【経験者談】40代での脱東京、移住の前後で生活はどう変わったのか?!

東京都出身で奥さまと6歳、2歳のお子さんの4人で暮らしている下鳥 誠(しもとり まこと)さん。都会で生まれ育ち馴染んでいましたが、子育てしやすい環境を求めて3年前に岡山県和気町に移住しました。移住に至る経緯と暮らしぶりの変化について語っていただきました。

都会での子育てに違和感を持つ

「以前は、江東区のマンションで家族と暮らし、都内の貿易商社に営業担当として勤務していました。通勤には約40分かかりましたが、有楽町や銀座まで10分かからないというアクセスのいいエリアに住んでいたので、1時間以上かけて通勤する同僚に比べれば私は楽なほうでした。座席に座ることはできないものの、スマホを見るぐらいのゆとりはありましたし(笑)、それほど苦痛ではありませんでした」

「ところが結婚し、一人目の子どもが生まれてから考えが変わりました。ベビーカーで電車に乗り込むと、駅によってはエレベーターもエスカレーターもなく、ベビーカーと荷物を持って子どもを抱いて階段を上り下りするしかない。これまでは気が付かなかったことですが、都会って、大人が効率よく暮らすにはとても便利で快適な反面、子どもを伸び伸び育てようと思うと難しいんじゃないかという疑問に直面したんです」

「転職」が「移住」のきっかけに

「その頃から、少しずつ『移住』について関心が向き始めました。ただ、当時の仕事を続けながら別の土地に引っ越すのはやはり現実的ではないと、何度も『移住』への希望を自分で打ち消していました。妻は、ずっと移住について調べてはいたようですが…」

「そんな私が、急に移住について真剣に考えるようになったのは、転職しようと思ったのがきっかけです。たまたま、転職先の候補として出会ったのが岡山県内の企業の担当者で、仕事内容にも土地柄にもいい印象を持ちました。それで、もし転職するのであれば、『移住』という選択肢もアリだなと本気で検討するようになったのです」

子育ての環境と美しい風景が移住の決め手に

「岡山県には親類や縁者もいないし、まったくゆかりのない土地でしたが、気候が良くて、食べ物もおいしそう。地震も少ない。町と田舎との真ん中あたりにある、程よい『とかいなか』的な感じが、子育てするには良さそうだなと夫婦で好感を持っていました。子どもはまだ2歳だったので、いい話があるうちにと、転職と移住を決意しました。当初、一時は岡山市内に住んでいましたが、2016年11月に縁あって、和気町内に転居しました」

「実は、私より先に移住に関する情報収集をしていた妻は、最初から和気町に注目していたようです。私も仕事で和気町を訪れることがあり、緑豊かな山々と田園をバックにゆったりと流れる吉井川の風景に感動して…。まるで『ジブリ』の映画の世界みたいで、優しくほっこりした気分になったんです。住みやすそうだとすっかり気に入ってしまいました」

のどかな田園風景のなかでのびのびと子育て
「ジブリ」の世界のような豊かな自然も身近に感じられる

生活コスト減により、実質収入増も

「和気町内への転居に伴い、町内の家具店でWEB制作の仕事に就きました。以前から仕事で関わることのあったデザインについても勉強し直し、2017年7月に動画制作やWEBプロモーションの事業を立ち上げました。現在は両方の仕事で結構忙しい毎日を送っています」

ダブルワークで充実した毎日について語る、下鳥さん

「振り返れば、都内での仕事を辞して2回転職したことになりますが、現在では収入は以前とほぼ同じか、多少上回っていると思います。家賃は以前のマンションの10万円から半値の約5万円に。逆に、広さは2倍になり、ゆったりと家族4人が暮らせるようになりました。今年中には、和気町で念願のマイホームも実現する予定です」

「光熱費は、東京は競争が激しいせいか比較的安かったので現在とあまり変わりはありません。その代わり、近所から野菜やお米をたくさん分けてもらえるので、食費はかなり助かっています」

「町の子育て支援制度も充実しており、その一つに町内の小学校5年生から中学校3年生までを対象にした、無料の英語塾を開講しているのですが、上の子はそれを受講しています。また、高校卒業まで医療費が無料なのも助かりますね。何より、東京では仕事のストレスが多くて、飲んで帰るということも多かったのですが、今はストレスもないし、夜遅くまで開いている店もあまりないので(笑)、外食費は激減しました。実際の収入はほぼ横ばいなのですが、そうした目に見えない無駄遣いが少なくなり、経済的にも、精神的にもとてもゆとりが生まれたと感じています」

心身ともに健やかな暮らしを実現

「移住を考えている方が一番心配なのは、やはり仕事ができるかどうかということだと思います。私の場合はたまたま岡山の企業との出合いがあったのがきっかけでしたが、周りには、県内での人材マッチングによって職探しをした移住者もいるようです」

「地方では都会のスピードよりゆっくりとした時間が流れているので、都会でバリバリ仕事をしている人なら、今以上に効率的に仕事がこなせるのではないかと。また、起業して自分の好きなことをやろうと思えば実現できるチャンスもあります。たとえ実収入ベースで下がったとしても、生活コストもその分下がるので実際の手取りは増えますし、私のように起業のチャンスを生かせばより収入を得ることも可能だと思います」

「移住した人たちとの交流もあり、新たな人脈作りもできるので、心配はないと思います。『案ずるより産むが易し』。ぜひ思い切って検討してみてはいかがでしょうか」

下鳥さんの奥様と子どもたち。家族みんなで心身ともにゆとりある生活を送る

まとめ

家族ぐるみでの「移住」というと、就職、収入、子育て環境など高いハードルがいくつもあるように感じられるかもしれませんが、下鳥さんのケースのように、地方での生活コストや時間のゆとりを生かしてより充実した暮らしを実現することも可能です。

もちろん、本記事の内容はあくまでも個人が感じた移住に対する感覚ではありますが、迷っている方は参考にしてみてはいかがでしょうか?

(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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