令和時代の賢いレンタルサービスの活用とは?~Rentio創業者 三輪謙二朗さんに聞く~

物や場所、サービスなど、あらゆる物事を共有する「シェアリングエコノミー型サービス」が注目を集める中、家電を買わずに借りて利用する人も増えているようです。

たまにしか使わない一眼レフカメラやビデオカメラ、購入前に試してみたい最新式のロボット掃除機など、カメラや家電をネットで簡単にレンタルできるサービス「Rentio」を運営する三輪謙二朗さんにお話を伺いました。

レンタルサービスを通じ、ユーザーに<本当にいいもの>を届けたい


ライター 斎藤

「三輪さんは、新卒で楽天株式会社に入社、その後家電通販サイトでの勤務を経て現職に就かれています。起業しようと思ったきっかけは何ですか?」


Rentio 三輪さん

「家電通販サイトのコンサルティングをする中で、家電業界の構造に違和感を感じたことがきっかけです。家電量販店とメーカーの力関係が必ずしも対等とは言えず、結果として、ユーザーにとって<本当にいいもの>を届けづらい状況があります。また、高額な家電製品を購入する前に『レンタルして試したい』という要望も耳にし、ニーズを感じていました。

決め手となったのは、友人の結婚式での出来事ですね。お笑い芸人のたむらけんじさんのコスプレをすることになり、トレードマークである獅子舞を用意することに。調べたところ、獅子舞をレンタルするサービスがあり驚きました。購入する必要はなくとも、レンタル需要の高いものは意外と多いのではないかと感じた瞬間でもありました」

 


ライター 斎藤

「起業することに不安はありませんでしたか?」


Rentio 三輪さん

「妻子がいるため全く不安がなかったと言えば嘘になりますが、家族の理解があり踏み切ることができました。プライベートでは、子どもの誕生を機に一眼レフカメラを購入したのですが、生まれてすぐの頃しか使わず。歩き始めるようになると、スマートフォンのカメラ機能やコンパクトデジカメを使うようになりました。そうした自身の経験を通じ、レンタル需要への確信を深めていきました

起業直前には、家電メーカーの関係者にレンタルサービスの需要についてヒアリングしてみましたが『家電は自動車や時計などと同様、所有欲が強いものだから、レンタルの需要は少ないのではないか』という反応が大半。一方、20歳前後のアルバイトスタッフはほとんどの人が共感してくれました。若い層からの反応が良いということは、需要があるはずだと感じました」


ライター 斎藤

「起業当初から、現在のような事業を展開していたのでしょうか?」


Rentio 三輪さん

「起業当初からレンタル事業を主軸にしたいと考えていましたが、レンタル事業は先に商品を購入する必要があり、初期投資が必要です。当面の資金を確保するため、卸売・小売業と海外販売、レンタルの3本柱で事業を展開していました。

ベンチャーキャピタルから出資を受け資金を調達し、月商が30万円になったタイミングで、レンタル事業に一本化しました」

短期から中長期まで、気になる家電製品やベビー用品をレンタル


ライター 斎藤

「改めて、Rentioの特徴を教えてください」


Rentio 三輪さん

カメラや家電を始めとする製品を、ウェブサイトで簡単な操作をするだけでレンタルできるサービスです。買わずに必要な期間だけ借りることで、『購入するほどではないけれども、レンタルできるなら使いたい』『購入前に試してみたい』といったレンタル需要にお応えしています。

2017年からは、ニーズが大きかったベビーベッドの取り扱いもスタートしました。大型商品は送料が嵩むことがネックでしたが、最低レンタル期間を3ヶ月に設定することで、最低限の利益を確保。サービスの提供に漕ぎつけました」


ライター 斎藤

「ベビーベッドに関連しますが、ベビーカーも乗り換え需要が高いそうですね」


Rentio 三輪さん

「ベビーカーには様々なタイプがあります。お子様が生まれて間もない時期は高機能なA型を、お座りができるようになったら少し軽量なものを、活発に歩くようになると持ち運びしやすいB型を…とニーズは変わっていきます。お子様が成長する度にベビーカーを買い替える訳にもいかず、不便な想いをしている方が多いようです。

Rentioでは、期間に縛られずいつでも乗り換えが可能なレンタルサービス<ベビーカー乗り換え放題パック>をご用意。コンビ株式会社と提携し、何度でも乗り換えができるサービスを提供しています。実際にサービスを開始してみると、機能面だけでなくデザイン性も重視しているお客様が多いことが分かりました。『買うのは怖いけれども、レンタルなら』と、思い切った色遣いのベビーカーをレンタルするお客様が多く、意外な反応でした」


