補助金助成などメリット大! 「地域材」を使った家作りの利点とは

「地域材」という言葉、耳にしたことがある方もいるかもしれません。地域材とは「地域の森林から産出された木材を加工または製品化したもの」のこと。近ごろでは、住宅や公共の建築物に使われることが増えてきています。

地域材を使った家づくりには、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。身近にある、地域材を使った建築物と合わせて、紹介いたします。

地域材を家づくりに使うメリット

地域材を使った住宅には、いくつか利点があります

そもそも、地域材を家づくりに使うメリットにはどんな点があるのでしょうか。

メリット【1】補助金・助成金が交付される

地域材を使って木造住宅を新築または増改築する際、条件を満たすと自治体から補助金・助成金が出ることがあります。

例えば岡山県津山市では、市内に一戸建て木造住宅を新築する際、地域産乾燥材を10立方メートル以上使用し、その他の決められた条件を満たした場合に最大で80万円の補助金が交付されます。

福岡県では、木造住宅を新築・購入する際に地域材を70%以上使用し、その他条件を満たしていれば、最大で65万円の助成金が、石川県では地域材を7立方メートル以上使用し、その他条件を満たしていれば最大50万円の助成金が受けられます。

国土交通省が実施する「地域型住宅グリーン化事業」においても、地域材の使用に関する条件を満たした場合に補助金が上乗せされます。

また、補助金とは異なりますが、地域材を使用して住宅を建築する人に、地域材を使った柱や土台・内装材をプレゼントしている民間団体も。

注意しなければならないのは、補助金・助成金の有無が自治体によって異なること。そして補助金・助成金が出る場合でも、その条件も自治体で異なることです。

また、家を新築・増改築する人に対してではなく、施工事業者へ交付される補助金・助成金もありますので、あらかじめ自治体のホームページ等でご確認いただくことをおすすめします。

メリット【2】地域の林業と地域経済が潤う

地域材を使った木造住宅の建築は、地域経済の潤いにつながります。

地域材を使用し、間伐事業の資金を生み出すことができれば、木々の過密状態を回避することができ、豊かな森林を育むことが可能となります。

そうして林業が潤うことで、関連する工務店・建築会社なども活性化し、結果として地域経済が発展します。

メリット【3】地元の環境に合っている

地域材で作られた住宅は、地元の環境に合っており、長持ちするといわれています。なぜなら、地域材は地元の気候、環境に適応しながら育っているからです。

メリット【4】地球温暖化防止

地域材を使って住宅を作る場合、地域で産出された木材を地域内で使用することとなり、木材の輸送距離は短くて済みます。したがって、トラックなどの二酸化炭素の排出量も少なくなり、地球温暖化防止につながります。

木造住宅に住むメリット

木造だからこそのメリットも

そもそも、木造住宅に住むメリットにはどういったものがあるのでしょうか。改めて考えてみましょう。

メリット【1】建築費用が安く済む

建築費用の安さは、木造住宅の最大のメリットといえるでしょう。

鉄筋コンクリートに比べて、木材は比較的安価です。また、木造住宅は大がかりな基礎工事や特殊な工法も不要ですので、工期が短く済み、結果として建築コストを抑えることができます。

メリット【2】デザインの自由度が高い

デザインの自由度が高いことも、木造住宅のメリットのひとつです。

木造住宅は基礎と土台がしっかりとしていれば、そのほかの部分の自由度は比較的高いといえます。

間取りやデザインを設計する際の制約が少ないため、自分好みの理想の家を作ることが可能に。もちろん、このメリットは新築時だけでなく、リフォームや増改築時も同様です。家族が増えたときなどに、柔軟に対応ができます。

メリット【3】調湿効果がある

木材は、周囲の湿度が高いときに空気中の水分を吸収し、湿度が低く空気が乾燥しているときには逆に水分を放出するという「調湿効果」を持っています。

したがって、木造住宅は部屋の湿度の変化が比較的小さく、結露やカビの発生も抑えられるため、快適に過ごせるでしょう。

地域材を使った家づくりは、これら3点のメリットに加え、地域材独自のメリットも生かせます。

地域材を使った事例

意外なところにも地域材が使われています

地域材は住宅以外にも、公共建築物に多く使われています。そこで、公共建築物に地域材を使った事例をいくつかを紹介いたします。

事例【1】鉄道駅

東京の五反田駅と蒲田駅を結ぶ、東急池上線の戸越銀座駅および旗の台駅では、ホーム屋根等に東京・多摩地域で生産された「多摩産材」が使用されています。

また、大分県の北西部に位置する日田市の中心駅・日田駅の天井やフローリングには地元産の「日田杉」が多く使われており、駅舎には杉の香りが漂っています。

千葉県銚子市の銚子駅や宮崎県日向市の日向市駅にも地元産の杉がふんだんに使われています。

事例【2】空港

北海道函館市の函館空港にある多目的ホール「Hako Dake HaLL」では道南杉をはじめとした地域材が多く使われています。温かみや柔らかさのある空間として地元では高評価。

熊本県益城町の熊本空港 (阿蘇くまもと空港)には地元産の小国杉が、秋田県秋田市の秋田空港には秋田杉が、それぞれ使われています。

事例【3】図書館

埼玉県飯能市にある飯能市立図書館は、西川材と呼ばれる飯能の地域材を多く使用。木造と鉄骨造のハイブリッド構造となっているこの飯能市立図書館は、平成25年度木材利用優良施設コンクールにおいて、林野庁長官賞を受賞するなど、高く評価されています。

また、宮城県の大崎市図書館 、岩手県一関市の花泉図書館にも地域材が使用されています。

まとめ

地域材を使った住宅や公共建築物の建築は、いってみれば「木材の地産地消」といえるでしょう。補助金・助成金の交付や二酸化炭素の削減といったメリットも多く、これから家を建てるという方、リフォームや増改築を検討されている方は選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2019.10.05)
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