「スマートシティ」で生活がますます便利に!? 官民の連携がもたらすもの

2019年6月に「統合イノベーション戦略2019」等が閣議決定されました。これにより、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省は、スマートシティへの取り組みを官民連携で一層強化するために「スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立しました。このことは、私たちの生活にどんな影響を与えるのでしょうか。

「スマートシティ官民連携プラットフォーム」とは

スマートシティ官民連携プラットフォームは、企業、大学・研究機関、地方公共団体、関係府省等、合計471団体が主となって「事業支援」「分科会」「マッチング支援」「普及促進活動」等を実施していきます。

「スマートシティ」というと、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか

街全体がインターネットでつながって省電力で動いていたり、自動運転車が走っていたりという、近未来的なイメージを思い浮かべる人が多いのではないのでしょうか。

「スマートシティ」とは、生活の質の向上や、経済発展をさせるために「IoT(Internet of Things=モノのインターネット)」の先端技術を駆使し、基礎インフラと生活インフラ・サービスを効率的に管理・運営する都市のことです。

ウィーン工科大学による考え方では、

・Smart Living(スマートリビング・生活)
・Smart Energy(スマートエネルギー・環境)
・Smart Economy(スマートエコノミー・経済活動)
・Smart Learning(スマートラーニング・教育)
・Smart Mobility(スマートモビリティ・交通)
・Smart Governance(スマートガバナンス・行政)

の6つが「スマートシティ」の基礎モデルとなっています。

日本における「スマートシティ」のプロジェクト

「スマートシティ」の実現に関しては、現在、世界中でプロジェクトが進められています。国連(UN)の経済社会局(DESA)によれば、現在77億人の世界人口は、2050年には97億人に達すると予想されています。エネルギー消費が爆発的に増えることが懸念され、効率的に使うことが世界的に求められています。日本でも東日本大震災がきっかけとなり、エネルギー供給の考え方が大きく変わってきています。

2010年前後は、エネルギー消費の効率化や土石流情報、水位情報、市内循環バス情報、見守り情報などの防災の分野など、特定の分野の領域内で、その技術が活用される「個別分野特化型」の手法が用いられました。

近年になってからは、「環境」「エネルギー」「交通」「通信」「教育」「医療・健康」等、複数の分野で幅広く構想を採り入れる「分野横断型」のものが増えてきています。

海外の「スマートシティ」のプロジェクト

日本において、官民一体でプロジェクトに取り組むことになった背景には、海外で民間企業が中心となり、政府や自治体と連携してスマートシティ化を推進する取り組みが見られるようになったことがあります。Google の関連企業が、2017 年にカナダの政府系企業と連携して、カナダ・トロントの都市開発プロジェクト「Sidewalk Toronto」を展開しました。様々な場所にセンサーが設置され、交通の流れや、大気汚染、エネルギー使用量、旅行者の行動パターン、ゴミの排出量等に関するデータを収集。データ・サイエンティストがそれを分析し、都市計画に反映させています。

これらの背景を受けて、国内でも今後、このプラットフォームを軸に、官民が一体となって全国各地のスマートシティ関連事業を推進していくことになったのです。

実生活でどんなことが変わるのか

では、実際に私たちの生活はどのように変わるのでしょうか

国土交通省都市局が2019年8月にとりまとめた中間報告によると、次のようなことが実現されるようになります。

1.自由に使える時間が増える

ICT 技術の進展により、私たちは物理的な距離を超えてリアルタイムの情報を集めることが可能になり、生活の質を高める余剰時間を確保できます。

2.場所にこだわらず仕事ができる

従来と違ったスタイルでの働き方も可能になります。テレビ会議は、テレワークや在宅勤務を可能にし、会社にいなくても仕事のできる環境をつくることができます。

3.ネットショッピングの時間が短縮できる

インターネットショッピングに関しても、Eコマースの発達は、スマートフォン等のモバイル通信技術の普及に伴い、これまで以上に時間短縮が実現できます。ユーザーの購買履歴に基づく「おすすめ」機能は、生活者のニーズに合った商品の推薦を行い、生活者が買うべき商品を検討する時間の短縮をもたらします。ドローンによる無人物流システムなどが取り入れられれば、商品購入から受け取りまでの流れがますます効率化します。

4.移動時間もストレスフリーに

将来的に完全自動運転の都市交通インフラが実現されれば、運転を人工知能(AI)に任せ、搭乗者は道路状況に注意を払わず、移動中の車内でくつろぐことができます。

今後の取り組みは

スマートシティ官民連携プラットフォームにより、今後、各省庁は資金面に加え、ノウハウ面での支援、「スマートシティ」実現のための技術等の横展開を促進するための援助などを行っていきます。交通や観光、地域活性化などのテーマのほか、異分野連携促進のための有識者による基調講演 ・モデル事業における取り組みの紹介などを積極的に行う予定です。

私たちの生活は、より快適なものになり、個人の生活の質(QOL:Quality of Life)を高めることができると考えられます。

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