高級で、独自性がある、ユニークなデザインが特徴。そんな話題の調理家電をフードスタイリスト木村遥さんが実際に使い、レポート。今回は「バーミキュラ ライスポット」にスポットを当てました。

密閉性が高く無水料理ができる鍋「バーミキュラ」に、調理用のヒーターを組み合わせるという斬新な発想から生まれた「バーミキュラ ライスポット」。ご飯がおいしく炊ける炊飯器として人気を博していますが、果たしてその真価はどこにあるのでしょうか? なぜ、「バーミキュラ ライスポット」で炊いたご飯はおいしいのでしょうか? メーカーである愛知ドビー株式会社へと向かいました!

無水料理ができる鋳物ホーロー鍋として人気に

「バーミキュラ」が発売されたのは2010年のこと。鋳物にホーロー加工を施した鍋で、ふたと本体の密閉性が高いために無水調理が可能なのが特徴です。

その緻密なつくりもさることながら、熱伝導率が高い鋳物製の利点も活かし、煮込み料理などがおいしく仕上げられることから、幅広い層から爆発的な人気を博しました。当初は注文から商品が届くまで、1年以上ということもありました。

そんな「バーミキュラ」のノウハウを活かしつつさらに進化させ、2016年に登場したのが「バーミキュラ ライスポット」です。

「よりいいものを」というスピリッツがジャンルを越える

鋳物の鍋であるバーミキュラは、砂で作った型に溶かした鉄を流し込んで作る。流し込む鉄が適した温度になっているかを常に測りながら、流し込むスピードも考慮して慎重に作業を進めていきます
ふたと本体の合わせ部分の精密加工作業。0.01ミリ単位に調整することで、無水調理が可能な密閉性の高い鋳物ホーロー鍋が完成します

「バーミキュラ」という傑作をより上手に活用してもらうために考え出されたのが、「鍋に熱源をつける」というユニークな発想でした。

これが新たなジャンルの調理家電を生むこととなりました。広報の古澤紗織さんに話を伺いました。

「バーミキュラユーザーの方からは、いろいろな声をいただきます。その中に、「バーミキュラで炊いたご飯がとてもおいしい」というものがありました。それこそが、バーミキュラ ライスポット開発の原点となったのです。バーミキュラには、最適な弱火というベストな火加減があるのですが、ちょっとコツが必要です。それがわからずに、鍋を焦がしてしまったりする方もいるとうかがったので、誰もがバーミキュラを使って上手に調理できる“熱源”を提供できないかと考えました」

ポットヒーターは底面だけでなく側面からも加熱されるようになっていて、直火に近い調理ができるようになっています

「熱源の部分は『ポットヒーター』と呼んでいますが、自動で火加減を調節してくれるので、お米と水を入れてスイッチを押すだけで、ご飯が炊け、もちろん、普通の炊飯器のように予約もできます。さらに、従来の『バーミキュラ』同様、煮込み料理なども得意です。
普通はコンロにかけて火加減に注意しながら調理しなくてはなりませんが、ポットヒーターにおまかせすれば最適な状態に調整してくれますし、タイマーで出来上がり時間を設定することもできます。底面だけでなく側面にも熱源があって、直火調理と同じように、鍋を包み込むようにして加熱されます。中火の設定もあり、素材をある程度炒めてから煮込むというような調理も可能です。
30〜95度までの温度設定ができ、ローストビーフのような低温調理だけでなく、ヨーグルトや甘酒などの発酵食品も作ることもできます。私たちは『世界最高の熱源』を目指して、ライスポットを開発してきました」

おいしさに妥協せず開発

お米のうま味と甘さを感じられる炊きあがり
ふたの縁の一方向には溝を設けて軽くしてあるので、沸騰したときにわずかに浮かび上がり、蒸気が逃げられるようになっています

単純に、鍋に熱源を添えるということではなく、どうしたらおいしいご飯を炊けるのかということを徹底的に突き詰めて開発は進められました。

「バーミキュラ ライスポットには、一般的な炊飯器についている『保温機能』がありません。あえてつけなかったのです。それには理由があります。

保温機能をつけるためには『内ぶた』をつけなくてはならないのですが、実はこれがおいしいご飯を炊くための障害になります。バーミキュラでご飯を炊くと、鍋の上部は外気に直接さらされ、加熱されている鍋の下部との温度差で激しい対流が起きます。対流はご飯一粒一粒にしっかりと熱と水分を行き渡らせ、おいしい炊きあがりにしてくれます。

しかし、内ぶたをつけると上下の温度差が小さくなり、対流が弱くなってしまいます。また、自社の調査で、炊飯器の保温機能を使っている人は2割程度だということがわかりました。「保温したご飯はおいしくない」という意見も多くありました。ご飯は保温せずに、余った分は冷凍保存するという人が増えているようです。私自身も、週末にまとめてご飯を炊いて冷凍しておいて、平日はそれを解凍していただいていますが、十分においしくいただけますね。こうした背景から、バーミキュラ ライスポットには保温機能がありません。

さらに、鍋自体にも工夫が凝らしてあります。鋳物ホーロー鍋の弱点は、高火力時の吹きこぼれでした。
そこで、ライスポットに使われている鍋には、ふたの一方にだけわずかな溝を設け、密閉性を保ちながら蒸気の吹き出し箇所をコントロールすることができるようにしました。

その結果、吹きこぼれを最小限に抑えて、高火力でご飯をおいしく炊き上げることが可能になりました。さらに、ふたの裏側には二重のラインと小さなでっぱりがつけてあります。蒸気がふたに触れて冷やされ、水滴になってこれらの突起から下に落ちるようになっています。あえて突起を作っておくことで、ふたから均等に水滴が落ちるようにしてあるのです。こうした細かな工夫も加えて、おいしいご飯が炊けるように設計されています」

愛知ドビー広報の古澤紗織さん

まとめ

バーミキュラが誕生した背景には、「世界最高のものを作る」という志がありました。

バーミキュラという傑作を作り出した後であってもその姿勢は変わらず、ただの炊飯器ではない「ライスポット」という新たなる世界を切り開きます。(後編に続く)

(取材協力)
フードスタイリスト 木村遥さん

料理家、ファッションスタイリストのアシスタント後、スタジオ勤務を経て独立。広告、書籍、雑誌などのフードスタイリングを中心に活動中。
(最終更新日:2019.10.21)

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