ライドシェアリングサービスの先駆け、「Uber」が世界各国で浸透しつつあります。ドライバー登録した一般人が空き時間に自家用車でタクシー業務を行うサービスですが、日本では一般人が自家用車を使って有料送迎を行うことは認められておらず、お得にタクシーを利用する方法はほとんどありませんでした。そんな中で、「nearMe.」の提供する「相乗りタクシーのマッチングサービス」とは!? 代表取締役の髙原幸一郎さんにお話を伺いました。

自分の心と直感に従う~起業を決めた4つの理由


ライター 斎藤

「よろしくお願いいたします。まずは、髙原さんが現職に就くまでの経緯からお聞かせください」


NearMe 髙原さん

「大学時代にカナダへ留学した経験から、大学卒業後は様々なバックグラウンドを持った人に接したいと考えていました。『世界一の会社に入りたい』という想いで、世界大手ソフトウェア会社の日本法人SAPジャパンに新卒入社。ドイツでの駐在経験やグローバルなプロジェクト経験を経て『より意思決定に関われる本社で活躍したい』と考えるようになりました。グローバルな人材となる必要を感じ、シカゴ大学の経営大学院にMBA留学を決意しました」


ライター 斎藤

「しかし、SAPジャパンには戻らず、楽天に入社されたのですよね」


NearMe 髙原さん

「はい。卒業後は、世界一を目指す姿勢に魅力を感じ、楽天に転職しました。物流事業の立ち上げや新規事業に携わる毎日は、大変でしたが楽しかったですね。施策の効果がすぐに返ってくるため、やり甲斐がありました。その後、楽天から出向し、グループ会社の執行役員や副社長取締役としてアメリカでの駐在を経験し、最後1年はフランスにあるグループ会社のCEOを務めました」


ライター 斎藤

「なぜ起業を決断したのですか?」


NearMe 髙原さん

「これまでに10ヶ国ほど滞在した経験から『現地体験をしたいのに言葉が分からない』『インターネット検索をしなくても地元でおすすめのイベントや飲食店、観光スポットが分かればいいのに』と感じることが多く、そうした課題に自身でコミットしたいと考えるようになりました。それから起業するに至るまでには、4つの理由がありました」

 
ライター 斎藤

「ずばり、その4つの理由とは?」


NearMe 髙原さん

「楽天での仕事はどれも楽しかったのですが、私には『地域を軸にしたサービスを展開したい』という思いがありました。それが一つめです。二つめに、楽天時代にM&A後のPMI(経営統合作業)を通じ起業家と仕事をする中で『想いがあれば誰でも起業できるのでは』と感じたことも大きかったですね。
そして三つめには、私の大切にしている言葉の一つに、アップル社の創業者、スティーブ・ジョブズ氏の”The courage to follow your heart and intuition(自分の心と直感に従う勇気をもちなさい)”というものがあります。給料や生活面でリスクがあっても、せっかくなら『ワクワクしたことをしたい』という気持ちがありました。最後に心のセーフティーネットがあったことも背中を押してくれた気がします。『元いた場所に戻るのはいつでもできる』という自負があり、失敗しても食いっぱぐれることはないだろうと考えていました」


ライター 斎藤

「思い切った決断だと思いますが、苦しかったことはありませんか?」


NearMe 髙原さん

「正直、苦しくない時期はありませんでしたが、最終的に楽しいで終われるようにしているから続けていられるのだと思います。サービスのリリース前にバグが出てしまったときなど、シビれますね(笑)。絶対の自信をもって提供しているサービスでも『この工程は、受け入れてもらえるの?』『キャッシュフローは大丈夫?』と、不安は尽きません。社員は業務委託も含めて10人。正式な社員はたった3人でここまでやってきましたが、プロモーションを行わずともユーザー数は順調に増加しています」

nearMe.は相乗りするユーザーをマッチングする、新しいサービス


ライター 斎藤

「改めて、nearMe.のサービス内容を教えてください」


NearMe 髙原さん

「同じ方向に行きたい人と相乗りをすることで、お得に・早くタクシーに乗ることができる相乗りアプリです。終電や終バスを逃してタクシーで帰るしかないものの、タクシー代が高額で躊躇している人、悪天候時などタクシー待ちの長蛇の列に遭遇した人、急な事故で電車が動かず、急いで移動したいもののタクシー費用に頭を悩ませている人などにおすすめです。

利用方法は簡単。アプリで行き先を入力し、目的地が近い人とマッチング。自動算出されたルートと相乗り金額を確認し、良いと思えばメッセージや通話機能で合流して相乗りします。アプリ内決済のため、現金のやりとりが不要な点もポイントです」


ライター 斎藤

「以前から、nearMe.の構想があったのでしょうか」


NearMe 髙原さん

「目指すところは、人の<瞬間的ニーズ>に対してマッチングするサービスを提供すること。暮らしを便利にする仕組みをつくりたいと考えていました。具体的には、地域のいいものが発見できるように地域活性化プラットフォームを構築したかったのです。

対象は様々ですが、観光客にとっても、地域に住んでいる人にとっても、まずは移動が便利にならなければ目的地に行くことができません。最近は高齢者が免許を返納した後、移動の足をどのように確保するかも問題となっています。そこで移動の分野から取り掛かろうと思いました」


