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住宅購入の判断に大いに関係する住宅ローン。不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんが、連載形式で住宅を買う側・住宅ローンを借りる利用者側の視点で情報発信。2020年1月の住宅ローン金利について世界情勢や国内金融市場にインパクトを与えそうな事柄を踏まえ、解説いただきます。

長期金利が上昇を続けており12月の【フラット35】は上がると予想していましたが、実績の上がり幅は想定よりも小さく済んでいます。2020年1月の金利がどうなるかはこの12月の長期金利動向がキーになります。

【フラット35】金利の推移
【フラット35】金利の推移

では、2020年1月の【フラット35】金利を予想してみましょう。

公的融資の【フラット35】の金利が決まる舞台裏

長期金利の動向から【フラット35】の金利予想を行う前提として、そもそもなぜ長期金利(10年国債の利回り)の影響を受けるのかを解説しておきましょう。

住宅ローンの【フラット35】を融資するのは住宅金融支援機構という国の機関なのですが、わたし達が融資を申し込む窓口については、民間の銀行が代行して行う形をとっています。そして、わたし達が住宅ローンとして借りるお金は、住宅金融支援機構が金融市場から調達して貸しているのです。

典型的な例として「買取型」という【フラット35】のスキームを図にすると以下のようになります。

フラット35の仕組み
フラット35の仕組み

住宅金融支援機構が民間金融機関から【フラット35】の債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて「機構債」という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入します。そのため、表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回りに連動する傾向があるのです。

民間金融機関は住宅ローンのお金を出しますが、すぐに住宅金融支援機構に債権を買い取ってもらいますので、住宅ローンの金利で儲けるということはありません。民間金融機関は融資事務を代行する手数料で主に儲けています。

そして、2019年11月から12月のような長期金利の上昇局面においては、【フラット35】の金利上昇が抑えられる傾向にあります。事実、12月の【フラット35】金利は長期金利が上昇している割には、実は低めに抑えられているのです。

12月の【フラット35】金利は低く抑えられた

下の表では、直近2ヶ月を並べて各金利の上がり幅を比較しています。長期金利は前の月から0.06%上がっていますが、機構債の表面利率の上がり幅は0.05%と0.01%低くなっています。さらに【フラット35】の上がり幅は0.04%ですから、0.02%低く設定されていることになります。

長期金利/機構債の表面利率の推移
長期金利/機構債の表面利率の推移

長期金利が横ばいの局面や下降局面においては、これらの変動幅は概ね同じになることが多いです。しかし、特に急激な金利の上昇局面においては、このように【フラット35】の金利は低く抑えられるということがあります。

これは私見ですが、住宅金融支援機構が公的機関だからということもあるでしょう。金利があまりに急に上がると、以前から【フラット35】で購入を予定していた人の返済が困難になります。

民間金融機関であれば、金融市場と同じように金利を上げないと儲けがなくなってしまうという判断をします。これに対して公的融資においては、利用者=国民の金融円滑化という面がより重要視されるのです。

機構債の表面利率が発表される20日までの長期金利がポイント

過去4か月【フラット35】と長期金利を振り返ってみましょう。青い棒グラフ(左の軸)が【フラット35】で、オレンジの折れ線(右の軸)が長期金利です。

【フラット35】の金利は毎月20日ごろに発表される機構債の表面利率によって決まるため、ちょうど20日ごろの長期金利の水準とシンクロしていることが見てとれますね。

【フラット35】と長期金利
【フラット35】と長期金利

12月の第一週には長期金利が急上昇し、ゼロ%に迫る勢いです。長期金利がゼロ%ということは、上のグラフで【フラット35】の金利は左の軸で1.3%ということになります。なので、機構債の表面利率が発表される20日ごろの長期金利がどのくらいの水準になるか?が予想のポイントになります。

この12月に長期金利が上がった理由は?

12月の第一週目に長期金利が上がった理由としては、米中貿易協議の進展を期待する投資家によって債券が売られ、債券価格が下がった(利回りは上がった)のが主な要因と言われています。実際、最近はこれ以外に売買の材料となるものがなく、依然として不安定な状況ではあります。

特に米国の長期金利は7月末の利下げによって大きく下がってから後、乱高下していますがこれは米中貿易協議の行方に一喜一憂している市場の様子をそのまま反映していると言っても過言ではありません。

日米長期金利
日米長期金利

そして、日米ともに下がったときのボトムラインがちょっとずつ上がってきていますよね。基本的に上昇基調にあると言っていいと思います。

また、12月は海外の金融機関など本決算となります。金融機関は決算時点の財務指標(自己資本比率など)を良く見せるために、保有資産を処分して借入金を返済するなどという動きに出るタイミングです。

日本国債はもともと利回りがマイナスですし、すぐまた買うこともできますから、真っ先に処分リストに出てくる類の資産です。こうして海外勢が日本国債を手放し、債券価格が下り、利回りは上がるという現象が起こりやすいタイミングでもあります。

まとめ~金利がどこまで上がるか?の考え方

この記事を執筆している時点で、日本の長期金利はギリギリ0%を下回っている状態です。このまま長期金利がプラスにまで上がってしまうのか?という不安もありますが、その可能性は低いと思っています。

そもそもマイナスの利回りでも買われているのですから、それがプラスに転じたら、今度は買いが優勢になり、再びマイナス圏に戻るというパターンでしょうね。

この仮定が成立するとすれば、機構債の表面利率が決まる20日ごろの長期金利は、11月と同水準か少し上がる程度で推移するでしょう。もちろん、イレギュラーな事象によって急激に上がる可能性は否定できませんが、その場合は住宅金融支援機構がいくらか緩和してくれることを期待しましょう。

基本的にマーケットの金利動向は、必ずしも普通に生活しているわたし達の感覚と同じとは限らず、取引に参加をする投資家の集団的な感覚で決まることです。それは投資家ひとりひとりにとっても予測困難なものです。

契約した時点よりも金利が上がると、35年借りる金利が上がることになります。シミュレーションを行うときには現時点の金利だけでなく、保守的に金利が上がったケースで返済継続ができるかを確認しておいてくださいね。

※本記事は、執筆者の最新情勢を踏まえた知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、内容について、弊社が保証するものではございません。

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