「子ども食堂」の認知度は約8割、地域活性化への広がりも~全国1万人の意識調査

厚生労働省によると、2015年時点で日本に住む17歳以下の子どもの相対的貧困率(世帯所得が標準的所得の半分以下の割合)は13.9%、つまり7人に1人の割合で貧困に陥っています。相対的貧困の状態は外見からは分かりにくく、支援の手を差し伸べることが難しいのが特徴ですが、近年は食をサポートする形での支援が広がっています。株式会社インテージリサーチの「子ども食堂・フードバンク・フードドライブの認知度等に関する調査」から、子ども食堂をはじめとする食支援について考えます。

82.1%が子ども食堂を認知。運営に関わりたい層は性別・年齢によって格差あり

子ども食堂は「子どもが一人で行ける無料または低額の食堂」とされており、2012年に東京でスタートしたのをきっかけに全国に広がりました。子ども食堂の取組を知っているか尋ねたところ、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」が48.9%、「名前を聞いたことがあるが、内容は知らない」が33.2%となりました。

出典:株式会社インテージリサーチHP

「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」と「名前を聞いたことがあるが、内容は知らない」の合計は82.1%となっています。これは2018年の前回調査よりも約10ポイント上昇しており、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」と回答した人が前回に比べ7.8ポイント増え48.9%となったことからも、認知度が上昇していることが分かります。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調査結果によると、子ども食堂は2019年に3,718ヶ所と全国的に急増。また2019年にファミリーマートが子ども食堂を全国展開するなど、新たな動きが活発化したため、テレビや新聞といったメディアを通してだけでなく実際に目にする機会が増えたことが、認知度上昇の理由と考えられます。

子ども食堂の多くはボランティアの協力で成り立っています。そこで、子ども食堂を知っている人を対象に子ども食堂の運営に関わってみたいか尋ねたところ、「運営に関わってみたい」2.0%、「時間的な余裕があれば運営に関わってみたい」8.2%、「ボランティアスタッフとして関わってみたい」8.3%を合わせて「関わってみたい」と回答した人が18.5%と、前回調査の24.6%より6.1ポイント減少する結果となりました。

出典:株式会社インテージリサーチHP

性別・年齢別によって見ると、全体的に女性の参加意欲が高い傾向にあり、10歳代男女と70歳代女性で参加意向が高く、30~50歳代男性で参加意向が低くなっています。女性の参加意向が高いのは一般的に子育てや食事づくりの経験が多く実際に運営に関わった際のイメージがわきやすいためだと思われ、10歳代は自身が子ども食堂の対象となる年齢であったりそれに近いため馴染みがあることが理由だと考えられます。30~50歳代男性は働き盛りの年代であり、実際に運営に関わる時間的・精神的余裕が不足していることが参加意欲の低い理由として挙げられます。さらに、子ども食堂の貧困対策・孤立対策という側面ばかりが注目されることで、身近な問題としてとらえにくくなることも原因といえそうです。

新しい食支援の形として今後注目したい、フードバンクやフードドライブ

食支援の方法は子ども食堂以外にも複数生まれています。そのうち近年広がりを見せつつあるフードバンクとフードドライブの認知度について調査したところ、子ども食堂の認知度よりも低い水準にとどまりました。

出典:株式会社インテージリサーチHP

フードバンクとは、「まだ食べられるのに、さまざまな理由で処分されてしまう食品を、食べ物に困っている人や施設に届ける活動」のこと。フードドライブとは「家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動」のことです。これらの活動を知っているか尋ねたところ、「名前を聞いたことがあり内容も知っている」「名前を聞いたことはあるが内容は知らない」と回答した人は、フードバンクで67.7%、フードドライブで35.4%となりました。

これらの活動は自治体だけでなく、スーパーなど民間事業者が運営している場合もあり、フードドライブやフードバンクで集めた食品を子ども食堂で提供する料理の材料にすることで、子ども食堂の支援にもつながります。時間的な制約から子ども食堂の運営に関わることは難しい人もフードバンクやフードドライブは気軽に活動に参加できる場合もあるため、今後認知度が向上すれば活動がさらに活発になると予想されます。

まとめ

見えない貧困を救うため、近年活動の広がりを見せている食支援。特に子ども食堂は貧困対策だけでなく、世代間交流や地域活性化の拠点としての側面や、子どもの居場所を確保するという側面もあるため、シングル世帯や共働き世帯の増加、高齢化が進む現代社会において今後ますます重要になってくるでしょう。今すぐに子ども食堂の運営に携わることは難しくても、まずはフードバンクやフードドライブなど気軽にできる食のサポートから挑戦してみてはどうでしょうか。

【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象者:マイティモニター 全国16歳以上79歳までの男女個人
サンプル構成:平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数:10,803サンプル
調査期間:2019年3月25日(月)~3月27日(水)

ニュース参照元:PRTIMES
ニュース提供元:株式会社インテージリサーチ

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