ライター 斎藤

「移動手段の中でもタクシーに着目した理由は?」


NearMe 髙原さん

「nearMe.のサービスが生まれた背景には、自身が郊外で暮らしていた当時の原体験があります。最寄り駅から自宅へ帰るにあたり、週に3日は最終バスを逃し、タクシーで帰宅していました。タクシー乗り場はいつも行列。長い列を眺めながら『ここには同じ方向に行く人がたくさんいるはずなのに、車内に自分1人しか乗らないのは勿体ないのではないか』と感じていました。私のように終バスを逃した人だけでなく、子どもの保育園や塾、習い事の送り迎えや老人施設への送迎など、様々な用途で利用できる仕組みはできないものか。電車やバスと同様に、タクシーも相乗りが当たり前の時代が来れば、door-to-doorの移動手段が気軽に使えるようになるのではないか、と感じたのです。

最近は空き家問題が話題ですが、door-to-doorでの移動が可能になれば、首都圏に人が集中して地方が過疎化することもなくなるかもしれませんし、そもそも<最寄り駅が近い>ことの価値も変わってくるかもしれません」

「シャトル」の利用でdoor-to-doorの移動をより安く、便利に


ライター 斎藤

先日の発表によると、タクシーだけでなくエアポートシャトルの運用も開始されたそうですね」


NearMe 髙原さん

「乗車定員が11人を超えるとマイクロバス扱いとなりますが、今回リリースしたスマートシャトル™は最大9人乗り。タクシーとバスの中間的位置づけです。バスの場合、停車位置やタイムテーブルなど何かと制約が多いですが、シャトルはAIを活用し、最適なルートで乗客をピックアップします。

TAXI TODAY in Japan2018 の調査結果によると、国内のタクシー総車両数は約24万台ですが、輸送効率の指標である実車率は40%台。ドライバーも不足しています。少ない人数でより多くの人を効率よく運ぶ手段として、nearMe.のタクシー相乗りやスマートシャトル™は有効です」

タクシーよりお得、バスより柔軟。ユーザーフレンドリーなエアポートシャトル

ライター 斎藤

「タクシーと比べて、どのようなメリットがありますか?」


NearMe 髙原さん

「例えば個人タクシーの場合、1万円を超えるような遠方の乗客に出会えれば嬉しい反面、帰り道はお金になりません。帰り道も乗客をマッチングする仕組みがあれば、経営的にも助かるのではないでしょうか。

利用者の立場から見ても、遠方の目的地までタクシーなら数万円かかるところを、何人かで相乗りすれば数千円で行くことができます。空港やゴルフ場、サッカー観戦、コンサート鑑賞といった目的であれば、同じ時間、同じ場所に行きたい人をマッチングしやすく、ビジネスチャンスとなりえます。ゴルフ場に行きたい方を対象にした実証実験では『ゴルフバッグを現地まで送る必要がなく便利』『帰りに運転をしなくて良いため、プレイ後に参加者全員でお酒を楽しめる』といった要望に応えたいと思います」


ライター 斎藤

「バスとの比較ではいかがでしょうか?」


NearMe 髙原さん

「乗車可能人数の多いバスは、一人あたりの費用を抑えられるメリットがあります。しかし、不特定多数を相手にしているため複数のバス停に停車する必要があり、時間的損失は避けることができません。タクシーは好きな時間にdoor-to-doorで移動ができ便利ですが、高額です。
シャトルを、バスとタクシーの中間的位置づけとして提案することで、日々の移動をより安く、便利にすることが目標です。空港や観光地への足としてだけでなく、高齢者をはじめとする手助けが必要な人の日常的な移動手段としても活用し、地方活性化に繋げていきたいと考えています」


ライター 斎藤

「最後に、今後の展望についてお聞かせください」


NearMe 髙原さん

「nearMe.は現在、東京都の他、神奈川県、埼玉県の一部エリアで利用可能です。今後は日本全国、需要があれば海外でも展開していければと考えています。起業前から『地域を軸にしたサービスを展開したい』という想いがありましたので、ゆくゆくはジャンルを広げ、多岐に渡るサービスを提供して行ければと思います。ガイドさんや観光タクシーのマッチング、地元ならではの情報を提供する仕組みづくりなど、やりたいことはたくさんあります。検索では見つからないような地元情報を提供し、現地体験を促せるようなサービスを提供できればと思っています」

 


ライター 斎藤

「相乗りすることで、ユーザーだけでなく経営面でもメリットがあるとは驚きました。全国展開だけでなく、海外展開も楽しみです!本日はありがとうございました」


NearMe 髙原さん

「相乗りから移動の課題を解決することで、各地のいいものが再発見される、旅や移動が楽しくなるようなサービスを提供していけたらと思います。どうもありがとうございました!」

編集後記

筆者が海外旅行で初めてUberを利用したのは、数年前のこと。通常のタクシーと比べて安い価格で利用できるだけでなく、ドライバーとやりとりができる仕組みやキャッシュレスで利用できる手軽さに感動し『このサービスが日本にもあればいいのに』と強く感じたことを覚えています。

Uberは<車を所有し運転する人>と<車で移動したい人>をマッチングするアプリですが、今回ご紹介いただいたnearMe.は<車で移動したい人>同士をマッチングするという新たな発想で、タクシーをお得に利用できる仕組みをつくりました。
自動車を所有していない、かつ旅行が趣味の筆者としては、全国各地でnearMe.を当たり前に利用できる時代が来て欲しい。door-to-doorでどこでも気軽に移動できる、更には現地体験も提案してくれるサービスができたら是非利用したい!と、大いに期待しています。

<取材協力>株式会社NearMe

本社所在地:東京都中央区八重洲1丁目9-9 東京建物本社ビル5階 xBridge-Tokyo
代表者:髙原幸一郎
事業内容:相乗りアプリnearMe.の企画運営
URL:https://nearme.jp

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