電車で見かける「弱冷房車」。他の車両に比べて冷房が抑えられていることは何となく分かっても、設定温度を知っている、という方は案外少ないのではないでしょうか。そこで、「弱冷房車」の設定温度や誕生した経緯、電車内の空調管理について説明いたします。

弱冷房車とは

普段利用している人も少なくない「弱冷房車」

公共交通機関(特に鉄道)において、冷房の設定温度を他の車両より上げた車両を「弱冷房車」と呼びます。「弱冷房車」は、日本や韓国、中国など一部の国への導入にとどまっています。

世界各国で普及しない理由としては、多くの国の交通機関では冷房車の運賃設定が一般車より高く設定されているため、乗客が高い運賃を支払っている以上は冷房がしっかりと効いている必要があると考えられていることが挙げられます。

ちなみに、関西圏では一部の鉄道会社を除き「弱冷房車」を「弱冷車(じゃくれいしゃ)」と表記しています。

各鉄道会社における弱冷房車の温度

弱冷房車の設定温度は鉄道会社により異なります。首都圏の主な私鉄 を例に挙げますと、以下の通りです。

弱冷車は28度に設定されていることが多いのが分かります

弱冷房車の設定温度はおおむね28度となっており、他の車両の設定温度に比べると+2度となっていることが多いようです。

弱冷房車の両数と車両の位置

鉄道会社によっても弱冷房車の両数や位置は異なります

それでは、この「弱冷房車」が何両含まれているのか、また車両の位置は決まっているのか、ということについて説明いたします。

弱冷房車の両数

弱冷房車が設定されている編成においては、1編成につき弱冷房車は1両または2両です。JR東日本の常磐線快速や湘南新宿ラインといった、10両を超える長い編成の場合に弱冷房車が2両となるケースがあります。

ただし、編成の長さと弱冷房車の設定に関連性はないよう。東急多摩川線・池上線といった3両編成の路線には弱冷房車が設定されていますが、小田急電鉄の4両編成の列車には弱冷房車の設定はありません。

弱冷房車の位置

弱冷房車の位置は、鉄道会社により異なります。例えば5両編成の京王井の頭線は、先頭から3両目の3号車、つまり中央の車両が弱冷房車となっています。東急東横線は横浜寄りから2両目の車両(8両編成の場合は7号車、10両編成の場合は9号車)が弱冷房車です。

弱冷房車はおおむね、端から2両目、3両目の設定が多いようですが、福岡県の西日本鉄道・天神大牟田線の一部編成のように、下りの先頭車両が弱冷房車となっているケースもあります。 

弱冷房車が誕生した経緯

日本で「冷房車」が誕生したのは1936年(昭和11年)。大阪府に本社を置く南海電鉄 によって作られました。その後、1968年(昭和43年)には、京王電鉄が首都圏で初めて冷房付き通勤電車を導入。

国鉄(現在のJR)やその他の私鉄も追随し、その後、約20年で大手私鉄はほとんどの路線が冷房化 。国鉄(JR )の冷房化率も大幅にアップしました。

しかし、鉄道の冷房化が進むにつれ、乗客の間からは「寒い」という声が上がり始めます。そこで誕生したのが「弱冷房車」。

1984年(昭和59年)に京阪電気鉄道が導入したのが始まりです。以降、他地域の鉄道会社においても弱冷房車の導入が進み、現在は茨城県 以西の主要な鉄道会社が導入しています。

夏場に薄着となることが多い女性客を中心に「冷房が効きすぎていて寒い」という要望が多かったことから、各社とも弱冷房車の導入がスムーズに進みました。

冬はどうなる!? 弱冷房車

ところで、気温が下がる冬の間、弱冷房車はどのようになっているのでしょう。冬季期間は車内に暖房が入るため「弱暖房車」となるのでしょうか。

車内に暖房が入る場合

外気温が低く、車内に暖房が入る場合、「弱冷房車」は他の車両と同じ温度に設定されます。従って、「弱冷房車」は「弱暖房車」とはなりません。ちなみに、「弱暖房車」が存在しない理由は、衣類などでの調整が容易であることによるもの。暖房の感じ方は、冷房ほど個人差がないようです。

車内に冷房が入る場合

夏季期間以外に、外気温や混雑の具合により冷房を使用する場合があります。その際は「弱冷房車」はそのまま「弱冷房」となるようです。

電車内の空調管理

車内の空調は自動調整されるほか、手動で操作されることも

それでは、電車内の空調管理はどのように行っているのでしょうか。温度の自動調整機能が備わっていない車両に関しては、あらかじめ車内の温度を設定したうえで、乗務員が時間帯や車内の混雑度、車内の温度を元に適宜調整します。

車内の温度を自動調整する機能がついている車両の場合は、車内の混雑度や温度を元に、自動的に設定温度に合わせられます。この場合でも、外気温や車両の混み具合により、乗務員が手動で操作することも。

まとめ

弱冷房車の温度はおおむね28度と、他の車両に比べ2度高く設定されています。大手の鉄道会社を中心に導入されている列車が多く、冷え性気味の方にとってはありがたい存在です。

季節や時間帯、車内の混雑度によっては通常の車両が寒く感じることもありますので、すぐに弱冷房車へ移動できるよう、ふだんお使いの路線の弱冷房車の位置を把握しておくことをお勧めします。

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