【大岡山パンさんぽ】デリ風サンドが充実のイトキトと新店ベーカリーコントラスト

毎日の暮らしをちょっと幸せにしてくれるおいしいパン。「絶品パンさんぽ」は、「365日、パンのことで頭がいっぱい!」というライター・斎藤若菜さんが、地元の人に愛されるとっておきのベーカリーをめぐる連載です。第3回は東急目黒線・大井町線「大岡山」駅周辺のパン屋へ。後編では、総菜パンの人気店と看板のないベーカリーを訪れました。

前編はこちら:「ショーマッカー」「ヒンメル」は大岡山でマストバイのパン屋さん

ビストロ料理をサンドイッチや総菜パンで楽しめる「itokito(イトキト)」

大岡山北口商店街と大岡山北本通り商店街の間にある「イトキト」は、2007年にオープンしたお店です。

小さなお店ですが、パンを求める人が次から次へと訪れ、終始にぎわっていました
タイル貼りのかわいらしいカウンターに、ずらりと並ぶパンの数々。下部の冷蔵スペースには、サンドイッチやプリンが並んでいます
「毎日のように足を運んでくれる地元の人が多いため、飽きさせないパンづくりを心がけています」と勝野さん

パンづくりと料理の腕を磨き、独自の総菜パンやサンドイッチを提供

オーナーの勝野真一さんは世田谷の「ダ・ブランジェ・ナイーフ」で3年半パンづくりを学んだ後、「サンドイッチや総菜パンに合う料理を覚えたい」と中目黒のフレンチビストロ「ビストロミカミ」でも修業を積み、2007年にイトキトをオープン。フレンチ総菜をベースとしたサンドイッチを中心に、さまざまなパンを販売しています。
「イトキト」という店名は、富山弁で新鮮なことを指す言葉「キトキト」と、勝野さんの息子さんの名前「イト」から。現在小学校6年生の息子さんが生まれてすぐの頃に開店したことから名付けたそうです。

ジャムや食パン、クッキーなども販売。食パンは正面のカウンター上部にも用意があります
食パンをスピーディに成型する様子に、思わず目を奪われます。小麦粉は価格と粉の性質、商品イメージに合うものを国内外からセレクト。毎日食べられる、高級品にならない価格設定を心がけているそうです。「原価うんぬんよりも、食べたときの満足度で価格を決めています」と勝野さん
おすすめの総菜パンをいくつか実食してみましたが、定番「イベリコ豚のベーコンと舞茸のタルティーヌ」(290円)は舞茸の香りと食感がアクセント。「アメ色玉ねぎの特製キーマカレーパン」(280円)は焼きカレーパンで、本格的な辛さでした。カレーパンはその時々で中身が変わるそうです
主力のサンドイッチは、旬の商品と定番商品をバランスよく、9~10種類揃えています。取材時は「小えびとカブとマッシュルームのサンド オマールえびのアメリケーヌソース」(400円)や、新作の「ポークカツレツとトマトのサンド」(300円)などが並んでいました
店名の由来になっている、息子のイトさんが最近お気に入りのパンは「ポルチーニ茸とエリンギのキッシュ」(270円)とのこと

料理を引き立てるパンを使い分けている、サンドイッチ

「イトキト」では総菜パンやサンドイッチに加え、お客さまのニーズを考えているうちに食パンやクリームパンなどの甘いパンも増えていったとのこと。現在は店頭に約50種類が並び、開店の10時には9割程度の商品が揃うように焼き上げています。
そのうち、9~10種類を占めているのがサンドイッチです。サンドイッチに使用するパンは、料理の邪魔をしないものをセレクト。ソースの水分量も考慮しながら、サンドイッチ用に焼いているライ麦食パンやフランスパン、全粒粉入りの食パン、フルーツサンドにはシンプルな白食パンなどを使い分けています。

フルーツサンドは季節に応じて果物が変わり、取材時は「柿と紅茶クリームのフルーツサンド」(330円)でしたが、サワークリームを混ぜたホイップクリームとミカンを合わせた自家製オレンジクリームのサンドや洋梨といちじくのサンド、フレッシュとジャムのいちごを挟んだサンドが並ぶことも。行くたびに新しい味を楽しめそうです。

