“チャレンジしない”守りの資産運用、リスクを分散させるポイントとは?

「老後2,000万円問題」をきっかけに、将来、必要となるお金について改めて考えた方も多いのではないでしょうか。しかし、「株式投資」や「FX」などは資産運用初心者にとって非常にハードルが高いもの…。

そこで、“チャレンジしない、守りの運用”について詳しく解説。リスクを分散させるポイントや、低リスクで運用できる金融商品についてご紹介します。今ある資産を守りながら、コツコツと着実に将来への準備を進めていきましょう!

自分にピッタリの投資方法を選ぶには?

まずは投資目標を設定すること

資産運用を始めるときに重要なのが“自分の投資目標”を明確に定めることです。例えば、ダイエットに挑戦するときに「少しだけスリムになりたい」と「15kg痩せよう」では、目標達成までのアプローチが大きく異なりますよね。

目標に向かって正しいアプローチを検討し、実践すべきなのは資産運用も同じ。「リスクを恐れず、攻めの投資にチャレンジしたい」「資産を堅実に守りながら、少しずつ増やしたい」といった自分自身のニーズや投資目標と照らし合わせることで、最適な金融商品を選ぶヒントが得られるのです。

“守り”の運用ができる「低リスク型商品」3例

低リスク型商品で、守りの資産運用を

個人向け国債

「攻め:守り=0:10」の資産運用を考えている方におすすめなのが、個人向け国債です。

個人向け国債とは国(日本)が発行している債権のことで、自分の資産を国に一定期間投資している状態になります。満期時払い戻しの元本保証に加えて利子(0.05%年率保証)の支払いもあるので、非常に安心感の高い資産運用方法です。また、1万円から購入できるのも大きな魅力のひとつ。少額から始められるので、資産運用に慣れていない方でも積み立て感覚で購入できます。

個人向け国債は、変動金利型の「変動10年」、固定金利型の「固定5年」「固定3年」から選択可能。近い将来お金を引き出す可能性のある方は固定金利型、将来の備えのために長期保有したい方は変動金利型といったように、ライフプランや投資目標に応じて商品を選んでいきましょう。

財務省の個人向け国債ホームページでは、購入金額に応じた受け取り利子額のシミュレーションが行えます。運用イメージをつかみたい方は、ぜひ利用してみてください。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

「お金を途中で引き出さず、確実に老後資金として貯めていきたい」と考えている方には、個人型確定拠出年金が最適。“iDeCo”という名称で親しまれているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。個人型確定拠出年金は、一般的に納めている公的年金とは別に、自分で上乗せできる私的年金のこと。元本確保型の定期預金、元本変動型の投資信託・保険など、バラエティ豊かな対象商品のなかから金融商品を選び、毎月の掛け金を決めて運用していきます。

iDeCoの最大のメリットは税制優遇を受けられ、節税効果が得られること。掛け金額が所得控除対象となり、所得税と翌年の住民税から軽減されるような仕組みになっています。また、税制優遇は運用時のみでなく「運用商品の売買時」や「年金受け取り時」にも適用されます。公的年金を受け取った場合と異なり、受け取り方法に応じて退職所得控除や公的年金等控除として控除されるのです。60歳まで引き出しや中途解約ができないことを理解したうえで、余裕資金を使って将来の“ゆとり”を確保していきましょう。

【iDeCoの運用コストに要注意!】
前述したように定期預金を運用商品に選んだ場合、元本割れのリスクはありません。しかし、定期預金100%でiDeCoを運用した場合は、「運用コスト(手数料)>運用益」になってしまう可能性大。税制優遇メリットを受けられるため、損をするわけではありませんが、やはり掛け金がマイナスになるのは気になってしまうもの…。複数商品を組み合わせて運用することもできるので、低リスクの元本変動型商品を一緒に運用するのも一案です。

また、iDeCo運用にかかる手数料は取り扱っている金融機関によって大きく異なります。運用コストを削減したい方は、ネット証券会社を利用するのがおすすめです。

積立投資信託

「リスクの低い商品で、資産運用を本格的に始めたい」と考えている方は、毎月一定の金額を積み立てる積立投資信託を選んでみてはいかがでしょうか。毎月100~1,000円程度の少額から掛け金を積み立てられるので、一度に多額の資金を運用する不安やリスクも回避できますよ。

商品は「ファンド」と呼ばれる仕組みが取られ、投資のプロが運用してくれます。国内外の株式・債券・不動産など、さまざまな商品から投資したいものを選択して資産運用の第一歩を踏み出してくださいね。

長期投資や積立投資信託のイメージをつかみたい方は、金融庁の「資産運用シミュレーション」をチェックしてみましょう。毎月の積立金額・期間・想定利回りを入力するだけで、簡単に運用の効果を予測できます。

投資商品のリスクを軽減させるコツ

運用を始めるにあたって、投資リスクを少なくすることは重要です

資産運用を始めるうえで知っておきたいのが、投資リスクを抑えるための工夫! 残念ながら“リスクなし×リターン大”といった夢のような金融商品はありませんが、ほんの少し注意するだけでリスクは最小限に抑えられるのです。最後に、リスクを小さくするために有効な「資産分散」「時間分散」「長期保有」について解説します。

1.リスク分散をはかる(資産分散)
ひとつの金融商品にまとめて投資するのではなく、複数の種類に分散投資することは運用の基本。ご紹介したように、積立投資信託やiDeCoの対象商品には国内外の株式・債券・不動産などバラエティ豊かな商品があります。異なるジャンルに投資して、万が一の事態が生じたときにすべての資産が被害を受けないようにしましょう。

2.時期を分けて購入(時間分散)
「長い期間でじっくり運用したい」と考えている場合には、投資予定金額のすべてを一度に投資するのはNG。購入時期の分散や一定額を複数回に分けて積み立てることによって、一度にまとめて投資した場合と比較して購入リスクを抑えられる効果が予想されます。

3.大きな変動に一喜一憂しない(長期保有)
市場は国内外で起きるたさまざまな要因によって、一時的に急騰や暴落などの値動きが生じます。短期保有の場合は値動きの影響を受けるリスクが高いですが、長期間の保有は変動による影響が少ない傾向にあります。投資初心者は中長期保有を想定して、値動きにハラハラしない運用を心掛けましょう。

運用の必要性が叫ばれている昨今、ライフプランに合った資産運用方法を見つけるのは自分の人生を豊かにするための第一ステップです。「損をしたら怖いから…」と、これまで躊躇してきた方も、低リスク商品で“守りの資産運用”を始めてみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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