日本の持ち家率は平均しておよそ6割だといわれていますが、実際にはエリアごとに差があります。持ち家率が約8割という地域がある一方で、5割を切っている地域もあるのです。では、なぜ住む場所によって持ち家率が大幅に異なるのでしょうか。この記事では、どのようなことが持ち家率に影響を与えているのかなどを解説していきます。

持ち家率はどう調べるの?

持ち家率は、総務省統計局が5年ごとに調査している「住宅・土地統計調査」の結果に基づいて調べることができます。こちらは、総務大臣によって指定された調査区に住む住戸や世帯が対象の調査で、昭和23年から行われている伝統的なものです。同調査は、居住している家について、住人と住宅所有者との関係別に、戸数の統計を取っているのが特徴です。人が住んでいる住宅のうち、持ち家がどれだけあるかという比率が持ち家率で、率が高ければそのエリアでは家を所有している人が多いということになります。また、持ち家率は、総務省統計局が5年ごとに実施している国勢調査の結果からも計算することができます。持ち家率は国がきちんと統計を取って出しているので、正確性が高い数字なのです。

持ち家率1位が富山県である理由

都道府県で持ち家率がもっとも高いのが富山県

平成27年の国税調査の結果によると、富山県は前回の調査と同様に持ち家率が全国1位でした。平成7年まで調査をさかのぼってみても、8割の世帯が持ち家で暮らしています。このことから、いきなり家を買う人が増えたわけではなく、富山県は長期間にわたって高い持ち家率を維持しているエリアであると見てとれます。また、日本海側の持ち家率は平均して高く、持ち家率の5位まではすべて日本海側の県が占めています。持ち家率の高さには地域的な傾向があるとわかる統計結果です。富山県における平成27年の持ち家率は78.1%で、全国平均の62.3%と比較すると15ポイント以上も高いです。なぜ同県の持ち家率が高いのかの謎は、世帯や就業状況を見れば解き明かされるでしょう。

富山県には単独世帯の割合が少なく、全国44位という低さです。一方、三世代世帯の割合が多く、こちらは全国5位の高さになっています。つまり、大都市であれば借家に住むことが多い若年世帯が、同県では親などと同居する傾向にあることが、持ち家率の高さの一因であると推測できます。また、同県は正規雇用で働いている人の割合が多く、全国2位であることも特徴の1つです。さらに注目すべきは、同県は共働き世帯の割合も多いことで、総務省が発表した平成29年版「就業構造基本調査」によると、共働き世帯の比率は57.1%と、全国3位となっています。

一般的に、正社員だと住宅購入資金を調達しやすかったり、将来的に安心感があったりすることから、家の購入に積極的になれるものです。それにプラスして共働き世帯であれば、金銭的な不安などはほとんど解消されるでしょう。加えて、三世代同居家庭も多いので、家族で生活しやすい家を購入して住む割合が多いことも考えられます。二世帯住宅であれば若年世帯が支払う住宅購入資金は必然的に抑えられることからも、富山県はさまざまな側面で持ち家率が高くなる環境が整っているといえます。

持ち家率最下位は東京都

一方、持ち家率最下位の都道府県は東京都

平成29年の東京都の持ち家率は45.8%で、全国平均を大きく下回る低さとなっています。東京都の持ち家率の低さで考えられる要因としては、土地の価格が全国平均と比べて圧倒的に高いことが挙げられるでしょう。住宅地に限れば、日本全国の地価を調べると上位44位までが東京都の土地で占められています。また、上位100位までで東京都以外の土地は3ヶ所だけとなっているので、いかに東京都が地価の高いエリアかがわかるのではないでしょうか。平成31年1月1日時点での地価1位は、東京都にある銀座4丁目の1平方メートル5,720万円です。これは13年連続であり、また前年よりも3.1ポイントも上昇しています。

このように、東京都の地価は単に高いだけではなく、さらに今後も上昇する可能性があります。そのため、多くの人にとって東京に家を持つことは難しいことなのです。さらなる東京都の持ち家率の低さにかかわる要因に、1世帯当たりの人数が1.99人と、全国一少ない点も指摘できます。これは、前回の調査からも下回ってはじめて2.0人を切りました。東京都は単身世帯や2人世帯がほかの道府県と比べると圧倒的に多いのも特徴といえます。平成27年の調査によると、東京都における単身世帯の割合は47.39%と、ほぼ半数がひとりで世帯を持っている結果となっています。土地の価格が高いのと世帯の人数が少ないことから、住宅を購入しようとする人が必然的に少なくなると考えられるでしょう。

40代の持ち家率は過半数

持ち家率と年齢には関係性が見てとれます

一般的に30代から持ち家率が上昇する傾向にあり、30歳ではおよそ20%だった持ち家率が、39歳になるとおよそ50%近くと、上昇幅がかなり大きくなります。これは、結婚して家庭ができると、持ち家の購入が増えはじめるからだといえるでしょう。また、40代前半では持ち家率が過半数に達し、40代後半では65%を優に超えます。この理由は、子どもが生まれるという世帯人数の増加にプラスして、子どもの成長などに伴って部屋が手狭になり、家を購入する人が増えるからだと考えられます。さらに、50代を超えると7割以上が持ち家となり、60代後半からの持ち家率は8割を超えます。このように、年齢が上がるに従って持ち家率が高くなる傾向は、統計により明らかとなっています。

もう1つ、現役世代が家を購入する理由に、税控除も挙げられるのではないでしょうか。住宅ローン減税を使えば、10年間の所得税や住民税が控除されます。控除額はローン残高の1%なので、年末のローン残高が3,000万円であれば、30万円の税控除が受けられます。税控除は今後も経済状況の変化による政治判断などにより、金額や期間が変化する可能性があるでしょう。家を買う時点で税控除はどのような状況になっているのかは、きちんとチェックすることが大切です。

所得と持ち家率との関係は?

所得も持ち家率と関係する重要な要素です。平成25年総務省統計局の調べによると、年収が高いほど持ち家率が高くなる傾向が顕著に見てとれ、年収200万円未満の持ち家率は47.2%と半数を切るのに対して、1,000万以上の世帯では85%を超えています。言い換えると、所得が上がるほど借家を利用する割合が減少し、持ち家の割合が増えるのです。家はそれ自体の値段が高いものなので、所得が高いほうが購入しやすいのはもちろんのこと、高所得者はローン審査に通りやすい点も要因として考えられるでしょう。つまり、家を買う過程において、所得が高い世帯のほうが有利になるのです。

ただし、同調べからわかるのは、年収が一般的に低いとされている世帯でも、少なからず持ち家で暮らしている点です。半数を切るとはいえ、年収200万円未満でも持ち家率がおよそ47%であると考えると、居住エリアを考えたり、二世帯住宅にしたりといった工夫をすれば、マイホームの購入は決して夢ではないといえます。

持ち家に住むメリットの有無がポイント

持ち家率が高くなるか低くなるかは、持ち家に住むメリットがその世帯にあるかという点に関係しているでしょう。子どもがいるなど持ち家にメリットが大きいと感じる層は家を購入することが多く、借家住まいにメリットを感じる層では当然持ち家が少ないという結果になっています。このため、家の購入を考える際は、さまざまな方向から検討することが大切となるのです。

参考:【総務省統計局】平成30年住宅・土地統計調査とは
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/h30campaign/about/
【すまい給付金】住宅ローン減税制度の概要
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/

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