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総務省の「田園回帰」に関する調査研究会が昨年発表したデータによると、都市部から過疎地への移住者は、20~30代が45%と大きな割合を占めています。移住の理由は、「気候や自然環境に恵まれたところで暮らしたいと思ったから」47.4%、「それまでの働き方や暮らし方を変えたかったから」30.3%、「都会の喧騒を離れて静かなところで暮らしたかったから」27.4%という結果が出ています。一方で、国勢調査の結果、移住者数は2000年の40万人から2015年は25万人と減少傾向にあります。そこで、いま全国の自治体が力を入れているのが、おためし住宅と空き家情報の提供サービスです。

2019年7月1日におためし住宅「もてぎ暮らし館」をオープンさせ、モニターツアーを募集している栃木県茂木町に行って、移住者支援サービスについてリサーチしてきました。

棚田のオーナーイベントで自然を満喫する子どもたち
SLが走るローカル線として人気の高い真岡鐡道。右の写真はSLを模した真岡駅舎

1泊からでも利用可能。気軽に体験できる田舎暮らしを提供

都内から茂木町へは鉄道だと約3時間半かかります。池袋から湘南新宿ラインで小山まで行き、水戸線に乗り換え、下館からSLが走るローカル線・真岡鐡道で茂木まで、ちょっとした鉄道旅行が楽しめました。「ツインリンクもてぎ」があり、鉄道ファンだけでなくモータースポーツファンにとっても認知度の高い茂木町ですが、いま町が力を入れているのは移住者支援サービスです。具体的にどのようなサービスを提供しているのか、茂木町企画課企画係の佐藤雅美さんにお話を聞きました。

駅から徒歩15分ほどの茂木町役場。茂木小学校や茂木高校もすぐそばにあります

「茂木町がおためし住宅を整備したのは、町内の方から空き家のご提供があったのがきっかけです。7月1日にオープンして以来、この夏はお盆の時期を除いてほぼ予約でいっぱいです。ご家族での申し込みが多く、最長で11連泊する方もいらっしゃいます。滞在中は、町内の空き家や教育施設などを案内し、移住を検討してもらう第一歩として活用いただきたいと思っています」(佐藤さん)

茂木町がおためし住宅サービスを始めるのに際して参考にしたのは、栃木市だといいます。栃木市は、「田舎暮らしの本」(宝島社)という雑誌の「住みたい田舎ベストランキング」で北関東エリアの総合1位を獲得しています。

「栃木県内には、移住体験施設がある自治体が14市町村ありますが、多くは利用期間が1ヶ月程度となっています。本町では、全国的でも有数の移住先進地である栃木市が1泊からおためし住宅サービスを提供していることを参考に、茂木町も1泊から気軽に利用できるようにしました」(佐藤さん)

今年7月1日にオープンした、おためし住宅「もてぎ暮らし館」。1LDK、53.83平方メートル。紹介しているのは茂木町のマスコットキャラクター“ゆずも”
「もてぎ暮らし館」は木造平屋建て。

利用料は1~15泊で1泊2,000円、16~30泊で3万円。テレビ、炊飯器、電子レンジ、電気ポット、掃除機、洗濯機などの生活家電、冷暖房、Wi-Fiなどの環境が整っています(ただし、寝具のレンタルや食費・交通費・消耗品などは自己負担)。町役場のサイトや下野新聞や真岡新聞といった地元紙、県内の子育て情報誌「クルール」のほか、ミキハウス子育て総研の情報誌「ハッピーノート」でも紹介され、少しずつ認知度が高まっているそうです。

空き家情報バンクの相談件数は県内トップ!

茂木町では、おためし住宅サービスに先立ちウェブで空き家情報を提供する「空き家情報バンク」をスタートさせています。2015年のサービス開始以来、登録者数は296件にのぼり、2017年度の相談件数は県内トップだったそうです。

「2018年度までの契約件数は42件。すべてが移住者というわけではなく、別荘として利用している人や二地域居住の人もいらっしゃいます。移住されたご家族は、必ず地域の代表者にご紹介し、地域に溶け込むお手伝いもしています」(佐藤さん)

このサービスの一番のメリットは、子育て世帯の場合、リフォーム費用の2分の1、最大で100万円まで助成してもらえる点にあります。実費100万円で、200万円分のリフォームが可能なのです。

空き家情報バンクのサイト。会員登録すると空き家物件の詳細情報が入手できます

町が造成した分譲地は坪2万円! 各種支援制度・助成制度なども充実

さらに、町では宅地を造成し分譲販売も行っています。「ツインリンクもてぎ」と茂木駅の中間に位置する馬門(まかど)団地の分譲価格は坪単価2万円台。62坪の分譲地が183万円で、146坪でも300万円で購入できます。さらに、固定資産税を補助する(最大10万円を3年間)制度も利用できます。

