「リバースモーゲージ」とは? メリット・デメリットをカンタン解説!

住宅ローンや教育費など、働き世代にとってお金の悩みはつきないもの。中でもつい後回しになりがちなのが、親の老後資金問題です。平均寿命が延び老後の時間が長くなっているいま、生活費や医療費など老後にかかるお金はますます増えています。親の老後資金は足りるのか、資金援助が必要になるのか…、漠然とした心配を抱える働き世代にご紹介したいのが「リバースモーゲージ」です。

老後の資金確保の切り札「リバースモーゲージ」

「リバースモーゲージ」とは、自宅を担保に金融機関から融資を受ける金融商品のこと。契約者が亡くなったあとに、担保とした不動産を売却して借入金残高を一括返済する方法が基本です。

大きな特徴は以下の3つが挙げられます。
・自宅の名義は変わらず、そのまま住み続けることができる。
・月々の返済は利息分のみ。元本は契約終了時(通常は契約者の死亡時)に一括返済。
・融資を一括で受け取る、年金のように毎月分割で受け取るなど、最適な受け取り方を選ぶことができる。

契約者が亡くなったあとに、担保とした不動産を売却して借入金残高を一括返済します

高齢者を対象とした商品で、申し込みは55歳~60歳以上からとしている金融機関が多いのも特徴。リタイア後の収入がない高齢者でも融資を受けることができ、年金や貯蓄だけでは不安な老後の生活資金を確保することができるのです。

リバースモーゲージは、欧米では早くから導入されており、認知度が高く、広く利用されています。イギリスでは1920年代、アメリカでは1960年代に登場し、2000年代に入ってから利用者が拡大しました。
日本では1980年代から導入されていたものの、取り扱いはごくわずかでした。しかし、近年は各金融期間が取り扱いを行っており、今後はリバースモーゲージを活用した老後の資金準備が広がっていくと予想されています。

メリット・デメリット

「リバースモーゲージ」のメリット・デメリットはこちらです。

「リバースモーゲージ」の主なメリット・デメリット

「リバースモーゲージ」のメリット

「リバースモーゲージ」の主なメリットは以下のとおりです。

●自宅を手放さずに、住み続けながら現金化できる
最大のメリットは、自宅に住み続けながらその価値を現金化し、老後生活のための資金を得られることでしょう。住み慣れた土地や家を離れたくない、これまでの生活を変えたくない、というシニア世代は多いもの。自宅に住み続けながら生活資金の不安も解消し、ゆとりある老後を過ごしてもらうことができます。

●融資の使いみちは基本的に自由
リバースモーゲージで得た資金の用途は、基本的に自由。生活資金の補てんだけでなく、住宅ローンの完済、介護費用や老人ホームの入居資金、さらに、自宅のリフォームや旅行・趣味の費用など、多彩な活用が可能です。

●自宅を資産として、親自身のために有効活用できる
子どもはそれぞれマイホームを取得し実家を引き継ぐ人がいない、勤務エリアが異なるため実家に戻る予定がない、といった方には、リバースモーゲージは非常に有効です。自宅の価値を現金化して親が生きているうちに親の老後資金に充てることができ、子世代にとっては親が亡くなったあとに借金が残らない上、自宅を売却する手間も省けて、相続をスムーズに行うことができます。

「リバースモーゲージ」のリスクとデメリット

多様なメリットが魅力のリバースモーゲージですが、デメリットやリスクももちろん存在します。しっかり把握しておきましょう。

●不動産評価額の下落リスク
リバースモーゲージは、担保にする自宅の土地や建物の不動産価値をベースに融資する仕組みです。そのため、景気変動などで不動産価格が下落すると担保価値が下がり、借り入れ金額が融資極度額を割り込んでしまう可能性もあります。リバースモーゲージの借り入れ期間は長期になるため、不動産価格の変動によるリスクは踏まえておくことが必要です。

●金利上昇リスク
今は空前の低金利ですが、もし金利が大幅に上昇した場合、毎月の返済額が増えてしまう可能性があります。さらに、借入残高が担保評価を上回ると担保割れが起こり、融資の減額や打ち切りになる恐れもあります。

●長生きリスク
人生100年時代と言われていますが、想定していたよりも長生きできた場合、融資額が増え、返済額が多くなってしまう場合があります。さらに、長生きできたために存命中に融資枠を使い切ってしまうという可能性にも注意が必要です。

まとめ:親の老後と向き合うことからはじめよう

リバースモーゲージは、いくつかの注意点はあるものの、しっかりと理解して上手に利用すれば、親の老後の生活に安心を提供し、より豊かに過ごしてもらうことができます。
これを機会に親の老後と向き合い、これからの生活や住まいについてそれぞれの気持ちを話し合ってみてはいかがでしょうか。
そこでもし、今後の生活資金への不安があることが分かれば、老後資金を確保するひとつの手段としてリバースモーゲージを検討してみてください。最適な選択ができるよう、金融機関に相談しながら慎重に進めていきましょう。

(最終更新日:2020.09.29)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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