地域活性のカギは「城」! 築城400年に向けて活気づく広島県福山市

南北に長く、地域によって気候にもさまざまな特徴がある日本。それぞれの地方に独特の魅力があり、離れがたい愛着を持って住んでいる人がたくさんいます。こうした地方都市をより活気づけるために政府も地方創生を後押しする制度を実施。地方都市が主軸となって行うさまざまなプロジェクトを支援しています。そうした支援を受けているうちの一つが、広島県福山市が進める「福山城築城400年を核とした地域活性化プロジェクト」。福山城築城400年記念事業として地域活性化を目的に実施されています。このプロジェクトについて、活動を担う福山市経済環境局文化観光振興部文化振興課築城400年事業推進担当課長の渡邉真悟さんにお話を伺いましたので、ご紹介します。

官民共同で行う多彩なイベントが新しい賑わいを創出

広島県福山市は、備後の中心として栄えた都市。日本100名城の一つ、福山城があります。

広島県福山市の福山城

この福山城は、日本でもっとも天守が新幹線の駅に近いことでも有名。渡邉さん曰く、「駅のホームが最高のビューポイントという人もいるほど」というのですから驚きです。

日本でもっとも天守が新幹線の駅に近い福山城
ホームからは福山城付近の景色を見渡せます
夜のホームと福山城のようす

この地で進められているのが、「福山城築城400年を核とした地域活性化プロジェクト」。福山城が2022年に築城400年を迎えるにあたって企画されました。現在、官民が参画する福山城築城400年記念事業実行委員会を立ち上げ、市民が誇りと愛着を持って暮らせる町づくりに向けて取り組んでいます。

記念事業がスタートしたのは2017年。2019年は、福山城を築いた初代藩主水野勝成公が備後に入封して400年目の年であり、地方創生プロジェクトの初年度となっています。プロジェクト自体は築城400年となる2022年に向けて、引き続きさまざまな事業が企画されています。

初代藩主ゆかりの備後絣が今や人気のジャパンブルーのデニムに

記念事業は、「福山城顕彰事業」「歴史・文化事業」「交流事業」「市民企画事業」を4本柱とし、これらを通して福山城をはじめとする歴史文化資源の価値や魅力を再認識し、磨き上げ、その魅力を発信することとしています。

福山藩初代藩主で福山城を築城した水野勝成公は、「鬼日向」の異名を持つ猛将で知られています。その一方で、治水事業を積極的に行い、住みやすい城下町を築き、現代でも特産品として有名な畳表、今や人気の日本産デニムにつながる綿花栽培といった産業を奨励してきました。「デニムなどは若い人からも注目を集める特産品。現代につながる歴史を再認識することで今に伝わる資源をさらに磨くことにつながっています」と渡邉さんたちは実感しているそうです。

また福山市は、瀬戸内海を代表する景勝地の一つ、鞆の浦や、江戸時代には大名が休泊した施設・神辺本陣がある宿場町、神辺町など合併により市域を拡大してきた経緯がありますが、もともとは同じ「備後」。今回のイベントを通して交流を図ることで「古い歴史を繙き、関係性を見直すことで、住民の一体感も増してきている」と渡邉さんは言います。

3年の経験を糧に、さらに市民が一体となる企画を計画中

2019年は、初代藩主水野勝成公が入封した年からちょうど400年。プロジェクトも加わり、より活発になってきたそうです。例えば、勝成公ゆかりの地を巡ってのスタンプラリーを開催し、足を運んで周遊することで歴史を実感したり、地域との交流を深めてもらうイベントなどを開催しました。ほかにも、福山藩主阿部家に残っていた昭和初期の映像をアーカイブ化しています。福山市のみならず、日本の歴史を広く知らしめる活動にもつながっています。

また、福山城周辺を会場にした記念イベント「備後入封400年祭」を9月の連休に開催。残念なことに台風の影響で規模を縮小することになりましたが、伝統芸能の披露や夜はJAZZイベントを開催するなど多くの方々で賑わったそうです。

イベントのようす

このイベントでは、未来を担う若い人たちの協力も得ようと、市内にキャンパスがある三つの大学に籍を置く学生たちにも参加を促し、当日はスタッフとして関わってもらったそうです。

イベントのようす

渡邉さんたちは、「若い人にも参画してもらい、歴史や文化に関心を持ってもらうことで、未来へつながる財産になれば」といった願いも持ちながら活動を行っています。

2020年01月13日(月)には、福山の町を練り歩く「福山とんど祭り」が開催されます

こうした活動を通して市民の皆さんは、あらためて「城があるまち」に住んでいることを再認識し、その良さを考え直したり、交流を深めたりしています。また福山城の価値や魅力が国内外に少しずつ知られるようになっていると感じているそうです。「市民の活気もそうですが、内外から訪れてくれる観光客が増えた気がします」と渡邉さん。2022年に迎える築城400年の年に向けて、これからもまだまださまざまな企画を開催し、町を活気づける予定です。

福山城築城400年記念事業公式サイト

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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