毎日仕事に追われ、気づかぬうちに蓄積された疲労やストレス。以前訪れた地方の光景に癒やされたことを思い出し、セカンドライフをそこで過ごせたら心豊かな生活が待っているのかもしれない、という憧れを誰もが一度は抱いたことがあるのでないでしょうか。しかし、移住してはみたものの環境の変化に馴染めずに、失敗してしまったという声も聞かれます。そんなミスマッチを減らそうと、行政が取り組みをはじめました。どのようなマッチングをしているのか、その実態に迫ります。

ミスマッチを減らすために実施される「お試し移住」とは

その地域にもともと暮らしている人たちのなかに、いきなり飛び込んで馴染める人というのは少ないでしょう。たいていの人たちは、価値観の違いや自然環境、あるいは気候条件の違いから挫折を味わうのが現実でした。地域に住む人たちと、そこでの暮らしに憧れる人たちとの温度差はそんなに簡単に埋められるものではありません。そこで、各自治体が独自のプランを打ち立て、移住を決める前にそこでの暮らしを体験できるようにしたのが「お試し移住」です。

今の住環境に近い場所からスタートする「二段階移住」という取り組み

高知県の各市で構成された「れんけいこうち広域都市圏」では、二段階移住という仕組みを利用したお試し移住に取り組んでいます。第一段階として、移住を希望する人がそれまで住んでいた都市部の環境に比較的近い高知市へ体験移住をしてもらいます。これはその間に地域のコミュニティや周辺環境、文化に馴染んでもらうことが目的。まず、高知市で馴染めるかどうかを試している間に、その周辺地町村のなかからずっと住み続けたいと思う場所を探します。うまく見つけることができれば定住するというもの。ちなみに滞在中は、県内の移住専門スタッフがサポートをしてくれるので、いきなり移住することに比べたら二段階移住のほうがはるかに失敗するリスクは低くなります。

ずっと住み続けたいと思う場所を見つけたいですね

短期間の移住体験で、北海道の“寒さ”に耐えられるかじっくり確認

冬の厳しさで知られる北海道でも、お試し移住に取り組んでいるところがあります。中頓別(なかとんべつ)町は、そうしたなかでも最北の地にあり、大自然と共生する酪農の盛んな町です。「北海道の寒さに耐えられるのか」などの不安を、誰もが抱くこの町では、移住希望者により深く街を体験してもらおうと短期間移住体験ができる住宅を提供しています。

中頓別町では「なかとんべつ住宅(月額賃料5万円)」「ピンネシリ住宅(月額賃料3万円」をはじめとする一戸建て住宅のほか、1LDKのアパートタイプ(月額賃料2万円)などを用意。毎年、12月下旬に次年度利用分の申し込みを受け付けしているこの「お試し移住」には、腰を据えてじっくりと中頓別の風土に馴染んでもらいたいという思いが込められているのです。もちろん役場やJAスタッフの手厚いサポートがあるので、北海道での酪農生活に憧れている人は体験してみるのもいいでしょう。

移住願望を持つ若者が増加中! 不安のほうが大きく定住にはつながらず

「国土交通白書2015」には、内閣府が実施した都市住民の農山漁村地域への定住願望についての2005年調査と2014年調査の比較データが掲載されています。これによると30代の農山漁村への定住願望は17.0%から32.7%へ、40代では15.9%から35.0%へと増加しています。ところが、それぞれの年代のうち、すぐにでも農山漁村地域に定住したいと考える人の割合は60代、70歳以上でこそ高い値を示していますが、30代では4.0%、40代では1.3%。5年以内に定住したい人を含めても、それぞれ10.0%、5.3%にとどまりました。この結果から、農山漁村地域での生活を夢見ていても、様々な不安要素から移住を躊躇していることがうかがえます。

生活環境を大きく変えるということには、その人の生活において非常にリスクの高い側面があるものです。でも、セカンドライフへの憧れや夢を、そうした理由で諦めてしまうのは残念なこと。もし、移住や田舎暮らしに憧れている自分がいるのであれば、「全国移住ナビ」などを利用して、「お試し移住」を体験できる地域情報や、一定期間だけ移住候補先で働く「ワーキングホリデー形式」やセミナーなどの移住に関する情報などを調べてみましょう。もしかしたら、自分にとっての有益な情報が見つかり、夢のセカンドライフへの扉が開かれるかもしれません。

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