冬のボーナスは使う?返す?貯める? FPがポイント解説

冬のボーナスをどう活用するか、は決めていますか? 年末年始は忘年会・新年会、旅行や帰省と物入りが多く、いつの間にかボーナスを使い切ってしまった…ということにもなりかねませんね。納得できるボーナスの活用方法を考えておきましょう。

使う?返す?貯める?

ボーナスに限ったことではありませんが、臨時にまとまった金額の収入があった場合の選択肢は、「使う」「返す」「貯める(殖やす)」の3つでしょう。これら3つに優先順位をつけると、第一は「使う」こと。その時期に行いたいこと、行うべきことにお金を「使う」ことを優先させないと、肝心なときにお金が足りなくなり、貯蓄を取り崩したり、借入れしたりすることになるからです。

ボーナスをまとまった金額の支払いに充てる(住宅ローンのボーナス払い、保険料の年払い、車検費用等)というご家庭も結構多いですよね。それらのすでに予定している使い道に加えて、近々の支出予定を想定して、使い道を考えておきましょう。

年末年始の支出は予定しているかもしれませんが、年が明けてから、お金のかかる予定はありませんか? 子どもが習い事や塾に通い始めるとか、受験費用がかかるとか、冬のバーゲンで買いたいものがあるとか。冠婚葬祭(結婚式や法事)や卒業・入学のお祝い、転勤・引っ越し等の予定があるとか。月々の収入でまかなうのが難しいものは、ボーナスからの支出を考えておきましょう。

いったん「返した」お金は、使えない

「使う」予定を決めたら、次は「返す」か「貯める」かを考えますが、どちらを優先するかはケースバイケースです。カードローンや車のローン、住宅ローンなどをまとまった金額で繰上返済すれば、繰り入れた金額は元本に充当され、その分の利息を節約できます。一方、住宅購入資金や子どもの進学資金、老後資金などの準備も進めていきたいものですから、貯蓄や資産運用にも資金を振り向けたいところです。

一般に、預貯金金利よりもローン金利のほうが高いので、貯蓄するよりもローン返済にお金を回して金利負担を減らすほうが資産を増やす効果は高くなります。返済期間が長く定年後も返済が続くローンならば、繰上返済で期間を短縮すると、金利も節約できた上に老後の心配をひとつ減らすことにもなりますね。しかし、低金利でローンの利息負担が少なく、資産運用で高い収益を上げられるなら、返済よりも資産運用を優先したほうが有利といえるでしょう。

「返す」か「貯める」かは、ライフプランや家計の状況に合わせて、検討してみてください。ただし、預貯金は中途引き出しができますが、いったん、返済に回したお金は取り戻せません。低金利のローンをむやみに繰上返済した結果、資金が足りなくなって、新たに高い金利で借りることになる可能性もあります。ローン返済は、無理のない範囲で行い、迷ったら「貯める」ほうがリスクが少ないでしょう。

金融商品は、不利益につながる条件も確かめて利用する

ボーナスの一部を貯蓄したり、運用したりする場合には、金融機関のボーナスキャンペーン商品などを利用するのもよいでしょう。期間限定で特別金利が適用されたり、手数料が割引されたりとお得な条件で利用できます。

ただし、利用する際は、特別金利などのお得な数字だけでなく、「元本割れの可能性」「為替差損の可能性」「手数料がかかる」などの不利益につながる条件についても、確かめた上で利用しましょう。また広告には「年利」で示されていても、その商品の預入期間が3ヶ月や6ヶ月といった1年未満なら、得られる金利は3ヶ月分(1年分の4分の1)、6ヶ月分(1年分の半分)であることも忘れないようにしましょう。さらに当初預入期間を過ぎて預入を継続した場合にはどんな金利が適用されるのか(一般には通常金利)も要確認です。

また、ボーナスキャンペーンの対象にもよくなる外貨預金を利用する場合には、金利だけでなく、為替の変動(円高・円安)や為替手数料にも注意が必要です。円を外貨に変えて外貨預金に預け入れ、満期後外貨を円に戻す場合には、預け入れ期間中に円高が進むと元本割れする可能性があります。また、円から外貨、外貨から円に戻す際に為替手数料がかかるので、金利や手数料によっては、下記の例のように、為替変動がなくても元本割れする可能性もあるのです。

なお、為替手数料は金融機関によって異なり、通貨によっても異なります。また、同じ金融機関でも、インターネットバンキングの場合には有利な手数料が適用される場合もあります。同じ金利・通貨の金融商品であれば、手数料負担が小さいほど、有利に利用することができます。

・外貨預金の利用例

条件:1外貨=100円(仲値)のときに、10,000円をある外貨に換えて、金利1%の1年定期に預け入れ、満期金を円に戻した場合。為替手数料は1外貨あたり1円とする。税金は考慮しない。

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株式や債券、投資信託など、そのほかの金融商品を利用する場合にも、期待される収益だけでなく、価格変動リスクや為替リスク、手数料負担なども確認し、納得した上で利用することを忘れないようにしましょう。

ボーナスはまとまった金額を得て、月々の収入ではできないことが実行できるチャンス。自分や家族にとって有意義な使い道をまず考えた上で、返済や貯蓄、運用など、我が家の将来の生活をよりラクに豊かにする活用方法を検討しておきたいですね。

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