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ライフラインの一つである水道は、人が生活するにあたりなくてはならないものです。意外に思われるかもしれませんが、同じ都道府県内でも市町村により料金格差があることもあるのです。では、どうしてそういった格差が生まれるのでしょうか? 今回は水道料金の地域差が生じる理由について(公社)日本水道協会に取材しました。

水道料金の格差は最大8倍?

水道料金は需要者の日常生活に直接影響を与える公共料金であることから、料金は公正妥当なものでなければならないと法律で規定されており、適正な水道料金を決定する際には次のような守るべき基本原則があります(地方公営企業法第21条第2項及び水道法第14条第7項より)。

1.水道事業は極めて公共性が高く、実質的には独占的な事業であり、適正な原価に見合った料金水準と使用実態に即した需要者間の公平な原価配分としての料金体系による「公正妥当な料金」であること

2.事業が、経済性を発揮し、「能率的な経営の下での適正な原価を基礎にした料金」であること

3.現存する水道施設を維持するだけでなく、多種多様な水質問題等にも対応できるよう、水道施設の高度化や増強のための原価を含めた「事業の健全な運営を確保することができる料金」であること

このように決定された水道料金は、各事業体によってまちまち。中には引っ越してから「え、こんなに高いの!?」と驚くことも。

ここで、水道料金が最も高いといわれている北海道夕張市と、最も低いといわれている兵庫県赤穂市の水道料金を比較してみましょう。

兵庫県赤穂市…月額853円
北海道夕張市…月額6,841円
(平成30年4月1日現在『水道料金表』の「家事用20㎥当たり最高・最低料金」より)

何と、月額5,988円、約8倍もの差があるのです。

水道料金が設定される仕組み

なぜこのような価格差が生じるのか。まずは水道料金が設定される仕組みから考えてみましょう。

損益収支方式での料金算定のプロセスには、大きく分けて4つの段階が考えられます。

(筆者作成)

ここで注目したいのは“総括原価”。

これには水道水を作るのに必要な費用として水道事業に従事する職員の人件費や、浄水場を稼働させ維持していく動力費、消毒のための薬品費、老朽した管などを更新する費用などが含まれており、これらを原則、水道料金で“回収”できるよう料金を設定します。

水道料金が比較的高い・低いのはどんな地域?

水道事業を経営する上で必要となる総括原価は、各事業体が抱える諸条件により異なるため、水道料金に差が生じます。

また、水道事業は原則として市町村が経営するものと定められており(水道法第6条第2項より)、日本国内の水道事業の多くは市町村で経営されています。

つまり、水道料金の地域差は各市町村が抱える事情の違いから生じていると考えられるため、同じ都道府県内で引っ越した場合でも、市町村が違えば水道料金が大きく異なることもあり得るのです。

具体的には、水道料金の地域差が生まれる要因として、次の4点が挙げられます。

1.給水地域における地理的要因…水源の種類やその取得条件(地下水、河川水、ダムなど)の違い
2.給水地域における歴史的要因…水道敷設年次や水道建設費用の多寡など
3.社会的要因…人口密度や生活様式等による需要構造などの違い
4.外部不経済要因…水道水源の質的悪化など

例えば、水源が遠い場合は水を送り届ける水道管の距離が長くなり、維持費や動力費は高額になります(1.地理的要因)。水質が悪いと薬品が多く必要になるため、薬品費が高額になります(4.外部不経済要因)。

原則として、これらの費用を水道料金収入で回収できるように料金を算定するため、費用が必要であればある程、水道料金が高くなる傾向があります。

まとめ

水道料金は事業維持に必要な経費によって金額が変わることが分かりました。ただ、こうした費用は、水道を維持するためには、どうしても必要となってくるものなので、地域格差が生じるということも理解したうえで、家造りの際の候補地をチェックしてみてください。

<取材協力>(公社)日本水道協会
豊富で安全な飲料水の供給を目的とする公益法人。水道事業の経営、水道技術や水質問題についての調査研究、水道用品の検査及び給水器具の品質認証などを担っている。
http://www.jwwa.or.jp/

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