【解説】”長期優良”や”低炭素”など、エコで高品質な住宅に適用される優遇制度とは

長期優良住宅や低炭素住宅などの“長持ちするエコな高品質な住宅”を取得すると、税制などの措置を受けることができます。長期優良住宅や低炭素住宅とはどんな住宅なのか、また、どのような優遇制度が設けられているのかを見てみましょう。

長期優良住宅の認定数は、2018年度に100万戸を突破!

2009年6月に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されて以降、長期優良住宅と認定された住宅の数は着実に増え、2018年度には新築の認定数が100万戸を突破しました。

長期優良住宅認定実績(戸) ※国土交通省 資料

長期優良住宅は、構造や設備が長期にわたって良好な状態で使用できる優良な住宅のことで、建築と維持保全の計画が一定の基準に適している場合に認定を受けることができます。

わが国はかねてより「造っては壊す」という住宅政策でしたが、人口減少時代を迎え、増え続けた空き家の数は820万戸、空き家率は13.5%(2013年)にも上っています。住宅を取り巻く環境の変化を背景に、長期優良住宅の制度は「いいものを造て、きちんと手入れをして長く大切に使う」社会への転換を目的につくられました。今では、新築される一戸建て住宅の約4戸に1戸が長期優良住宅の認定を取得しています。

長期優良住宅は厳しい認定基準を満たす必要がある!

長期優良住宅と認定されるためには、厳しい基準を満たす必要があります。新築の一戸建て住宅/共同住宅等、増改築の一戸建て/共同住宅等によって、それぞれ細かい基準が定められていますが、概要は以下の通りです。

長期優良住宅認定基準

認定を受けるためには、上記の基準をすべて満たす措置を講じ、所管行政庁に申請する必要があります。また、工事が完了すると維持保全計画に基づく点検などが求められます。

低炭素住宅は、2012年度から認定がスタート

エネルギー利用や地球温暖化問題に対する意識が高まる中、「都市の低炭素化の促進に関する法律」が制定され、2012年12月に施行されました。この法律で定める低炭素建築物とは、建築物における生活や活動に伴って発生する二酸化炭素を抑制する措置が講じられている市街化区域内等に建築される建築物です。

2017年度までの住宅の認定戸数は以下の通りです。

低炭素住宅認定実績(戸)

低炭素住宅の認定を取得するには、外皮(建物の断熱材やサッシが入っている部分)の熱性能と一次エネルギー消費量が一定の基準値を満たし、かつ、節水対策、エネルギーマネジメント、ヒートアイランド対策、建築物(躯体)の低炭素化などに関する項目のうち、一定以上に該当する必要があり、基準の詳細は具体的に定められています。

長期優良住宅・低炭素住宅の主な優遇制度は?

長期優良住宅や低炭素住宅と所管行政庁に認定された場合、さまざまな優遇を受けることができます。

新築住宅の主な優遇制度は以下の通りです。

※住宅ローン減税と投資型減税の併用は不可

まとめ

長期優良住宅や低炭素住宅は、その他の一般住宅と比較すると、建築時や増改築時に費用がかかります。しかし、さまざまな優遇制度によって負担増を抑制することができます。また、生活する上でかかる光熱費等の削減にもつながることが期待できるでしょう。品質が確保されていることによって、次世代に安心して引き継ぐこともでき、万が一処分する場合でも比較的高く売却できる可能性があります。マイホームの取得を検討する場合には、これらの住宅も選択肢に含めて検討してはいかがでしょうか。

(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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