金融機関勤務に聞いた資産運用方法。実践しているお金の増やし方とは

厚生労働省の発表した「『人生100年時代』に向けて」によると、日本は世界一の長寿国として今後ますます健康寿命が延びると予想されています。健康寿命が延びることは老後に必要なお金の増額にもつながるため、これまで以上に貯蓄・資産運用は人々にとって重要なものに。どのようにお金のやりくりをすべきか悩んでいる方も少なくないはずです。

そこで、今回“お金のプロ”である金融機関の方に資産運用について調査してみました。金融機関で働く方が実践している方法についてご紹介します。

実践しているお金の増やし方

どのような金融商品をチョイスするのがいいのでしょうか

今回は、銀行・生命保険会社・証券会社などさまざまな金融機関で働く方に運用商品や、その金融商品を選んだ理由について質問しました。果たして、金融機関で働くプロが実践しているリアルなお金の増やし方とは…?

iDeCo/保険会社勤務(20代女性)

保険会社に勤めている20代女性が実践しているのは、「iDeCo」と呼ばれる個人型確定拠出年金。iDeCoは公的年金制度とは異なる私的年金で、自分で決めた掛け金を希望する運用方法で積み立てていきます。掛け金は5,000円から。上限は加入区分(働き方)によって決められており、最高額は自営業者の毎月68,000円です。掛け金の引き出しや途中解約はできないので注意しましょう。

【選んだ理由】

「将来への備えとして、無理なく少額から始められるiDeCoを選びました。『掛け金が全額所得控除対象になる』『受け取り時も控除対象』の2点に魅力を感じているので、60代で受け取り始めるまでしっかり積み立てていきたいです。幅広い金融商品の中から、自分好みの運用方法を選択できるのもうれしいポイントですね」(保険会社勤務/20代女性)

外貨預金/都市銀行勤務(30代男性)

都市銀行に勤める30代男性が実践しているお金の増やし方は「外貨預金」。外貨預金とは文字通り、貯蓄分を外国通貨に交換して預け入れをする預金制度のこと。通常の円預金の低金利が話題になる中で、外貨預金は金利が高く、加えて為替変動による利益を得られるのがメリットとして挙げられます。

【選んだ理由】

「大学で国際政治を学んでいたこともあり、もともと世界の政治・経済情勢に興味がありました。『お金を預けながら各国の経済状況を学べて一石二鳥だな』と感じ、現在は外貨預金を分散して保有しています。また、為替変動リスクに備えるために時間を分散させながら預け入れるリスクマネジメントも実践中です」(都市銀行勤務/30代男性)

株式投資/証券会社勤務(30代男性)

証券会社に勤める30代男性が実践しているのは「株式投資」。株式投資は、企業が発行している株券を売買することによって利益を生み出すもので、比較的難易度の高い上級者向けの資産運用といえます。また、売買益に加えて企業が用意する株主優待も魅力のひとつ。航空会社であれば国内線割引券、百貨店などは商品券といったように、各社の特色を生かしたお得な優待が用意されています。

選んだ理由

「地元に本社を置く会社を応援するために始めたのがきっかけですが、現在は資産運用の軸として株式投資を行っています。企業の経営状況や現在の経済動向を確認しながら、じっくり銘柄を選定する時間も楽しいです。『株=リスクがあって怖い』と思っている方は多いと思いますが、リスクを分散させる工夫はたくさんあります。投資初心者の方は積立投資信託などからスタートして、ある程度知識と経験を積んでから株式投資を始めてみるとよいですよ」(証券会社勤務/30代男性)

資産運用のコツは?

リスクも伴うため、運用のポイントをしっかり押さえましょう

次は、それぞれの資産運用を実践する上でのコツや注意点について紹介します。金融機関勤務者が実際に運用して分かった“重要なポイント”とは?

iDeCo

iDeCoを運用する際は、自分が何を重要視しているかによって選ぶ金融商品が異なります。「元本確保型(定期預金や保険など)」と「元本変動型(投資信託)」の2種類のうち、やはり後者は元本割れのリスクがあります。しかし、前者を選んでしまうとプラスの利益がごくわずかなので「iDeCoの運用手数料>利益」となり、額面上損をしてしまいます。節税ではなく資産運用のためにiDeCoを選ぶ場合は、元本変動型を上手に運用していくほうが現実的です。

また、iDeCo運用時に要チェックなのが運用手数料。利用する金融機関によって異なるので、少しでも手数料を抑えたい方はネット証券での運用がおすすめです。

外貨預金

外貨預金の運用時に重要なのは、ひとつの通貨レートにまとめないこと。外貨預金をすべて同一通貨で管理してしまうと、アクシデントがあったときに大きな損失を生む危険性が高まります。リスクマネジメントのために、「異なる3~4以上の通貨レートで預金」「預け入れタイミングを分散させる」などの工夫が必要です。また、自分の資産すべてを外貨預金に預けてしまうのもNG。急にお金が必要になり、損をするタイミングで引き出してしまうと結果的に額面上マイナスになってしまうことも…。生活資金や“もしものときのお金”を除いた、余剰資金で運用していきましょう。

株式投資

株式投資をする際は、NISAの開設が必須といえます。NISAは2014年に開始された少額投資非課税制度で、年間120万円までの運用益や配当金が非課税になるものです。非課税期間は5年間なので、投資金額で最大600万円分が対象。通常の受け取りの場合は「20.315%」の税金がかかってしまうことを考えると、メリットの大きさが分かりますよね。

ただし、NISAで損失が出た場合は確定申告での「損益通算」が行えないので注意しましょう。

リスク商品が不安な方は、まずは“貯めグセ”をつけよう

お金のやりくりを始めるならば、まずは貯金から

ご紹介したiDeCo(元本変動型)や外貨預金、株式投資はすべて元本割れの可能性がある「リスク商品」です。リスクを分散させるコツはありますが、デメリットを十分理解した上で運用しなければなりません。「今まで貯金したことがない」「資産運用のための資金を貯めたい」という方は、まずは貯めグセをつけることから始めましょう。一定金額を毎月積み立てる積立定期や、給与やボーナスから自動的に決めた額が天引きされる財産形成貯蓄などはリスクなしで、手軽に始められるのでおすすめです。

資産を上手に運用して蓄えることは、自分の未来への投資。理想的なライフプランを歩むための材料として、ぜひ自分に合った資産運用を始めてみてくださいね。

(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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