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マンションの生活での代表的なトラブルといえば騒音ではないでしょうか。

分譲マンションでは、ふつうに生活するだけでしたら、防音を特別気にしなくても騒音トラブルになる心配はあまりありませんが、何を騒音と考えるのか、どの程度の音量でうるさく感じるかは個人差にもよるため、音のトラブルは難しい問題です。

騒音トラブルを避けるための手段として、防音工事があります。一般的には騒音となる音を発生する側が防音工事をおこなう必要がありますが、隣の音がどうしても気になる場合や、車や電車などの外部からの騒音を軽減したいということで防音工事をおこなうこともあります。

今回の記事では、マンションの防音工事の方法や費用などについて解説します。

防音はどの程度まですべき?

たとえば、自宅でピアノの練習をしたい場合、マンションではどの程度まで防音をすれば良いのでしょうか。

音の大きさを測る数値はdB(デシベル)で表されます。環境省が定める環境基準では、住宅地域における住居内の音の大きさは夜間で45dB以下が望ましいとされています。※1

遮音性能の尺度にはD値が使われます。D値とは、発生する音と、壁を通り抜けて聞こえる音の差を表す数値です。このD値、つまり隣との音の差が大きければ大きいほど、通り抜ける音が少なくなるので、遮音性能が高いと評価されます。

ピアノの音のレベルは、80~100dB程度となっているので、仮に100dBのピアノの音が戸境壁(隣の住戸との間の壁)を越えて聞こえる音の大きさを45dB以下に抑えるために必要な遮音性能は、以下の計算式で求めます。

必要な遮音性能(D値)≧100dB(ピアノの音)-45dB(望ましい室内の音)=55dB

よってピアノを練習する場合の防音工事で必要な遮音性能(D値)は、55dB以上となります。

ただし、実際には音は壁だけではなく床、壁、窓、換気扇などさまざまなところから漏れ出します。それぞれの部位で適正な防音をおこない、総合的に防音性を高めることが必要です。

どんな防音工事があるの?

防音の方法には、大きく二つに分けて、遮音と吸音があります。遮音とは、音を遮ることで、外部の音が室内に、また室内の音が外部に漏れないようにすることです。

また、吸音とは、音を吸収することで反射を防ぎ、外部に漏れないようにすることです。防音工事は、それぞれの部位について、遮音をベースに吸音をうまく組み合わせながらおこないます。

まずは、壁の防音工事です。

壁の防音工事は、遮音シートや吸音材を使い施工します。遮音材は、コンクリート壁に木下地を組み、遮音シートや吸音材を壁の仕上材の内側に挟み込む工法などがあります。

次に床、天井の防音工事です。

足音などの衝撃音は床から階下の天井に伝わります。床の遮音性能を高めるためには、遮音性の高い床材に貼り替えたり、床材を複層構造にしたりする必要があります。

床材の種類では、カーペットや畳、コルクなどは衝撃音を吸収する効果があります。

仕上げ材をフローリングにしたい場合には、防音フローリングを選ぶのがポイントです。

防音フローリングは、フローリングの仕上げ材の裏側に遮音性の高いクッション材が貼り付けてあり施工がしやすいため、マンションでは一般的に多く用いられている方法です。

なお、床仕上げ材の下に空間を設けて二重床にすると遮音性能が高くなりますが、空間の幅だけ床が持ち上がって天井が低くなり、また建具を取り替えるなど大がかりな工事が必要となるため、リフォーム工事ではあまりおこなわれていません。天井の防音工事では、天井のクロス下地に遮音シートを貼ったり、防音性の高いボードを使ったりすることが一般的です。

窓の防音工事は、楽器の音やペットの鳴き声が外に漏れないようにしたり、反対に車や電車など外部からの騒音に悩まされていたりといった場合に効果的です。

窓はマンションの共用部分なので勝手に取り替えるわけにはいきませんが、窓の内側にもう1枚窓を設ける二重窓工事なら可能です。その際は防音ガラスが入った内窓防音サッシを設置します。防音ガラスは、2枚以上のガラスで防音特殊中間膜を挟み込んだガラスで、外からの騒音や室内の音が外に伝わるのを防ぎます。