茂木駅から徒歩約5分の「もてぎ暮らしサポートセンター」

2017年4月には、「もてぎ暮らしサポートセンター」を本格スタート。そのサービス内容は、子育て支援、英語学習支援、賃貸住宅家賃補助、起業・創業支援、仕事探し支援など、きめ細やかでほかの地域に比べても充実しています。

出産準備手当3万円、出産育児一時金42万円、不妊治療費年間最大15万円(男性は年間最大10万円を上乗せ)、第2子から保育料無料、紙おむつ購入助成券最大1万2,000円分、チャイルドシート購入費補助最大1万円など、茂木町では子育て世代を支援する制度が豊富にあります。保育園・認定こども園の待機児童はゼロですし、町内の全小学校に学童保育を完備、中学校修了までの医療費も助成子育て世代の家賃補助は月額最大2万円など、手厚い行政サービスの良さを実感されている町民の方は多いと思いますよ」(佐藤さん)

おためし住宅をはじめ町内の施設は町有林の木材を活用

茂木町に行ってみて、驚いたのは町の施設の充実ぶりです。

300年の歴史を持つ蔵元の跡地に建てられた、町の複合施設「ふみの森もてぎ」は、3年前に完成したばかり。船底のように見える図書館の天井トラスは長さ16.2m。町有林の木材をふんだんに活用し、仕込み蔵や土蔵を組み入れた美しい内装は、建築雑誌でも紹介されたことがあるといいます。

「ここは、図書館、歴史資料展示室、町民ギャラリー、カフェ、交流広場などを併設している複合施設で、図書館の受付カウンター横の棚にはランドセル置き場もあります。靴を脱いで上がれる子どもスペースや学習スペースなどもあるため、放課後はたくさんの子どもたちが集まってきます。夏休みには、高校生が小学生の夏休みの宿題をみてくれるなど、保護者の方々からの評判も良いんですよ」(佐藤さん)

木の香りが漂う清涼な空間が広がる図書館内部
図書館1階にあるゆずもんち(こども図書館)。靴を脱いで床に座って絵本を楽しむことができます
「ふみの森もてぎ」の2階にある交流広場あすなろ。大きな声を出して遊ぶことができるほか、子ども服などの交換会「とりかえっこ」や「あかちゃん楽校」など親子イベントも頻繁に開催

図書館だけではありません。おためし住宅の内装にも、茂木町産の木材が使われているほか、町内の学校にもできるだけ木材を使用するようにしているといいます。中でも圧巻なのは、茂木中学校。校内に大きな大黒柱が並び、教室の机や椅子まで木のぬくもりにあふれる贅沢な内装となっているのです。

太い大黒柱が並ぶ茂木中学校の廊下
壁や床だけでなく、机や椅子まで茂木町産の木材を使用

ウェルカムファミリーの自治体に認定。茂木町の魅力とは

「茂木町は昨年、ミキハウス子育て総研が認定する“ウェルカムファミリーの自治体”に、全国で4番目に認定されました。栃木県内では初の認定となります。子どもたちは、鮭の稚魚の放流や農業体験などから自然を学んだり、英語の宿泊学習をしたりと、いろいろな体験を通して成長して行きます。また、町役場の職員と町民の距離が近いことに驚かれる移住者もいらっしゃいますが、小さな町だからこそ顔の見えるコミュニケーションがとれるのだと思っています」(佐藤さん)

自然豊かな茂木町の魅力は数多くありますが、「道の駅もてぎ」は、道-1グランプリで3年連続1位となった「ゆず塩ら~めん」が評判を呼んでいるほか、地元産にこだわったジャムやドレッシングなどの物品販売、バウムクーヘンショップなどが並び、朝から行列ができるほど人気があります。「ツインリンクもてぎ」に昨春オープンした体験型アトラクション「森感覚(しんかんかく)アスレチックDOKIDOKI」も人気が高く、毎週やってくる親子連れも多いそう。町内を流れる那珂川は、「やな」やカヌーなど川遊びのメッカでもあります。

ボルダリングや木登り、吊り橋など39のアスレチックが楽しめる「森感覚アスレチックDOKIDOKI」

また、田舎暮らしというと子どもの学校が気になるところですが、茂木町には小学校4校(約500人)、中学校1校(約300人)、高校1校(約480人)があり、特に高校は進学型総合学科が県内トップクラスの学力を誇るため、町外から通ってくる生徒も多いといいます。ほかの自治体同様、高齢化が進んでいるとのことでしたが、子どもが寂しい思いをするほど少子化が進んでいるわけではないようです。実際に、真岡鐡道では夏休み中にもかかわらず、真っ黒に日焼けした制服姿の学生を数多く見かけました。自然の中でのびのびと子育てをしつつ、将来の進学にも備えることができる環境といえそうです。

茂木町は車なら宇都宮からバイパスで1時間、都内からでも2時間ほどで到着します。田舎暮らしに憧れている人、移住を考えている人は、ぜひ一度足を運んでみてください。

毎週土日・祝日に運行されている真岡鐡道の「SLもおか」
(最終更新日:2019.10.05)

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