかと思います。老人ホームと言っても種類はさまざまにあり、違いが分からないという方や、入居費用や資金の用意が気にかかる方も多いのではないでしょうか。この記事では、おもな老人ホームや高齢者向け住宅の種類や費用感、資金の準備など、親の老後生活を具体的に検討する前におさえておきたい知識をご紹介します。

多様化が進む「老人ホーム」の種類と特徴

高齢化が進む日本では老人ホームの多様化が進み、身体の状態や価値観にあわせて入居する施設を選択することができるようになっています。公的施設のほか民間による施設・住宅も増えており、要介護度の高い方に向けた施設だけでなく、自立した生活を送れる高齢者向けの住宅、介護や生活支援サービス付きのシニア向け分譲マンションなど、多彩なニーズに対応して様々な施設・住まいが登場しています。どのような種類があり、それぞれの特徴や費用感はどのように異なるのでしょうか。公的施設・民間施設に分けて、それぞれ主な施設の特徴を解説していきます。

「公的施設」の種類と特徴

まずは公的な施設から見ていきましょう。
公的施設の特徴は、おもに国や地方自治体などの行政で運営されているため、費用が比較的安価ということ。そのため人気が高く、入居待ちですぐに入れないことが多くなっています。また、要介護度の高い人や低所得者の入居が優先されることがあります。

◆特別養護老人ホーム(特養)
入居一時金の目安:なし
月額料金の目安:6~15万円
特別養護老人ホーム、いわゆる“特養”は、在宅での日常生活が困難になった要介護3以上の方を対象とした施設です。入居一時金が不要で、月々の利用料金が安いという特長があります。そのため1年以上の入居待ちも珍しくないようです。

◆ケアハウス(軽費老人ホーム)
入居一時金の目安:数十万円~数百万円
月額料金の目安:15~30万円
低所得で単身の高齢者が入居対象の施設です。家事などの支援サービスが提供される「自立型」と、介護サービスを利用できる「介護型」の2種類があります。こちらも特別養護老人ホームと同様に待機者が多いのが特徴です。

このほかに、要介護者に対し在宅復帰を目指して看護や介護、機能訓練等の必要な医療、日常生活上の世話を行うことを目的とした「介護老人保健施設(老健)」というものもあります。

「民間施設」の種類と特徴

一般企業が運営している民間の高齢者向け施設は、自立した生活ができる高齢者向けの住宅から要介護施設まで幅広くあり、設備やサービスが充実しているのが特徴です。その分、費用面では公的施設と比較すると高額になるといえるでしょう。

◆サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
入居一時金の相場:0~数十万円
月額料金の相場:10~30万円
自立した生活を送れる方や、要介護度の高くない元気な高齢者を対象とする、バリアフリー化された高齢者向け賃貸住宅。看護師や介護福祉士などの有資格スタッフによるケアや安否確認、生活相談など、高齢者が安心した生活を送れるためのサービスが提供されます。

◆介護付き有料老人ホーム
入居一時金の相場:0~数億円
月額料金の相場:15~35万円
要介護者を対象とした老人ホーム。介護サービスが義務付けられた施設で、介護や看護の専門スタッフが24時間常駐しています。要支援1という軽度の介護状態から入居できるため、入所対象となる条件幅が広いのも特徴です。ただし、通常の敷金礼金で済むサービス付き高齢者向け住宅や、入居一時金のかからない特養に比べ、数百万円から数千万円になることもある入居一時金や、月額費用は30万円を超えることも珍しくないなど、高額な費用が懸念といえます。

◆住宅型有料老人ホーム
入居一時金の相場:0~数千万円
月額料金の相場:15~35万円
自立されている方も、要支援・要介護の方も入居でき、食事や生活支援などのサービスを受けることができます。介護サービスが必要な場合は、訪問介護などの外部サービスを利用することになります。サービス付高齢者向け住宅と介護付有料老人ホームの中間のポジションにあると言えるでしょう。

※費用や提供サービス、入居条件は各施設によって異なります。

親の老人ホーム入居資金がない!どう用意する?

上でご紹介してきたように高齢者向け施設・住宅にはさまざまな種類があり、親の身体の状態やライフスタイル等にあわせて最適な施設・住宅を家族で検討し、選ぶことができる社会になってきています。
しかし、入居のあたっては入居一時金や月額費用が必要となります。親に資金の準備がない場合、子ども世代が用意し支払っていくのも大変なことです。また、親が老人ホームに入居したあとに、誰も住まなくなってしまう実家をどうするかも考えなければなりません。

そのような状況で活用したいのが「リバースモーゲージ」です。これは、自宅を担保にして金融機関から融資を受ける金融商品で、名義は親の名義でそのままに、実家の価値を現金化することができるというものです。融資を受けた資金の使い途は基本的に自由で、毎月一定額を受け取る、まとめて受け取るなど、利用用途にあわせて受け取り方を選ぶことも可能です。

担保とする実家を売却する必要がないため、親が老人ホームに入居した後に空き家になった実家を賃貸化して、毎月家賃収入を得ることができるのも大きなポイント。たとえば、リバースモーゲージによって受ける融資のまとまった資金を入居一時金に、毎月の家賃収入を月額費用にあてることもできます。

親にまとまった資金がなく子ども世代で用意しなければならない、子ども世代は持ち家があり、親が老人ホームに入居すると実家が空き家になる、などの問題が発生しそうな場合は、リバースモーゲージの活用を検討してみてはいかがでしょうか。様々な金融機関で取り扱いがありますので、まずは気軽に相談してみるのもおすすめです。

まとめ:親と話し合い、親自身の意思を確認することからスタート

親にはいつまでも元気で暮らしてほしいと思うもの。とはいえ、いつ介護が必要な状態になるかわかりません。元気なうちに、老後の住まいやお金のことについて、少しずつ話し合いをすすめて親自身の意思を確認しておくと良いでしょう。

【参照元】
厚生労働省ホームページ
有料老人ホームとは?種類ごとの特徴・費用について(LIFULL介護)
老人ホームの選び方(みんなの介護)

(最終更新日:2020.09.29)
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