冷房代を少しでも抑えるには? 夏のエアコンの電気代を節約する方法

じめじめした梅雨が明けて、ようやく本格的な夏がスタート。気温の上昇に比例して、アップしてしまうのが毎月の電気代ですよね。毎日エアコンを使っていると、請求額を見て「こんなに高いの?」と驚愕することも…。少しでも電気代を抑えるためにはどうすればいいのでしょうか。

今回は家事アドバイザーである矢野きくのさんにインタビュー。「夏のエアコン事情」や「電気代をお得にするための工夫」について、とっておきの秘訣を教えてもらいました。

  • エアコンの“つけっぱなし”は、本当にお得なの?

エアコン代の節約法にはさまざまな意見があって悩むもの

―「エアコンはつけっぱなしにした方がいい」「こまめにオンオフするべき」など、エアコンの節約法がSNSなどで話題になりますが、明確な答えが出ない印象です。結局のところ、何が正解なのでしょうか?

矢野さん:正直なところ、これに関してはどちらが正解とは言えません。数年前、「エアコンをつけっぱなしにしたら、電気代が安くなった」というSNS投稿が話題になりましたが…。前年度の電気代や使用時間、外気温との差など、状況や条件によって変わるので、「冷房をつけっぱなし=お得」とは断言できないんです。

―では、エアコン使用時にどんな工夫をすれば節約につながるのでしょうか?

矢野さん:電気代の節約を考えるのであれば、まずエアコンの風量設定を見直してみることが重要です。弱風設定にしている方も多いかと思いますが、風量は「自動」にしておくのが実は1番良いんですよ。自動に設定しておくことで、部屋の温度などから最適な風量を計算し、リモコン操作では選べない“弱風よりもさらに弱い微風”を出してくれます。実際に、エアコンメーカーも「風量を『自動』にしておくことが1番節約になる」という見解を発表しているんです。

  • 基本のキ! エアコンの正しい使い方

「除湿」と「冷房」、どちらが節約になる?

―冷房よりも除湿を使った方が、電気代を安く抑えられるイメージもあります。実際はどうなのでしょうか。

たしかに、15~20年以上前には「冷房よりも除湿のほうが電気代を抑えられる」と言われていました。しかし、現在発売されているエアコンのほとんどは除湿を選択したときに、部屋の温度を下げずに湿度のみを下げる機能が備わっています。つまり、せっかく冷房で下げた部屋の温度を再度上げるため、余計に電気代がかかってしまうんです。かなり古いタイプのエアコンを使用している人以外は、除湿ではなく冷房を使用した方がお得です。

―では、どんなときに冷房と除湿を使い分ければ良いのでしょうか。 

シンプルに、「暑いと感じるときは冷房」「湿度が高いと感じるときは除湿」と考えるのが1番良いかと思います。気温が低い、冬の雨の日などは、除湿を選択して湿度のみ調節すると快適に過ごせます。また、部屋のフローリングがじっとりしている場合にも除湿を使うのがおすすめです。

夏の電気代を節約する秘訣

エアコンの節約は、「3つのポイント」を押さえましょう

―夏場のエアコンの平均的な電気代を教えてください

年間の電気代のうち、エアコンが占める平均的な割合は7.4%です。しかし、夏場の電気代(北海道を除く)に限定すると、エアコンが占める割合は約60%になります。自宅のエアコンの電気代が平均的であるか確認したい場合は、「使用しているエアコンの1時間当たり電気代×月間の使用時間」でエアコンの電気代を計算して、月間の電気代の何%を占めているのかチェックしてみてくださいね。

(例)
Aさん宅 夏場の電気代6,500円
1時間当たり21~22円のエアコンを、1日6時間使用
21(円)×6(時間)×30(日)=約3,780円/1ヶ月
→6,500円の電気代のうちエアコンが占める割合は約58%なので、平均的といえます

―最新式のエアコンは1時間当たりの電気代が安い反面、販売価格が高くなります。ズバリ、買い換えるほうがお得なのでしょうか?

エアコン買い換え前にチェックしていただきたいのが、環境省の「しんきゅうさん」というサイト。「現在使用しているエアコンの型番」「購入予定のエアコンの型番」「部屋の広さ」を入力すると、年間電気代の差を計算してくれます。その金額差を参考に、どのくらい使用したら、製品代金の“もと”が取れるのかを考えてみましょう!

たとえば、夜寝る前の1~2時間しか使用しない人は、長い年月使用しないとエアコンの本体代をカバーできません。一方、自宅で仕事や家事をする人で毎日数時間使用する場合は、電気代の安い製品に買い換えたほうがお得な可能性もあります。大きな買い物になるので、買い換え前にじっくり考えてみてくださいね。

―節約につながる最適な設定温度はありますか?

やはり設定温度となると、推奨されている「28度」が最適と考えます。ただ、部屋にいる人数や湿度、気流などによっても体感温度はずいぶん変わります。あくまで設定温度として「28度」が最適であると捉えたうえで、快適に過ごせる温度を総合的に判断することが重要です。

―エアコン利用時に実践できる、節電・節約に役立つポイントを教えてください

【ポイント1.フィルター掃除】

まず、絶対にしてもらいたいのが「フィルター掃除」。フィルターにほこりなどの汚れがたまっている状態では、部屋を冷やすまでに余計な電力が必要になってしまいます。実は、意外とフィルター掃除を十分できている家庭って少ないんです…。2週間に1回のペースでエアコンのフィルター清掃を行うのがベストでしょう。

【ポイント2.室外機の設置状況を見直す】

見落としがちですが、室外機の設置状況も大事なポイントです。「室外機に直射日光が当たっていないか」「室外機の前に物が置かれていないか」の2点を確認しましょう。マンションにお住まいの人で室外機を移動させられない場合でも、よしずや室外機用日よけを利用することで直射日光を遮ることができますよ。

【ポイント3.扇風機やサーキュレーターの併用】

部屋に複数人いる場合や、間取りの関係でエアコンと人との距離が遠い場合は、扇風機やサーキュレーターの力を利用して冷房の空気を飛ばしてあげるのも効果的。冷たい空気を循環させることで、効率的に部屋を冷やします。「エアコンと人との距離」をチェックして、エアコンから出る冷気が届かない場合には併用してみましょう。

まとめ

エアコンの電気代を抑えるためには、ほんの少しの工夫が重要! こまめなフィルター掃除など、できるところから始めてみましょう。今年の夏は、プロ直伝の秘策を参考に “節約への第一歩”を踏み出してくださいね。

<取材協力>
家事アドバイザー 矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にテレビ、雑誌、講演などで活動。時短家事、100円グッズ、便利グッズ、業務用食品の情報にも精通し、生活用品や便利グッズの企画にも携わる。Honda、イオン、東芝など大手企業や日経新聞電子版、共同通信などでの連載実績も多数。

(最終更新日:2020.07.09)
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