ライター 斎藤

「サブスクリプションサービス(定額制)を導入した理由は何でしょうか?」


Rentio 三輪さん

「当初は短期間のみの設定でしたが、中長期で利用したいというお客様の声に応えた形です。旅行中など短期利用のお客様の方がまだまだ多いですが、月額払いの方が圧倒的にお得です。デジタル一眼レフカメラを中長期で利用して、新しい機種が出ると乗り換えるお客様も多いですね。私たちにとっては想定外の利用方法でした。

また、プロジェクター・スピーカー内蔵のシーリングライトpopIn Aladdinなど高額な商品は、7泊8日~レンタルした後、レンタル後購入が可能です。4割程度のお客様が、購入を決めています。当社で人気のアクションカメラGoProもプラス料金で購入していただくことが可能ですし、ロボット掃除機など一部商品では、1年間借りるとそのまま貰えるサービスもございます」

より良いサービスを提供し、<不幸なミスマッチ>を減らしたい


ライター 斎藤

「Rentioの利用者は当初の反応通り、若い世代が多いのでしょうか」


Rentio 三輪さん

「意外なことに、25~35歳の女性が多いです。 例えば、カメラのレンタル業者にヒアリングをすると、利用者は30~40代の男性が中心で、本格的な一眼レフカメラが人気ですが、Rentioでは“インスタ映え”を意識する方の反響が大きい印象です。GoProをレンタルするのも、若い女性がほとんど。購入しようとすれば5万円ほどかかりますが、レンタルであれば5,000~1万円程度。お客様から『旅行するメンバー全員で1台レンタルし、割り勘でシェアすれば安い』と聞き、そんな活用方法があるのか!と気付かされました。

また、<買ったら使わなくてはいけない>という呪縛から解放される面も大きく、経済合理性を重視する層から支持を集めています」


ライター 斎藤

「投稿されたお客様のレビューもよく読まれているとうかがいました」


Rentio 三輪さん

「先ほどお話しした1年間借りるとそのまま貰えるサービス(もらえるレンタル)など、ここまで紹介してきた様々なサービスの多くが、お客様の声を反映して生まれました。GoProに自撮り棒やSDカードをセットしたのも、お客様からの要望によるものです。『こういうことやったら面白いのに』という声はどんどん拾い、採用しています」

もらえるレンタル」も、お客様の声から生まれたものだそう

ライター 斎藤

「レンタルサービスの普及により、三輪さんはどのような未来を思い描いていますか?」


Rentio 三輪さん

「いきなり商品を購入するのではなく、まずはレンタル。使い勝手を確認してから購入することが当たり前になれば、安かろう悪かろうの商品や、マーケティングばかり上手で中身が伴わない商品が自然と駆逐され、本当にいいものがお客様の手元に届くのではないでしょうか」


ライター 斎藤

「<買う前に、まず試す>というのはユーザーにとって不安も解消しますよね。新たなモノの買い方に可能性を感じます!色々とお話しいただきありがとうございました!」


Rentio 三輪さん

「<購入したい>という選択はもちろん<買わないで良かった>という選択もできることが大切だと思っています。消費者が正しいお金の使い方をできるようになればと願っています。ありがとうございました!」

編集後記

「家電レンタル」のワードでインターネット検索をすると、冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコンといった単身者向けの大物家電レンタルサービスがずらりと並びます。「Rentio」はそれらとは全く異なるサービスで、「買う」か「借りる」かという選択に「試してから買う」という新しい選択肢を提案しています。「Rentio」のようなサービスが今後より普及すれば、自分にとって本当にベストな商品やサービスを選択できますし、手元に置きたいものと、必要な時だけ借りたいものを考えるきっかけにもなるでしょう。それは、お金を賢く使うことにも、毎日をより楽しく快適にすることにも繋がります。そんな大きな可能性を秘めたサービスだと感じました。

<取材協力>レンティオ株式会社

本社所在地:東京都品川区大井4-6-1 サクラビル3F
代表者:三輪謙二朗
事業内容:カメラ、家電製品を中心にレンタル及び販売するイーコマース事業、情報サイトの運営など
URL:https://www.rentio.jp/

(最終更新日:2019.10.05)
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