この記事は、約7分で読めます

雨の多い日本では、過去10年の間に97%の市区町村で河川の氾濫などによる水害が発生しており、うち半数近くは10年間に10回以上の水害が発生しています。

住宅に損害を与えるだけでなく、ときには人命を奪うこともある「水害」から、どのように住宅を守ればよいのでしょうか。

そこで、水害による住宅への被害を最小限に抑えられるよう、水害に強い家づくりのポイントや水害対策、そして水害を受けにくい物件の選び方について説明いたします。

水害には「外水氾濫」「内水氾濫」がある

「外水氾濫」と「内水氾濫」が住まいへの被害をもたらします

大雨や台風などの多量の降雨によって引き起こされる災害を「水害」と呼びます。水害には「外水氾濫」「内水氾濫」と呼ばれるものがあり、主にこれらが住宅への被害をもたらしています。

外水氾濫

台風や大雨により河川が氾濫し、家屋や田畑が浸水することを「外水氾濫」といいます。住宅の全壊・半壊や人的被害の原因となります。

内水氾濫

下水道の能力不足などにより、降った雨を処理しきれずに水があふれてしまう状態「内水氾濫」といいます。ゲリラ豪雨が原因で起こる、アンダーパスの冠水はこちらに分類されます。

水害に強い家にする5つのポイント

浸水対策を行うことで水害に強い家作りをすることができます

ここからは、水害に強い家づくりのポイントについて説明いたします。

高床式にする

・1階部分を柱のみの空間にして駐車場などにする(ピロティ構造)

・鉄筋コンクリート造の基礎を高くする構造とし、想定される水位よりも床の位置を高くする

地盤を高くする

・盛り土により敷地全体を高くする

・敷地の沈下や崩壊を防ぐため、鉄筋コンクリートの擁壁を設ける

防水壁で家を囲む

・防水性の塀で住宅を囲み、敷地外からの浸水を防ぐ

・駐車場などの開口部には防水性の門扉を設置

外壁を耐水化する

・防水性の外壁を設けることで、建物への浸水被害を低減させる

・玄関は止水板で防水

設備機器を守る

・コンセントを高い位置に設置する

・1階と2階のブレーカーを分けることで、1階が浸水によりショートした場合に2階の停電を防ぐ

・エアコンの室外機や給湯器などを想定される水位より上に設置

家を建てる際に以上の5点を意識することで、水害に強い家を作ることができるでしょう。

日頃からできる水害対策の項目

また、水害対策は日ごろから心がけておくことが大切です。

家の周囲の安全確認

家の周囲に不具合等がないか、定期的に確認をしましょう。

1.雨どいや排水路に落ち葉や砂がつまると、降雨時に雨どいから水があふれ、敷地内に流れ込んでしまいます。また、雨水ますが落ち葉や砂で塞がれていると、敷地や道路が冠水する恐れがあります。それぞれ日ごろから点検や清掃を行いましょう。

2.窓が破損し、家の中に水が入ってくることを防ぐため、窓ガラスにひび割れがないか、また窓枠がガタついていないか確認しましょう。

3.雨漏りの原因となりますので、外壁に亀裂などがないか確認しましょう。

4.瓦を固定する材料や金具の不具合が原因で、瓦が飛ばされることがあります。風雨の影響で瓦やトタンが劣化していないか確認しましょう。

5.ゴミ箱、植木鉢、物干し竿など、飛散の危険性があるものを室内に格納しましょう。

土のう・水のうの活用

土のうの活用も、水害による被害を少なくするためには有効な手段です。土のうとは、布袋の中に土砂を詰めている土木資材で、家屋への浸水を軽減することができます。あらかじめ土のうを準備しておき、いざというときに慌てなくて済むよう、どこに置くか、どのように積むかなどを頭に入れておきましょう。

ただ、一般家庭で土のうを用意するのは大変ですので、水のうで代用するという方法もあります。簡易的なものでしたら、家庭用ごみ袋など身の回りにあるもので作ることもできます。

ただし、水のうは土のうに比べて流れやすいため、段ボールに複数詰め込んで使用するなど、使い方に工夫が必要です。

水害を受けにくい物件の選び方と注意点

水害を受けにくい条件として立地が大きく影響します

新たに物件を探す場合にはさまざまな条件を設けることかと思いますが、「水害を受けにくい」という条件も重要です。水害に強い物件探しのポイントは、ズバリ「立地」。水害による被害は、立地によって大きく異なります。

海抜が高い場所にある物件は水害の被害を受けにくい

丘の上など、海抜が高い場所にある物件は、洪水や浸水の被害を受けにくいです。海抜が高い場所となると、街の中心部から離れることが多く、生活が不便になりがちですが、水害対策としては「海抜」は重要なポイントです。ただし、海抜何メートル以上であれば大丈夫、という明確な基準はありません。

一部の自治体で発行している「津波ハザードマップ」にて表示されている浸水想定を参考にすると良いでしょう。

ハザードマップで過去の災害履歴を確認

先ほど紹介した「津波ハザードマップ」以外にも、「洪水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」などがあり、洪水や土砂災害などの被害を受けやすい場所、受けにくい場所が確認できます。

物件選びの際には、必ずチェックするようにしましょう。

注意したい立地のポイント

海や河川の近く

海や河川の近くにある住宅は、川の増水や海上の高波といった水害の被害を真っ先に受けます。堤防が設置してあっても、台風や豪雨の規模によっては安心できません。

小さな川であっても、豪雨の際に水かさが増す場合がありますので、「洪水ハザードマップ」にてあらかじめ確認することをおすすめします。

田んぼの埋立地

田んぼを埋め立てた土地にも要注意です。田んぼは水を入れやすくするため、周囲より低くなっている場所や海抜が低い場所に作られていますので、河川が氾濫したときなど、水が流れ込みやすくなっています。田んぼ付近で水害対策が行われているか、事前に確認しましょう。

丘の中腹

先ほど説明しましたとおり、丘の上の住宅は水害を受けにくいのですが、丘の中腹の住宅は土砂災害の被害を受ける可能性も。台風や豪雨の際に、住宅を建設したときの盛り土が流される危険性があるためです。

マンションを選ぶ際の注意点

マンションの場合も、できるだけ高層階を選ぶことで、水害の被害を受けにくくなります。しかし、それでも水害の被害を受ける可能性はあります。

例えば、マンションの1階相当の高さまで浸水したケースを考えてみましょう。エレベーターが停止する可能性もあれば、受水槽に影響が出て断水となることも考えられます。電気やガスが使えなくこともあるでしょう。

マンションに住む場合も、やはり事前に「ハザードマップ」の確認が必要です。あわせて、マンションの管理組合がどのような水害対策をとっているか、確認したほうが良いでしょう。また、排水溝のつまりが原因の浸水も起こり得ますので、普段から排水溝をしっかり掃除しておきましょう。

もちろん、マンション自体が先ほど述べた「水害に強い家づくり」の条件も満たしていると○でしょう。

まとめ

水害から住まいを守る対策として、もっとも有効なのは高台などにある水害を受けにくい物件に住むことです。とはいえ、そのために引っ越すことは現実的でないと思いますので、まず今お住まいの家でできる水害対策を実行することが重要でしょう。水害による被害は、事前準備の有無で大きく変わることもあります。日ごろから防災の意識を高めておきましょう。

おすすめ記事