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マンションを借りたり購入したりする際、家賃や購入額はもちろんのこと、共益費や管理費の額や支払いについても気になる人が多いでしょう。共益費と管理費は、似たような言葉ですが明確な違いがあります。そこで、共益費と管理費はどのような性質の費用なのか、どういったことに使われるのかについて、それぞれの定義や目的、仕組みについて解説していきます。

そもそも共益費とは?

賃貸マンションに住むにあたっては、家賃とは別に共益費を支払っている方が多いと思います。共益費とは、共同で住宅を利用する上で入居者たちが共通して使用する部分について、維持・管理するための費用を入居者に応分して負担してもらう費用を指します。具体的には、エントランス、階段、通路、駐車場、ゴミ置き場などの共用部分が挙げられます。また、共用部分にあるエレベーター、郵便・宅配ボックス、通路の電灯なども該当します。共益費はこれらの場所の水道光熱費のほか、共用部分の設備を点検したり、部品を交換したり、清掃したりするために使われるので、マンションの維持・管理のために必要な費用といえるでしょう。

共益費という言葉は法律で明確に定義されているわけではありませんが、国土交通省が作成した「賃貸住宅標準契約書」には、共益費についての項目があります。そこでは、共益費の定義として「乙(借主)は、階段、廊下などの共用部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費など(以下この条において「維持管理費」という。)に充てるため、共益費を甲に支払うものとする。」とあります。この賃貸住宅標準契約書はひな形の一つであり、必ず使用しなければならないわけではありません。ですが、賃貸住宅標準契約書を使うことで貸主と借主との間に信頼関係を確立させ、合理的な賃貸借契約を結べることが期待されています。

したがって、共益費の定義についても賃貸住宅標準契約書に従い理解するのが適切でしょう。

管理費とは?共益費との違い

賃貸マンションの維持・管理のために必要な共益費ですが、これとは別に「管理費」という用語があります。管理費は、分譲マンションにおいて使われる用語です。賃貸マンションにおける「共益費」に明確な定義がない一方で、分譲マンションにおいては、国土交通省の「マンション標準管理規約」において「管理費」と「修繕積立金」の定義を明確にしています。まず、本規約の27条において管理費を「通常の管理に要する経費に充当する」金銭であると定義しています。また、修繕積立金は本規約28条に定義があり、「特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる」金銭です。

共益費の意味で管理費という言葉を使っている賃貸マンションはあっても、分譲マンションでは共益費という言葉は使用されません。マンションを購入すると購入者はその専有部分について「区分所有者」としての義務を負います。そして、分譲マンションは、「管理規約」というルールのもとで管理運営されています。管理規約の中に、管理費についてのルールも明記されており、どのような目的で使用され、徴収方法はどのようにするかが規定されているのです。管理規約の中で各専有部分の管理費の額も決められており、分譲マンションの場合は各専有部分によって支払う管理費の額が規約で決められています。

共益費・管理費の使いみちについて

共益費および管理費はマンションの維持・管理に必要となる費用ですが、その使いみちは分譲マンションと賃貸マンションとで違いがある点に注意しましょう。まず、分譲マンションの場合、「管理費」と「修繕積立金」については国土交通省の「マンション標準管理規約」において具体的に定義されているため、その用途についても明確な定めがあります。管理費についてはマンション標準管理規約27条において「管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。」とされ、管理員人件費、備品費、通信費その他の事務費など12項目が定められています。

修繕積立金についても同規約28条に定義があり、「管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。」と定められています。その中の「特別の管理に要する経費」とは、具体的には「一定年数経過ごとに計画的におこなう修繕」「不足の事故その他特別の事由により必要となる修繕」など5項目です。

一方、賃貸マンションの場合は分譲マンションと異なり、共益費について管理規約のような規定はありません。したがって、共益費の使用目的についてはマンションのオーナーの裁量次第で変わってきます。

共益費・管理費の相場の目安は

建物の規模など目安となる基準をおさえておきましょう

共益費の額は、全国で一律に決まっているわけではありません。社団法人全国住宅産業協会が公表した「賃貸住宅における『共益費』のあり方に関する研究報告書」によると、共益費の算出は、「近隣の相場を考慮して」(40%)と「物権規模(階数)に応じて固定」(39%)がほぼ同割合となっています。次いで、「かかる実費を予測し、シミュレーションして算出」が33%です。管理戸数別にみると、3001~5000 戸で「階数に応じて固定」が54%を占めています。「実費予測」では、管理戸数に比例して「自社基準」をとる割合が高く、とくに5001 戸以上では 53%が自社基準とする結果でした。

共益費はマンションの居住者たちが快適に過ごすために必要な費用ですが、それにくわえて、賃料と同様にオーナーの収入の一部であるという一面もあります。よって、オーナーは共益費の額を自分の裁量で、常識の範囲を逸脱しない限り自由に金額の幅や用途を決められるのです。

一方で、管理費の相場については、国土交通省が公表した「平成25年マンション総合調査」が参考になります。これによると、月ごとの管理費の平均は、戸別で10,661円です。戸別管理費の相場は、戸数に比例して高くなるわけでありません。反対に、マンションの戸数に比例して、月ごとの管理費は下がる傾向にあります。

なお、賃貸マンションの場合、共益費と家賃を別に記載するのが一般的です。共益費を家賃に含めた金額で記載するよりも分けて家賃を記載したほうが、総額は同じだとしても見た人に割安のイメージを与えやすくなります。たとえば、総額10万円の物件があったとして、【家賃95000円+共益費5000円】という記載方法と、【家賃10万円(共益費込み)】という記載方法とがあったとします。ここで、マンションを探している人がインターネットで「家賃10万円未満」と検索した場合、前者のみがヒットすることになるわけです。このようにオーナーにしてみれば、家賃と共益費を分けて記載するほうが、多くの人に物件を見てもらいやすいというメリットがあります。

賃貸マンションによっては、共益費の値段が書いておらず、家賃のみ記載されているものもあります。しかし、そのような場合でも、共益費が必要ないというケースばかりではありません。共益費の記載がなくても、家賃の中にその費用が組み込まれている場合があることに注意が必要です。

部屋を借りる際は、できるだけ安い金額で借りたいところです。家賃同様、共益費も可能であれば安く抑えたいという人もいるでしょう。賃貸の場合は、大家と交渉することで共益費の値下げに応じてくれる可能性があります。

一方、分譲マンションの「管理費」「修繕積立金」は管理規約に定められ、管理規約の変更には決議が必要であるため、「値下げ交渉」ができるものではありません。

分譲マンションの場合は管理費の値下げ交渉を考えるよりも、最初から購入しやすい価格のマンションを探すことに努めたほうがよいでしょう。

共益費と管理費の性格を知っておこう

マンションに住むにあたって、共益費または管理費の支払いは付き物です。賃貸の場合は、共益費も含めて月々の支払総額を確認することが必要です。また、分譲マンションの場合は、いざ住み始めてから「管理費が高い」と思っても値下げ交渉はできないことに留意しておきましょう。いずれにしても、家賃や購入金額だけでなく、共益費や管理費の使いみちにも目を向け、支払総額を検討することをおすすめします。

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