不動産価格上昇中!一括無料査定で最高価格をチェック!【PR】

マンションの管理人は、定年退職したサラリーマンの再就職先として定番でしたが、この業界で数年前から人手不足が深刻化しています。マンションでは、管理組合が清掃やフロント業務を専門の管理会社に委任しています。管理会社は人材確保のために賃上げしたり、募集年齢の上限を引き上げたりしていますが、それでもなかなか集まらないケースが増えています。

マンションの管理人になって14年になる大阪市在住のAさん(65歳)は管理人不足の現状をこう話します。

「ウチの会社でも管理人を常時募集していて、誰かを紹介すると、紹介料がもらえる制度もあります。私もこの前1人紹介しました。すぐ辞めちゃったけど」

Aさんは週4回、朝9時から11時半までマンション(16戸)で主に清掃などをして、午後は立体駐車場の管理業務を行います。午前中のマンション管理の勤務は、今年の5月までは週に5回でした。Aさんの会社が管理組合に管理費の値上げを交渉したところ、先方から反対され、折衷案として勤務日数が減らされたのです。

「要するに人件費の削減ですね。ウチの時給はまったく上がってないです。大阪の最低賃金ギリギリ。年金もらいながら仕事している人が多いけど、雇用は委託契約という形になっていて、保険料も通勤の交通費も自腹なのでキツいですね。ほとんどの人は交通費がかからない自宅周辺で仕事を探します」

管理人が辞めてしまうと、代わりの人はなかなか来ないといいます。

「管理人がいないところではゴミが散らかり、カラスも寄ってくるなどして、入居希望者がせっかく見学に来ても『やめときますわ』と帰っちゃうそうです」

人材不足の原因1つ目は定年延長と再雇用制度の普及

政府は70歳までの継続雇用を企業に要請するなど、高齢者の就労支援を進めています。不動産コンサルティング会社さくら事務所のマンション管理コンサルタント・土屋輝之氏は、この政策が人材不足の原因として大きいと言います。

「以前は60歳で定年退職していたので、対象者がたくさんいました。今は働き方改革で定年延長になり、60歳を過ぎても嘱託再雇用で同じ職場で働くことができる。人手不足ですから会社によっては70歳まで働くことができるところもあります。人材マーケットには以前のように対象者がいないのです。一時期は人気職種だったんですけど…」

マンション管理業協会が2018年3月に発表した調査(管理会社161社回答)によると、通勤する管理人は半割の会社が採用難と回答しました。理由として「給与や時給単価が低い」「売り手市場」「定年の引き上げ」を挙げています。むずかしくなった時期としては「1年超2年以内」が4割ともっとも多く、「3年以内」が8割を占めました。マンション管理人や清掃員の年齢構成比は男女ともに65~69歳がもっとも高く、男性は65歳以上が約6割です。

管理人の金銭事情はどのようになっているのでしょうか

管理人の賃金事情に関して土屋氏はこう話します。

「以前は時給1,000円以下のところもありましたが、今はそれでは応募がまったくありません。ある程度スキルのある人を希望するなら、少なくとも1,500円は必要でしょう。求人サイトを見ても、時給1,500円以上が多いし、月給だと15万~23万円が相場になっています。募集年齢の上限もどんどん引き上げられていて、上限80歳で時給950円という西東京市の案件もあります。白金で週末だけの勤務、上限80歳で時給1,200円という案件もありますね」

なお、東京都港区のような都心の高級住宅地ほど見つかりにくいそうです。前出のAさんもそうですが、管理人希望者は自宅周辺で仕事を探すからです。

2つ目の原因は住人らのクレームや「心ない言葉」

マンションの高級化に伴い、住人らが管理人に求める管理業務は多岐にわたり、レベルもどんどん高くなっています。しかし、その中には管理会社との契約にはないものも多くあります。

例えば、理事会への出席や議事録の作成のほか、子どもの安全・防犯のために学校から帰ってきたら管理人室で預かってほしいとか、部屋で留守番をしている高齢の親を見回りに行ってほしい、などです。

そうした要望が住人らから管理会社に入るケースはまだ良いほうで、日常的な要求やクレームは現場の管理人に直接入ります。管理人が契約内容を理由に断ると「前の管理人さんはしてくれたけど」と恨み節を吐く住人もいるそうで、管理人は心が折れそうになるといいます。

管理会社との契約にはない要望やクレームが直接現場の管理人のもとへ入ることも

「住人や管理組合は、契約内容や仕事の範囲を確認せず、勝手に要求してしまうことがあります。マンション内のことはすべて管理人や管理会社に任せているものだと思い込んでいるわけです。清掃に関するクレームなどでは、どう考えても重箱の隅をつつくような細かいものもあって、そもそも清掃業務の『きれいになっている』という基準は人によって異なります。客観性がありません。クレームをつける人の主観ですが、さらに、その主観も日によって変わったりもします。住人の虫の居所みたいなものが、言葉の端々に出たりすることもあります」(土屋氏)

一部のモンスター住人のせいで、管理人が辞めてしまって次が見つからないという悪循環になっている場合もあるようですね。

管理人不在のAI管理の実証実験も。清掃はルンバ?

管理人不足を解決するために不動産大手の大京グループは管理業務を行う「AI(人工知能)」を開発中です。2020年から新築の分譲マンションの共用部分にAIを活用した音声対話が可能なディスプレイを順次設置する予定です。連絡事項を掲示するほか、共用施設の予約や、管理組合へペット飼育を申し出たりすることができるであろうとしています。そのほか、ハウスクリーニングの申し込みやリフォームの相談、住宅関連サービスの問い合わせもできる予定です。

「マンション購入を検討している人は、どんなふうに建物が管理されているのかますます注意する必要があるし、従来のような有人管理を希望する人は、それ相応の管理費と修繕積立金を惜しまないでほしいですね」(土屋氏)

今は人手を介して行っている清掃業務もルンバに任せる時代が来るかもしれません。

この記事が気に入ったらシェア

オススメコンテンツ

おすすめ記事