イトキト
住所:東京都大田区北千束1-54-10 佐野ビル1階
営業時間:火曜~金曜10:00~20:00、土曜・祝日10:00~19:00
定休日: 日・月曜
公式HP http://www.itokito.com/

2018年オープンの「BAKERY CONTRAST(ベーカリーコントラスト)」

最後に紹介するのは、2018年11月にオープンした「ベーカリーコントラスト」。大岡山北口商店街の中にあるお店です。

あえて看板をつけず「身の丈に合う範囲で営業しています」と亀井さん。よく見ると、自動ドアに小さく店名が記されています
「大岡山にはパン屋さんがたくさんありますが、それだけこのエリアではパン屋さんの需要があるということ。地元の皆さんに、気軽に利用していただきたいですね」と亀井さん。店内にはバラエティ豊かなパンが並びます

パン好きにおなじみの店々で修業後、満を持して開店

オーナーの亀井秀太さんは、京都の「ル・プチメック」や「ベーカリー&レストラン沢村」「ブーランジェリーブルディガラ」といった名だたるベーカリーで腕を奮った後に独立し、「ベーカリーコントラスト」をオープンしました。
店名の「コントラスト」は、メリハリのある味や食感を楽しめるパンをイメージして名付けたそうです。

季節限定「りんごのバゲット」(350円)は約1年前のオープン当時に人気を集めた商品。青森県産の紅玉を食感が残る程度に軽く火入れし、バゲット生地で包んでいます。サワークリームの酸味がアクセント。実際に食べてみましたが、よくあるパリっとしたバゲットではなく、やわらかな食感の生地にりんごの食感が絶妙でした
「ルヴァン」(ハーフ210円、1本420円)は、ライ麦ルヴァン種という発酵種で作る、酸味がしっかりと効いたパン。店名通り、コントラストがある味わいです
フランス式のオープンサンドイッチ「タルティーヌ」は「昼ごはんにしてほしい」という思いで販売しているとのこと

午後には大半が売り切れの日も。11時前後の来店がおすすめ!

店頭には、平日は40種類、週末は限定パンもあるため約50種類のパンが並びます。「元々はハード系のパンが好きで修業を積み、主力商品にしたいと考えていました。しかし、商店街の中という立地で幅広いお客さまに喜んでもらいたいと考えると、総菜パンや甘いパンの要望も多く、ラインナップが増えていきました」と亀井さん。
主な材料となる強力粉は北海道産がメインですが、日本の小麦だけ使用しているとパンのバリエーションが限られてしまうため、一部アメリカ産も使用しています。

おすすめの来店時間は「11時前後なら一番商品が揃っていると思う」とのこと。夫婦2人、できる範囲でパンづくりをしているため、たくさんのパンを作ることはできません。週末は、昼頃に商品の大部分がなくなってしまうこともあるそうなので、早めの来店がおすすめです。

ベーカリーコントラスト
住所: 東京都大田区北千束1-62-1 石田ビル1階
営業時間:10:00~19:00(売り切れ次第終了)
定休日: 月・火曜
https://www.facebook.com/bakery.contrast/
https://www.instagram.com/bakery_contrast/

編集後記

今回は、ドイツパンの有名店や総菜系のパンが強い店、オープンから1年少々の注目店と、さまざまな特徴のあるパン屋さんをめぐりました。取材をする中で4店舗に共通しているのが「よそいきではなく、普段使いのシンプルなパンを手頃な価格で販売したい」という思い。お気に入りのパン屋さんを見つけて気軽に通える、大岡山で暮らす人々がうらやましくなりました。

今回訪れた4店舗の位置関係

前編はこちら:「ショーマッカー」「ヒンメル」は大岡山でマストバイのパン屋さん

※営業時間や税込み価格、パンの焼き時間など、記事内の情報は取材時点(2019年11月)のものです。変更される可能性がありますので、お出かけの際はホームページなどで最新情報を確認ください

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(最終更新日:2020.11.17)
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