通気口の防音工事も大切です。

窓などの防音対策をしても、通気口が開いていれば効果が薄くなります。その場合には、防音タイプの通気口に交換すると効果的です。

マンションの防音工事にかかる費用

防音工事には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。工事の内容や条件によっても幅がありますが、いくつかご紹介します。

床の仕上げ材を防音フローリングに貼り替える場合、1平方メートルあたり2万~2.5万円程度かかります。15帖のリビングルームは約25平方メートルですので、約50万円~63万円ほどになります。床材のグレード、撤去処分する元の床材の種類、大きな家具の移動の有無などにより費用は異なるため、きちんと見積りを確認することが大切です。窓の内側に防音内窓サッシを設置する場合、一般的な掃き出し窓では15~20万円ほどかかります。窓の大きさや形状によっても費用は異なりますので、窓を確認して見積りをしてもらいましょう。

防音工事をおこなう場合の注意点

工事費は工事範囲や工事内容、施工する会社によっても大きく異なることがあります。そのため複数の会社から見積りを取得することをおすすめします。インターネットで見積りを出してもらうこともできますが、実際に工事に取りかかると追加費用が発生しトラブルになるケースもあります。

また、防音工事をしても音の種類によっては十分な効果を発揮できない可能性もあります。防音工事は、すべての音を遮断できるわけではありません。楽器の音が漏れないようにしたいのか、足音などの生活音を遮断したいのかといった目的によって、するべき防音工事は変わってきます。遮断したい音に対して効果の高い防音工事を選ぶことが重要ですので、防音工事の目的をはっきりさせておくといいでしょう。

自分でできる防音対策はある?

騒音に悩んでいる場合、防音工事以外に自分でできる対策もあります。そのひとつは、戸境壁に収納家具などを置くことです。

家具の配置変更は、すぐにできる防音対策の一つです

何もないガランとした部屋で声を出すとよく響き、家具やカーテンがある部屋では声が響かないことを経験したことのある人は多いのではないでしょうか。それは家具やカーテンが音を吸収するからです。特に人の声やテレビなどの音声は壁際で防音対策をすると効果が高いので、背の高い本棚や洋服ダンスなどの収納家具を壁際に配置してみましょう。

外部からの騒音に対しては、遮音カーテンを取り付けることで一定の効果が期待できます。布製のカーテンはそれだけである程度音を吸収しますが、遮音カーテンはさらに音を跳ね返す効果があるので、より遮音性を高めることができます。遮音カーテンにもさまざまな種類があり、人の声やペットの鳴き声に強いもの、車や電車などの音に強いものなどがありますので、用途に合わせて選ぶと良いでしょう。価格は一般的な掃き出し窓で数千円から数万円までと幅があります。

マンションは集合住宅です。さまざまな人が暮らしているので、なかには夜中に集まって騒ぐ人、楽器を弾く人、たくさんのペット飼っている人などがいるかも知れません。

もしも騒音に悩まされたときには、我慢せずに伝えましょう。騒音を出す人も言われなければ気がつきませんが、苦情があれば気がついて改善する可能性もあります。

ただし自分が直接相手に苦情を入れるのではなく、管理組合や管理会社に訴えたほうが良いでしょう。直接苦情を入れると相手方との関係がギクシャクしてしまったり、感情的になって更なるトラブルに発展してしまうこともあります。

必要に応じて防音工事をしよう!

防音工事が必要になるかどうかは、マンションのもともとの遮音性や、自分たちが出す音が周りの人に迷惑をかけるか、どの程度騒音に悩まされているかなどによります。必要性に応じて適切な防音工事を検討しましょう。

※1 環境省「騒音に係る環境基準について」

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