鑑賞と収穫で“二度おいしい” 野菜と草花を楽しむ「ポタジェ・ガーデン」

野菜畑を取り囲むように咲く色鮮やかな草花。一見相反するかのような野菜と草花のコラボが「ポタジェ・ガーデン」です。ポタジェとは、庭の美しさと菜園の収穫を兼ねた庭のことで、野菜や果樹、草花、ハーブなどを混ぜて植えていることが特徴です。庭がなくてもベランダのプランターでも挑戦できるとあって、食に安全性を求める人からも注目されています。見るだけでなく食べる楽しみもある「ポタジェ・ガーデン」。初心者でも楽しめる育て方のコツをガーデンプランナー、ガーデニング教室の講師として活躍中の「ガーデンショップ花崎」の花崎かおりさんに教えてもらいました。

大注目ガーデニング「ポタジェ・ガーデン」の歴史とは?

「ポタジェ・ガーデン」の歴史は古く発祥は5~6世紀のイタリアの修道院ともいわれています。「ポタジェ」の語源は「ポタージュ」で、スープに入れられる食材を栽培したことが始まりだそうです。世界中から多くの果実や野菜がヨーロッパに入ってくると、人々は次第に実用だけでなく見た目の美しさも重要視するようになり、城主の庭などに現在の「ポタジェ・ガーデン」の原型ともいえるスタイルが生まれ、今に至っているとされています。

現在ではフランス、イギリスを中心に広く世界中でさまざまな形式の「ポタジェ・ガーデン」を見ることができます。一般的に収穫に重きを置いたイギリスに対して、より装飾的で観賞性の高いのがフランスの「ポタジェ・ガーデン」の特徴です。そのため、菜園であっても、配色のバランスに留意したり、草丈で高低差をつけ立体感を演出したりするなど、多彩なアレンジにより、見て楽しめる工夫が施されています。最近では、食物の安全性への関心が高まり、有機栽培や無農薬栽培が注目を浴びていることから、日本でも取り入れるガーデナーが増えてきました。

気軽に楽しめるのが魅力

庭の一角を「ポタジェ・ガーデン」にするのもいいですし、庭がない場合でもベランダでプランターを使って楽しむこともできます。植物の組み合わせに特に決まりはないので、草花、野菜、ハーブなど好みの苗を選びましょう。

鉢やプランターに寄せ植えをする際には背の高いもの、中ぐらいのもの、低いものと高低差をつけると見栄えがよく仕上がります。初心者は直径30センチメートル程度の鉢に3~5種類程度がおすすめです。野菜はカラーピーマンやミニトマトなどカラフルな実のなるものを選ぶと、彩りも豊かでかわいらしく仕上がるでしょう。

カラーピーマン、イチゴ、ニーレンベルギアを一緒に植えておしゃれにアレンジ

上手に育てるためのポイント

「ポタジェ・ガーデン」を作るにあたり、庭・プランターに関わらず大切なのが土の品質です。あまりに安価なものは避け、専門店で専用の土を購入するのがおすすめです。ホームセンターなどで土の種類が多すぎてどれを購入すればよいか迷った時には、お店のスタッフに確認すると安心です。野菜や果物は害虫がつく可能性もあるため、その際の対処法も聞いておくとよいでしょう。
また、「ポタジェ・ガーデン」にはさまざまな野菜が植えられますが、ベランダの鉢やプランターで育てる場合には、キュウリやゴーヤなどツルが伸び、背は高くなりすぎるものは避けるようにします。ベランダ栽培向けに背が高くなりすぎないよう品種改良されたベランダトマト、ベランダナスなどがおすすめです。冬はブロッコリー、カリフラワー、大根、カブなども育てられます。

深めの鉢ならブルーベリーも育てられます
背が高くなりすぎないベランダナス

ポタジェ・ガーデンのメリット

庭のスペースに限りがあるなかで、華やかな草花と野菜をどちらも楽しめるだけでなく、ベランダの鉢やプランターなどでも栽培できるのが魅力。子どもがいる家庭では野菜の成長を見ることができ、食育にもつながるといわれています。家族で一緒に育てた野菜やハーブを使って一緒に料理を作り、食の大切さや新鮮な野菜のおいしさなども実感することができるため、子育て世代におすすめです。

収穫の楽しみがあるのもポタジェ・ガーデンの魅力
実った野菜はアレンジメントにして室内で楽しむこともできます
サラダなどに使う葉もの野菜を植えても便利

まとめ

最初は小さな鉢の寄せ植えからスタートし、慣れてきたら大きめのプランターなどで四季折々の草花や野菜を育てられるおしゃれな「ポタジェ・ガーデン」。家庭菜園の進化したスタイルとして、徐々に日本でも注目を集めています。華やかな草花に癒され、野菜の収穫も楽しめる「ポタジェ・ガーデン」作りに挑戦してみてください。

<取材協力>
花崎かおり(はなさきかおり)さん
「フラワーガーデン花崎」にてガーデンデザインの提案をはじめ、ワンランク上の寄せ植え、多肉植物の寄せ植教室、クラフト教室などを店舗及びカルチャースクール等で開催。ヒーリングガーデン、苔テラリウムなどの講師も務めている。
https://www.facebook.com/flowergarden.hanazaki/
https://www.facebook.com/fukurouga.den

(最終更新日:2019.10.05)
~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア